表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/118

チームメイト

二日目の野球部(同好会)の練習に参加する。

グラウンドに行くと光太郎がいた。ここでたまに混ぜてもらってるって聞いたな。有望株の青田刈りとは沢村もやる。

そして見慣れない背の高い外国人風の二人も光太郎と一緒だ。


「幸平さん」と光太郎が遠くから手を振る。いつぞやのキャッチボール以来、光太郎は俺をそう呼ぶようになった。そしてグラウンド内では割と積極的であることをこの後知ることになる。


光太郎が他の二人と共に寄ってきて話しかけてきた。

「バッピするんですか?沢村さんから聞きましたけど」

「日本一のバッピになりたくてな」

「なんですか、それ」

と明るく笑う。おまえ、笑うと愛敬あるんだな。そっちの方がずっといいぞ。

「二人は?」

ロゼ太郎とブート・キャリパーと言うらしい。先日の野球教室で知り合ったとか。光太郎が高高で練習に混ぜてもらってるのを聞いて、興味を持ったらしく一緒に参加することにしたのだとか。


つい子供の頃の習慣で右手を差し出すと、二人はぎこちなくそれぞれ右手を差し出した。

「外国生活の経験者ですか?」

と太郎。

「小学二年まで、だけど」

「へえ、僕たちは日本から出たことないです」

確実にネイティブな日本語で彼らは答えた。

「今日はよろしくお願いします」

と3人は頭を下げた。後は沢村に任せてウォーミングアップに近づいてきた田所と、簡単なストレッチを俺は始めた。


右のサイドは左打ちに弱いと聞くけど3人は確かに凄かった。3人とも左打ちで、合わせて30打数30安打の圧巻の結果。真ん中に投げたのは確かだとしても、ホームラン性が半分とかどんな中学生だよ。

光太郎は打つ方も逸材とは正直思っていなかった。むしろバッピ冥利につきる。今日だけは日本一になれたかも知れない。


「生きた球でここまで正確に真ん中にコントロールされてたの初めてです」

「気持ち良く自分のスイングができました」

「もしかして幸平さん、僕らにタイミング合わせてくれてました?モーションが早かったりゆったりだったり違いましたよね」

バッピの腕の見せ所だから、な。


見ていた沢村が驚いた表情で3人に質問する。

「他の高校からスカウトはないのか?」

「二人とも親からここに進学するように言われてます」

光太郎も進学予定だ。超中学級3名様ご案内…だな。クリーンナップまるごと任せられる。おまけに光太郎は投げるのもおそらく一流だ。

「来年は県内中の野球部が驚くことになるな」

とほくそ笑む沢村。


「そういや9人いないから、大会は来年春の県大会からか?」

それでも人数ギリギリじゃないかと訝しんだ俺が沢村に質問すると

「この秋も出るさ。最内校の野球部と連合チームになる」


「いやー遅れてすまん」

その時声をかけてきたのはバスケのユニフォームを着たデカい男だった。

「おっ、ありがとうな、山形」

沢村は嬉しそうに答えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ