第368話 修羅場、勃発?
「彼女、レナ・ヒューズさんとは何処までいったの?」
と、春風から「野守君」と呼ばれた眼鏡をかけた少年がそう言った瞬間、その場の雰囲気が一気にシーンと静かになると、
「……何を言ってるんですか野守君?」
と、春風は目を細くしながら、何故か敬語で眼鏡をかけた少年……以下、野守に向かってそう尋ねた。
そんな春風の質問に対して、
「いや、君そちらのレナ・ヒューズさんと一緒にルーセンティア王国を出たわけじゃん? あれから結構経ったから、どれくらい進んでるのかなって……」
と、野守は何処かふざけた感じでそう答えると、
「「「「た、確かに」」」」
と、歩夢、美羽、そして「暁君」と呼ばれた少年……以下、暁と、「夕下さん」と呼ばれた少女……以下、夕下が一斉に春風に視線を向けてきたので、その視線を受けた春風は、
「いや、あのねぇ……」
と、野守に向かって何か言おうとした、まさにその時、
「……っ」
ーーガバッ!
『あ!』
「れ、レナ!?」
なんと、いつの間にか春風の背後にいたレナが、ガバッと春風に抱き付いてきたのだ。
突然のレナの行動に、
「ちょ、レナ! 何すんの!? ちょっと離れて……!」
と、春風は驚きながらも、レナに離れるようお願いした。
だが、
「嫌だ」
と、レナはそう言って春風のお願いを拒否すると、ギュッと春風を抱き締める力を強くしたので、
「いや、『嫌だ』じゃなくて……!」
と、春風が更に戸惑いに満ちた表情でレナに向かってそう言うと、
「ふ、フーちゃん……」
「春風君……」
と、歩夢と美羽が同時にそう口を開いたので、それに春風が、
「な、何……2人とも?」
と、ダラダラと汗を流しながらそう返事すると、
「「何でその子のこと、呼び捨てなの?」」
と、歩夢と美羽がジッと春風を見つめながら、更に同時にそう尋ねてきた。
その質問を聞いて、
「「「じー……」」」
と、野守をはじめとした残りのクラスメイト達も、歩夢と美羽と同じようにジッと春風を見つめ出したので、
「いやいやいや、待って待って待って! 確かに、ルーセンティア王国を飛び出してから、彼女には色々と世話になったけど、彼女は『旅の仲間』的な立ち位置だから、それ以上でもないから!」
と、春風は必死になって歩夢達に向かってそう弁明したが、
「「……」」
目の前にいる歩夢と美羽は、今にも泣き出しそうな表情で春風を見つめてきたので、
(や、やばい、これ嫌われるかも……)
と、春風は「2人に嫌われるかもしれない」という恐怖で顔を真っ青にしながら、心の中でそう呟いた。
だが、
「「っ」」
ーーガバッ!
「へ!?」
なんと、歩夢も美羽も、レナ同じように抱き付いてきたので、
『おおーっ!』
『きゃあーっ!』
と、周囲からそんな声があがった。
そして、春風はというと、歩夢と美羽の突然の行動に目をパチクリとさせると、
「ちょ、ユメちゃん!? 美羽さん!?」
と、2人に向かってそう声をかけたが、
「「……」」
2人ともレナと同じように春風を抱き締める力を強くしたので、
(あれ? ちょっと待って、この状況……めちゃくちゃヤバい気がするんだけど!?)
と、春風は再びダラダラと汗を流した。
するとその時、
「あらあら、春風ったら……」
「ふふ、モテモテだね」
「し、師匠! ミネルヴァさん!」
と、春風のすぐ傍で、それまで黙っていた凛咲とミネルヴァがそう声をかけてきたので、
「ちょ、ちょっと、見てないで助けて……!」
と、その声を聞いた春風が、2人に向かって助けを求めると、
「「……え?」」
と、歩夢と美羽がそう声をもらしたので、
「ど、どうしたの2人とも?」
と、春風がそう尋ねると、
「「ま、マリーさんにミネルヴァさん!?」」
と、歩夢と美羽は春風ではなく凛咲とミネルヴァを見て驚きに満ちた叫びをあげた。
そんな2人の叫び聞いて、
「ヤッホー、ユメちゃんに美羽ちゃん」
と、凛咲が笑顔で手を振りながらそう言い、
「久しぶりだね、2人とも」
と、ミネルヴァもニコッとしながらそう言ったので、
「あれ? もしかして、いたの気付いてなかった?」
と、春風が歩夢と美羽に向かって恐る恐るそう尋ねると、
「ふ、フーちゃん! どうしてここにマリーさんとミネルヴァさんがいるの!?」
「ていうか、本物!? 本物のマリーさんとミネルヴァさんなの!?」
と、2人とも春風の肩を掴んでユッサユッサと揺さぶりながらそう問い詰めてきたので、
「お、お、落ち着いて2人とも! 俺もビックリしてるけど、師匠もミネルヴァさんも本物だから!」
と、春風は歩夢と美羽に揺さぶられながらそう答え、その答えにハッとなったクラスメイト3人が「お、落ち着いて!」と2人を春風から引き剥がそうとすると、
「うーん、なんでって……」
「そりゃあ勿論……」
と、歩夢と美羽の質問を聞いた凛咲とミネルヴァがそう口を開くと、
「「愛しい春風を助ける為にきたから」」
と、グッと親指を立てながら、彼女達の質問にそう答えた。
それを聞いて、
「「「「「え、えええええええ!?」」」」」
と、歩夢と美羽、そしてクラスメイト達が驚きに満ちた叫びをあげたので、
「ちょ、師匠にミネルヴァさん!」
と、春風も目をギョッとさせながらそう口を開いた。
「……やはり、そうなのですね」
と、今度はそれまで黙っていたイヴリーヌがそう口を開いたので、その声に春風やクラスメイト達、そして周囲の人達までもが、
『え?』
と、皆、一斉にイヴリーヌに視線を向けた。
そして、
「あ、あの……イヴリーヌ様、どうかしたのですか?」
と、春風がイヴリーヌに向かって恐る恐るそう尋ねると、イヴリーヌは真剣な表情を浮かべて、
「雪村春風様、もしかするとあなたは、何か『特別な事情』があってルーセンティア王国を、歩夢様達のもとを去ったのですか?」
と、春風に向かってそう尋ね返した。




