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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

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第22話 国王の「嘘」と、「恐ろしい予言」


 国王ウィルフレッドが語った、500年前にこの世界で起きた出来事。


 その話を聞いて、


 (この人は、嘘を言っている!)


 と、春風はそう確信した。


 何故そう確信したのかというと、実は、ウィルフレッドの話を聞いている間、春風はとある「スキル」を発動していたのだ。


 スキルの名は、「神眼」。


 「地球の神」であるオーディンと契約を交わし、「神の分身」となった時に入手したスキルの1つで、その効果は、あらゆるものに記された「情報」、そして「嘘」を解析するという。


 春風はウィルフレッドが500年前の出来事を話し始めたのと同時に、このスキルを発動した。


 当然、周囲の人達……そう、女性教師とクラスメイト達にもそれを悟られないように、春風は身を縮めて、左腕でお腹を押さえ、右手で顔を覆った。


 (ああ、きっとこの人は緊張でお腹が痛くなってるんだな)


 と、周囲の人達にそう思わせるようにする為だ。


 多少、無理はあるかもしれないが。


 まぁとにかく、春風はその姿勢をとった後、周りに気付かれないように「神眼」を発動させた。


 使ってるところを見られないようにする為に顔を隠したのだが、


 (だ、大丈夫だよな? バレたりしないよな?)


 と、春風は途中でスキルを使ったのがバレないか、内心では不安になったが、意外なことに誰も春風がスキルを発動したことに気付いてない様子だったので、


 (よ、よし、バレてないな。なら、このまま続行で……)


 と、春風はそのままウィルフレッドの話を聞くことにした。


 そして、その最中……。


 「嘘、発見! 嘘、発見!」


 と、春風の頭の中でそう叫ぶ声と、何やら「ブー! ブー!」と警告音らしき大きな音が聞こえたのと同時に、


 (い、いってぇえええええ! 頭、頭いってぇえええええええ!)


 と、春風が心の中でそう叫んだように、強烈な痛みが春風を襲った。


 どうやら、「嘘」を発見するとそれを示すメッセージや音が脳内に聞こえるのと同時に、激しい頭痛に見舞われるようだ。


 周りにバレないように平常を装っていた春風だが、


 (な、何だよこれ!? 嘘を見つけるとこうなっちまうのかよぉおおおおお!?)


 あまりの痛さに内心では悲鳴をあげていた。


 しかし、それでも春風は痛みを我慢して、最後までウィルフレッドの話を聞き続けた。


 その後、


 ……それが、宗教組織『五神教会』の誕生である」


 と、ウィルフレッドがそう話を締め括った瞬間、


 (あ。ず、頭痛が、治った)


 と、漸く春風を苦しめていた痛みが引いたので、春風は「ぜぇ、はぁ」と肩で息をした。


 そして、漸く気持ちが落ち着くと、


 (かなり痛い思いしたが、これで大体わかったぞ)


 と、春風は改めてウィルフレッドに視線を向けて、


 (ウィルフレッド・バート・ルーセンティア。この人が言ってるのは……嘘だ)


 と、結論づけた。


 もう一度語るが、春風のスキル「神眼」は、あらゆるものの「情報」や「嘘」を解析することが出来る。


 そして、ウィルフレッドが語った500年前の出来事全てに、その「神眼」が持つ「嘘」を発見する効果が働いた。


 それはつまり、500年前の出来事は全て嘘で、


 (この人は知ってるんだ。500年前に、この世界で本当は何があったのか)


 ということになるのだ。


 それがわかった瞬間、春風は改めてウィルフレッドに怒りの眼差しを向けた。


 すると、


 「あ、あの、ちょっとよろしいでしょうか?」


 と、それまで黙って話を聞いていた女性教師が、「はい」と手を上げながらそう口を開いたので、


 「む? どうかしたか?」


 と、それにウィルフレッドが反応すると、


 「え、えっと、今ので昔この世界で何が起きたのか理解出来ましたが、それが私達を召喚した理由と関係があるのですか? 話を聞く限りですと、その『邪神』が封印されてから、人々は平和に過ごしてたんですよね?」


 と、女性教師がそう尋ねてきたので、ウィルフレッドが「それは……」と表情を曇らせると、


 「確かに、『邪神』達が封印されてから500年、人々は平和な時を過ごしてきた。だが……」


 『?』


 「長い時を経てその封印が弱まり、その所為で『邪神』達は復活を果たしたのだ」


 と、ウィルフレッドは真っ直ぐ女性教師を見ながらそう答えたので、それを聞いた女性教師だけでなくクラスメイト達までもが、


 『そ、そんな!』


 と、ショックを受けた。


 勿論、まだ気付かれてはいないが、春風だけは平静を装っていた。


 その後、


 「そ、それで、その、復活した『邪神』達は今何処にいるのですか!?」


 と、女性教師は問い詰める勢いでウィルフレッドにそう尋ねたが、


 「残念なことに、復活そのものはかなり前ようで、こちらが幾ら探しても、相手は全く見つからない状況なのだ」


 と、ウィルフレッドは表情を暗くして、ブンブンと首を横に振りながらそう答えたので、


 「そ、そんな……!」


 と、女性教師はショックで顔を真っ青にした。勿論、クラスメイト達も同様だ。


 しかし、そんな女性教師達を前に、ウィルフレッドは話を続ける。


 「それだけでも厄介だというのに、実はもう1つ()()()()()()()()が起きたのだ」


 その言葉を聞いて、


 『とんでもないこと?』


 と、女性教師とクラスメイト達が首を傾げていると、


 「実は、今から17年前、1人の女性が死ぬ間際に、ある『恐ろしい予言』を遺したのだ」


 と、ウィルフレッドは暗い表情のまま、女性教師達に向かってそう言ったので、


 「な、何ですか? その『恐ろしい予言』って……?」


 と、女性教師はまた恐る恐るそう尋ねると、


 「それは、復活した『邪神』の加護を受けた『悪魔』によって、『5柱の神々』が滅ぼされるという予言だ」


 と、ウィルフレッドはまだ暗い表情でそう答えたので、それを聞いた女性教師とクラスメイト達は、


 『な、何だってぇえええええ!?』


 と、驚きに満ちた叫びをあげながら、ざわざわとざわめき出した。


 しかし、そんな女性教師達を前に、ウィルフレッドは更に話を続ける。


 「勿論、最初は誰1人としてその予言を信じた者はいなかった。しかしある時、復活した『邪神』の1柱、『ループス』が、我々人間と『5柱の神々』に対して宣戦布告をし、それと同時に奴は強力な魔物を生み出してそれを世界中に放ったのだ。我々はその魔物を『邪神の眷属』と呼んでいる」


 「邪神の……眷属?」


 「そうだ。数こそ少ないが、先程も話したようにどの魔物も圧倒的な力を持ち、我々が幾ら力を合わせて立ち向かおうにも、全く歯が立たないどころかこちらが向こうに遊ばれてしまっているという。その時我々思った。予言に出てくる『悪魔』というのが、この『邪神の眷属』か、もしくはそれに関係しているもののことだろうとな」


 と、そう話したウィルフレッドの言葉に、女性教師達は「そ、そんな!」と顔を真っ青にした。


 「……」


 ただ1人、春風を除いて。


 




 




 


 


 


 


 

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