プロローグ
「やっぱあそこはああなってたんだなぁ。漫画だとハッキリは描写されてなかったから個人的には良かったんだが・・・」
「何か引っ掛かるのかい?」
「作画と声優がなぁ。あくまで俺の意見だが、漫画と比べると迫力が欠けるというかなんというか。」
俺は中学時代からの親友とも呼べる友人と学食で先日観たアニメの感想会の様な事をしていた。
こいつは飛村虹大。とある事がきっかけで挫折した俺をずっと見捨てず気にかけてくれた、幼馴染とまではいかないが長い付き合いのある奴だ。
「僕的にはすごく良かったけど、理仁がそう言うなら漫画も読んでみようかな。」
「おすすめするぜ。アニメ観てから漫画読むのでも違う見方があって面白そうだな。」
「あ、あの!飛村先輩!サイン貰ってもいいですか!」
虹大と話していると、後輩と思しき何人かの女生徒がサインを求めてきた。
言い忘れていたが、虹大は特進学科でサッカー部のエースだ。すでに卒業後はプロになる事が決まっており、いずれは国外で活躍する事を期待されているすごい奴だ。それにサッカーをしているくせに色白で顔も良く、おまけに180近い高身長ときた。説明するまでもなくすごくモテる。
「虹大先輩!えっと、いつも応援してます!これからも頑張ってください!」
「そうなのかい?ありがとう。期待に応えられるよう頑張るよ。」
そう笑顔で対応すると、女生徒達は黄色い歓声をあげた。その中の数人が俺を見て「何でこんな奴と一緒に?」みたいな顔をしたが見て見ぬふりをした。その人達もすぐに視線を虹大に戻して、少し話した後離れていった。
「天才は色々と大変そうだな。それにルックスも良いときた。相変わらずすげぇなお前は。」
「君だって良いルックスしてると思うよ。似た様なもんだろ?」
「ハっ!俺がお前と同じだって?冗談でも笑えねぇな。」
「冗談のつもりは無いんだけどね。」
「いいか虹大。世の女性達は170以上の高身長のイケメンを求めているんだ。それ以外は眼中にねぇ。特に俺見たいな160台のブスにはな。あとは金かな?」
「そうかな?人は見た目より内面の方が大事だと思うし、みんなちゃんと見てると僕は思うよ。」
「お前を信用してないとかじゃ無いがそう言う事を言うのは大概見た目がいい奴だ。」
「まぁ僕が思ってるだけだしね。別に気にしてないよ。でもそんなんじゃ結婚とかどうするの?」
「結婚なんて考えてねぇよ。とりあえずどつかに就職してある程度稼ぎつつ適当な年まで生きたら死ぬ。その後の事は出来のいい妹に丸投げさ。」
「妹さんはある意味大変な兄を持ったね。」
そんな話をしている時、食堂が少し騒がしくなった。
だが、俺たちは食堂を騒がしくしている張本人が自分達に近づいていることに気が付かなかった。
「先輩、ちょっといいですか。」
俺と虹大は声がする方を向いた。そこには切れ目でロングヘアがよく似合う綺麗な女性がいた。クールビューティーって言うのか?わからないがそんな印象を持った。
俺は虹大の知り合いだと思い、無言で席を立とうとした。
「ちょっと、どこ行く気なんですか?」
「どこって、虹大に用があるんだろ?邪魔だろうから退こうとしたんだが?」
「羽柴先輩って貴方ですよね?私は羽柴先輩に用があって来ました。」
「???」
俺は虹大を見たが、彼も知らない人のようだ。もちろん俺にこんな美人知り合いに居ないし、俺は人に覚えられる様な人間だと思っていない。それに、俺の偏見だが見た目や所作的に特進学科の人だ。そんな人が俺に一体何の様なんだ?
「羽柴先輩、単刀直入に言います。私は貴方が欲しいです。」
「・・・あぁ??」
これが彼女、浅木玲奈と初めて出会った日であり、俺の人生設計が大きく崩れた日である。




