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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

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第20話 目覚めた場所の名は……


 「…う、ん……なんか、冷たい」


 と、ボソリとそう呟くのと同時に、春風は目を覚ました。


 まだ意識が完全に覚醒してないのか、春風の視界は真っ白に染まっていたので、


 (あれ? もしかして、変な夢でも見てるのか?)


 と、そう疑問に感じた春風は目をゴシゴシと擦りながら、ゆっくりと体を起こした。


 その時、


 「う、うわ!」


 「え!?」


 「な、何ここ!?」


 という声が春風の周囲から聞こえたので、


 (え!? 今の声……)


 と、驚いた拍子に意識が完全に覚醒した春風が周囲を見回すと、


 (あ、先生! それに、クラスのみんながいる!)


 春風の周りには、「ルールを無視した異世界召喚」の光に飲み込まれた女性教師やクラスメイト達がいた。


 勿論、その中には、


 (あぁ! ()()()()()! ()()()()! ()()もいる!)


 春風にとって「大切な存在」である、2人の少女と1人の少年の姿もあったので、


 (よ、よかった! 無事にみんなに会えた!)


 と、春風はホッと胸を撫で下ろすと、両手で自分の左右の頬をパンパンと叩いて、表情をキリッとさせた。


 その後、春風は改めて女性教師とクラスメイト達を見回した。


 全員、今の状況に困惑している様子だったが、それ以外は見たところ特に問題もなさそうだったので、


 (うん、今のところはみんな大丈夫そうだな……)


 と、春風は心の中でそう結論づけると、


 (それにしても、ここは一体何処だ? いや、『エルード』って世界なのは間違いないんだけど……)


 と、今度は現在自分達がいる場所を調べようと思い、再び周囲を見回した。


 そこは、白を基調とした立派な造りをしている広い部屋の中のようで、自分達は今、その部屋の中央にいることがわかった。


 そして部屋の壁際には、見たこともない衣服を着た人達や、「中世の騎士」を思わせる立派な鎧を纏った人達が大勢いて、何やら自分達のことをジッと見つめていたので、


 (何だこいつら? この世界の住人さんかな?)


 と、春風が怪しいものを見るかのように目を細めていると、


 「ようこそおいでくださいました、()()()()


 (ん?)


 何処からか少女のものと思われる声が聞こえたので、春風だけでなく女性教師やクラスメイト達までもが一斉にその声がした方へと振り向くと、そこには、「物語」とかに出てきそうな「お姫様」を思わせる立派なドレスを身に纏った、1人の金髪の少女が立っていた。


 (誰だろう? 俺と同じ年頃くらいに見えるけど……)


 と、春風がそう疑問に感じたように、見たところ春風やクラスメイト達と同じ年頃に見えるその少女を見て、一部の男子クラスメイト達が「か、可愛い……」とボーッと見惚れて、そんな男子クラスメイト達を、女子クラスメイト達がジト目で睨んでいる中、


 (ん? あの子の後ろにいるのって……)


 と、春風はその少女の背後にいる者達に視線を向けた。


 目の前にいる少女の背後には立派な造りをした椅子が4つあり、中央にあたる2つの椅子には、これまた立派な王冠を頭にかぶった威厳に満ち溢れた男性と、目の前の少女が着ているものよりも立派なドレスを身に纏った穏やかな雰囲気をした女性が座っていて、そんな女性の隣には、目の前の少女よりも少し幼い雰囲気をしたもう1人の少女が座っている。


 更にその周囲をよく見ると、彼らの周りには壁際にいる「騎士」達よりも更に派手な装飾が施された鎧を纏った男女や、物語とかに出てきそうな「偉い神官」を思わせるかのような少々派手な装飾が施された立派な白い法衣のようなものを身に纏った男性と、その人程ではないがシンプルな装飾が施された白い法衣のようなものを身に纏った男性が数人いた。


 それらを見た瞬間、


 (あ、あの人達の雰囲気は……ということは、もしかしてここは……!)


 と、春風は漸く、自分達がどういう場所にいるのか理解出来た。


 (ここは……『謁見の間』か!)


 そう、春風達が今いる場所は、ファンタジー系の物語に出てくる「西洋風のお城」の中にある、「王様」に謁見する為の部屋である「謁見の間」だった。そう考えた春風は、


 (となると、今、俺達の前にいるのは……)


 と、再び目の前の少女に視線を向けると、


 「あ、あの……あなたは? というか、ここは一体、何処なのですか?」


 と、未だ困惑してる様子の女性教師が、少女に向かってそう尋ねたので、


 「ああ、申し遅れました。ここは『エルード』という名の世界で、皆様から見れば『異世界』と言えますね。そして、ここはその『エルード』に存在する国の1つ、『ルーセンティア王国』というところでして、わたくしはそのルーセンティア王国の王女を務めております、クラリッサ・リンダ・ルーセンティアと申します。以後、お見知りおきを」


 と、その少女ーークラリッサは女性教師に向かってそう自己紹介した。


 それを聞いて、女性教師だけでなくクラスメイト達までもが、


 『え、えええええ!?』


 と、大きく目を見開きながら驚いていたが、


 (ふーん。『王女』、ねぇ)


 春風だけは、冷静な表情になっていた。


 (なるほど。どうやらここは、本当に『お城』の中で、目の前にいるのは『お姫様』、その背後にいる人達は、多分……いや、きっとこの国の『王様』と『王妃様』、隣にいるのはもう1人の『お姫様』かな。で、これも多分だけど、目の前にいるあの『お姫様』が、きっと今回の『異世界召喚』を行った張本人だろうな)


 と、春風は納得の表情を浮かべながらそう考えて、


 (そして、俺を除いた先生やクラスのみんなは、世界を救う『勇者様』というわけか……)


 と、最後に心の中でそう呟くと、


 (何が『勇者様方』だ! お前の……お前達の所為で俺達の故郷が……『地球』がとんでもないことになってしまったんだぞ!)


 と、目の前にいるクラリッサと、その背後に座る者達をギロリと睨みつけた。


 だがその後、


 (はっ! だ、駄目だ駄目だ! 落ち着け、落ち着くんだ春風……!)


 と、春風はすぐに我に返ると、気持ちを落ち着かせようとしてゆっくりと深呼吸した。


 それから春風は、また周囲を見回して、その場にいる者達全員がクラリッサに視線を向けてるのを確認すると、


 (ああ、よかった。誰も俺が睨んでいたことに気付いてない)


 と、心の中でそう呟くと、再びホッと胸を撫で下ろした。


 そんな様子の春風に気付かなかったのか、


 「それでは勇者様方、これより皆様をこの世界に召喚した詳しい理由を、こちらにいるわたくしの父にしてルーセンティア王国国王、ウィルフレッド陛下がご説明します」


 と、クラリッサは穏やかな笑みを浮かべてそう言いながらその場離れ、彼女と交代するように、王冠をかぶった男性が椅子……いや、「玉座」から立ち上がったので、


 (いよいよ『王様』の登場だな)


 と、春風はキリッとした表情で、話を聞く体勢に入った。


 


 




 


 


 

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― 新着の感想 ―
とても読みやすくて面白かったです。 神様たちが個性的で春風とのやり取りが楽しくてよかったです。 異世界転生にルールがあってそれを破ると色々な影響があるというのは新鮮ですね。 この先、春風がどんな活躍を…
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