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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第9章:美也子の帰還、それぞれの助走

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四面楚歌

 目下の懸案事項。

 ひとつ。最近とてつもない美少女が町中に出没しているらしい。俺と千種が一緒に帰る道で出会った友人がその後で美少女を見かけたとか、千種がばったり美少女に会ったとか…。

「うん、美也子ちゃん」

 不思議に思えよ、千種。

「どうして?結納のときに九月にこっちに来るって言ってたの聞いたでしょ?連絡も来てたし」


 あ…そう。

 嫌がらせかと思うくらいたくさん連絡が来ていたのに、結納のあとぴったりと止まったんだな、なぜか…。

 などと考えていたらいきなり至近距離に千種の顔がどアップで現れた。

「どうして美也子ちゃんのこと気にしてるの?」

 久しぶりにストレートな焼きもち。


「おかしいと思わないか?あの美也子だぞ?」

「どの美也子ちゃんよ?あたし知らない」

 …あーそりゃそうか。

 中学生の美也子を知らないもんな。よし教えてやろう。同じ委員をやった女の子と直接話せずに美也子を介したんだぞ。なんで同級生と委員の用事を連絡するのに通訳が必要なんだ?

「美也子ちゃんだからでしょ?」

 ねえ話聞いてる?


 ふたつ。沢村が俺に秋の野球大会に出ろと言ってきたことだ。

「俺野球部(愛好会)じゃないぞ」

「もう登録終わってるし。俺たちだけじゃなくて最内(高校)の連合チームだから、あっちのメンバーまで青春を終わらせていいのか?」

 どんな脅迫だ。

「俺にメリットない」

「分かった。高良に通う中学の時の同級生紹介してやる。可愛いぞ」

 とんでもないデメリットじゃねーか。

 千種にばれてみろ。どんな…。

「早名さん?もう許可もらってる」

 紹介の?

「そんな怖いことするかよ。野球の大会に参加することに決まってるだろ」

 へえ…。俺の人権は?

「婦唱夫随だろ?昨日の古典でやったよな」

 俺とおまえは同じクラスでなかったっけ。そんなの記憶にないぞ。

「おまえ寝てたよな?」

 あー確かに…。

 まさかの昼寝で野球大会参加が決まりました、とさ。びっくり。


「…なあ、橋本」

「…なに?」

 橋本結菜様は大変機嫌が悪いようで。

「…ちょっと相談にのってはいただけませんでしょうか…?」

「…それどころじゃないし」

 ぷいとそっぽを向かれてしまった。


「お姉さんが帰ってくるから緊張してるの」

 横にいた千種が事情を説明してくれた。

 あーそれは悪かったかな。

「今までさんざん結菜をからかってて都合のいい時だけ相談にのってってむしがよすぎるんじゃないかなあ」

 美樹からダメ出し。

 こうなったら光太郎に。

「弟なら病院に行くって言ってたから」

 これみっつ目の懸案事項か?


 …四面楚歌じゃん。

 いっそ旅に…。

「あたしも行く」

 …千種。

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