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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第8章:母はきませり

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将来性あると思うよ

「私とも…いいよね?」

 何がいいんだろう。橋本は明らかにラインを越えた発言をする。


 当然言葉に詰まる。

「いやぁ…なんのことだかさっぱり」

「不純異性交遊!」

 小さいけどはっきりと口にした。


 おまっ……!

 それをここで言うかと、何かしらの反論を考えてフリーズしていると

「結菜。冗談ですまなくなるよ」

 と非常に珍しく、大杉が止めに入った。


「不純だと思ってる?」

 思いがけない大杉の言葉に橋本は視線を大杉に向け、唖然とした顔を晒している。


 俺もフリーズ、橋本もフリーズとこの場を大杉が支配した。

「性欲が溜まってるならもっと練習したら?」

 さらに斬れ味の鋭い一言。


 切れ長の橋本の目は大きく見開かれている。

 俺には橋本にそんな顔をさせる芸当はない。


 すっと風が吹いた感じがした。

「なによ、またゆな変なこと言ったでしょ」

 千種が席に戻ってきた。

「…言ってない、言ってない」

 と橋本は首を振り苦笑いするのが精一杯のようだ。じっと大杉は橋本を見て、

「千種と早名くんにちょっかい出さないで」

「…なんでみきが怒るの…」

 橋本がぼやくと、口調を柔らかくした大杉が

「あっちにたくさんいるよ」

 と教室の左隣を指さした。

「依田さんみたいな甲子園の大スターならいいけどね」

「幸平が大スターなわけないもんね」


 失礼な婚約者だな、千種さんよ。

「美樹も熱くならないの」

「…そうだね、ごめん」

 と、大杉は静かに橋本に語りかけた。

「私には二人でいるところを見るのが幸せなんだ」

「幸平がねえ…」


 失礼なのはここにもいたわ。

「千種がねえ…」

 …いや。確かに千種は俺にもったいないのかもしれない。

「あなたたち、今日のメニューだけど…」

 と幸せいっぱいの副担任が空気も読まず声をかけてきた。


「赤い髪の先生の写真、依田さんに送ろうかな」

 ボソッと橋本が呟くと

「もう見せたわよ」

「嫌われたでしょ?」

「…綺麗だって…」

 今にもえへへと言い出しそうな玲先生の姿に

「あっちもこっちも…」

 と完全に橋本は拗ね始めた。


「…仕方ないなぁ。弟なら紹介してもいいよ」

 万事不介入が信条の大杉が珍しいことを言う。


 この手の話には無言を貫く千種もなぜか

「光太郎くんはいいかも」

「…ちぐさもおすすめ?」

「幸平よりは将来性あると思うよ」


 中学生と比較されて婚約者に将来性に劣ると言われる俺が一番ダメージがでかいのかもしれない。

 なんやかんやと穏やかに笑っている玲先生も含めて、新しい学期がスタートする。

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