ルート39 僕は魔物たちに愛されているようで、またウォーマがヤキモチを妬き、イケメン三人組は僕に迫ってきた
「んん」
蝙蝠さん――吸血鬼状態になった彼らに僕は血を吸われつつ我慢する。
ちゅう
アイドル顔をした吸血鬼たちの牙がゆっくりと僕の首筋に入ってきた。
「ソプラノ様痛い?」
「ソプラノ様ごめん」
「ソプラノ様好き」
じゅじゅじゅっ
吸血鬼がペタペタと白い肌を僕に巻き付けながら血を吸ってくる。
「んんっ」
僕が優しい牙の刺激に悶えていると、スライムが心配そうにぴょんと僕に近寄ってきた。
「だ、大丈夫だよ。それより、この間はごめんね、痛い思いさせて」
あんな大事になるとは思わなかったとはいえ、スライムや蝙蝠にはダメージを与えてしまい酷い事をしてしまった。
お詫びに蝙蝠には少し血を吸わせ、スライムの事はできるだけ癒そうと朝から尽力していた。
「また、一緒にお風呂入ろうね」
僕が言うと、スライムは嬉しそうに僕の膝の上に乗ってきた。
「こらこらこら、スライム相手とはいえ、気軽にそんな事言っちゃ駄目だよ。ソプラノちゃん」
膝の上のスライムを両手で捕まえて、僕からペシッと引き離したウォーマが言う。
「そうだね、僕がスライム君とお風呂入ったら、ウォーマ絶叫してたもんね」
あの時の何とも言えない雄たけびが今も耳に残っている。
「…………」
ウォーマは恥ずかしそうに下を向いた。
「――っ、ウォーマ様……」
いつの間にか側に立っていたダークエルフが遠慮がちにウォーマを呼んだ。
それを聞いたウォーマがハッと顔を上げる。
ウォーマは気まずそうに目を歪めた後、エルフに言った。
「悪かった」
「い、いえ!! 滅相もありません。私が愚かな事をしてウォーマ様とソプラノ様に不快な思いをさせてしまい――」
「カクテル用意してくれよ。俺とソプラノちゃんの舌に合いそうなものを頼む」
ウォーマが優しくダークエルフに微笑んだ。
「!! かしこまりました」
ダークエルフはウォーマの言葉に美しい瞳を輝かせ、膝まづいた。
(ウォーマ、仲直りできてよかったね)
「ソプラノ様、こちら私が最近開発した自信作でございます」
「わぁ、ありがとう。ダークエルフさん」
僕とウォーマにそれぞれグラスを渡してくれた後、エルフが僕に説明してくれた。
こくこくと飲むと、甘くて幸せな気分になり、グラスはすぐに空になった。
「ソプラノ様、もっと欲しいですか?」
「うん。欲しいです!」
僕が言うと、エルフは満足そうに艶やかに微笑んだ。
「ふふっ、可愛い人ですね」
甘ったるく響く美声に僕は少し照れてしまった。
「だ、ダークエルフさん……」
そこに、スタスタとウォーマが入り込み、これでもかと長い手足で僕を隠すように抱き込んだ。
「やっぱりお前は当分ソプラノちゃんに近づくの禁止!!」
スライム君をたくさんナデナデして、吸血鬼さんからは血を吸われ、ダークエルフさんとは少し仲良くなった。
そんなダンジョンからの帰り道、まだ人型を保っているウォーマに言った。
「ウォーマ心配し過ぎじゃない?」
「魅了の攻撃はもともと好意が高い相手にしか効かないようにできているんだよ」
「?」
「だから、あいつら、なんだかんだソプラノちゃんの事好きで、俺を脅かす可能性が高いって事」
(えー。脅かすって)
嫉妬しているためか、歩きながらウォーマは色んなトコロに、ちゅっちゅっとキスをしてくる。
「あ、歩きにくいよ、ウォーマ」
「ソプラノちゃんが可愛すぎて、俺心配だよ」
本当に困ったという顔をして、ウォーマは言った。
(し、心配し過ぎだよ)
「ソプラノ! 久しぶり」
「ソプラノちゃん、お久~!」
「ソプラノさん、元気そうだね」
それほど久しぶりというわけでもないが、登校日に学校でイケメン三人組に言われた。
「おはよう皆、元気そうでよかった」
僕は製作途中の宿題を机の上に置く。その中には宝箱もあった。二学期までに完成させればいいとはいえ、少し手間取っている。
「あ、アース君さすがだね。宝箱もう開けられたんだ」
「うん、まぁね」
隣の席のアースの机の上には綺麗に整理された宿題が置いてある。
僕は彼と会話を交わす。
「アース君、少し髪切った?」
僕はアースのふわりとした茶髪を見て言った。
「うん、ソプラノさんよく気づいたね」
「さっぱりしてて似合ってるよ」
「ありがとう」
アースの方を見ていた僕の後ろから、突然ルビーとライトの声が降ってきた。
「ソプラノちゃん! ダンジョンで一番魔物倒したのソプラノちゃんだよね」
「そーそー、あの日はできなかったけど、ソプラノが結局一番だった訳だし、祝いに俺らが抱きつかなきゃな」
二人がよくわからないことを言い出した。
(え、なに、どういう事)
「あ、そっか。そういえば一番倒した人が、ソプラノさんに抱きしめてもらうんだったね」
今まで僕と楽しそうに話していたアースも二人のノリに加わる。
「今回はソプラノちゃんが一番だったから」
「代わりに俺らが」
「ソプラノさんに抱き着くね」
楽し気に少しいやらしい顔をした三人がじりじりと僕に近寄ってきた。




