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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第8章:母はきませり

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クラス替え

 9月に入り二学期が始まった。なんだか前日に千種が

「なんかあるみたいだよ」

 と予言?めいたことを言っていたが、内容を聞くと

「さあ?」

 と自分も知らないと答えた。


 クラス替えがあった。


 席替えがなにかと勘違いしてませんかね。大学病院開設に向けていろいろ準備が進んで、大量の関係者の家族までこの町に引っ越してきたのだとか。それで県の指導を超えるからと一クラス増えたわけだ。

 クラス割りを貼り出す掲示板の後で聞こえてきた噂話だった。

 近くにQRコードを付随させたチラシがありそこからクラス割りを見ることもできるんだけど、まあみんなと見るのが、らしいと言えばらしいのかも。


 さて俺は…名前ないな。

 えーと…最後のクラスだ。そして早名幸平であるがゆえに、早名千種も見つけてしまうわけで。

 今朝も一緒に登校してきた千種は黙ってクラス割りを見つめている。


「感想は?」

「誰かが仕組んだんだと思う」

 だよなあ。同じクラスに橋本や美樹、ヒメマロキントキ(かき氷みたいだ)、おまけに折井若葉までいる。男だと野球愛好会の連中も。山形がいないくらいか。

「陰謀の臭いがしないか?」

「旦那の監視にちょうどいいかも」

「今学期から寝ないと決めたんだわ」

 中間より期末の方がずっと成績が上がったしな。

「浮気に決まってるでしょ」

「冤罪なので無罪だ」


「ちぐさ〜同じクラスだよ。やったね」

 おっ、不憫な子橋本が寄ってきた。

「こーくん、一緒だね」

 若葉もまた俺の近くに。千種が短く

「ね?」


 無実だ。だから黄色いリボンにそっと触れる。

 ほんの少しだけ千種は手を重ねると、すぐに橋本と話し出した。

 それから俺は沢村や若葉たちと、千種は橋本たちと話しながらそれぞれ新しいクラスに向かう。

 一学期のクラスメイトも良かったんだが、こうしてみるとなんだかしっくりくる気がする。

 たぶんなにかが軌道修正されたんだろう。

 あるべくして、そしてより良い未来が始まる予感がした。何が契機になったかは不明だし、誰の意思かも知る術を持たないけれども。


 運命論者ではなかった。

 だけどこんな季節外れのクラス替えなどそうそうあるものじゃないのは分かる。

 中心点にいるのは橋本に絡まれてるやや明るい色の髪の、夏休みに大人になったかつての少女だった。



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