落ちました
どすんっと音がしてすぐに痛みがお尻に走った。
「あいたたた」
腰やお尻らへんをさすりながら、目線を上にあげると真っ暗だ。
「なにが起こったの……」
そう呟いても返事なんて当たり前に来ない。
よいしょ、と言いながら立ち上がる。
周りは真っ暗でよく見えない。だが、木みたいなものが少し見える。
とりあえず明かりが欲しいと思い
「スマホスマホ」
と言いながら、鞄を手探りで探る。
「ないなぁ……」
(そういえばさっきまで手に持ってたな。でも今は持ってない。これはどこかで落とした感じ……?)
そう思って服が汚れるのも厭わず地面に膝をついて手当たり次第に探る。
「暗くて見えないし、なさそう……」
すると後ろからがさがさと音がした。
ビクッとして振り向くと、そこにはランタンみたいな明かりを持った人がいた。
「なにをしている……?」
訝しげにそう問われた。
だけど私は答えることができなかった。 だってその人は真っ黒な髪に真っ黒な瞳を持っていた。
私には見慣れたものだけど、なにぶん整っているレベルが違う。
でも、さすがに何も答えないのは失礼と思ったのと更に訝しげな目を向けられたので
「あ…… スマホを探してて」
と上ずりながら答えた。
「すまほ……?」
相手は眉間にシワを寄せ、更に訝しげな顔をする。
私はコクンと頷いた。
「なんだ、それは?」
(え、スマホをなんだと言われても……)
「スマホです。連絡とったりするやつです。」
としか答えられない。
「そんなに大事なやつなのか? 急いでないなら朝までまって明るくなってから探せば良い」
と言われた。
「たしかにそうですね。 あの、でも、ここはどこですか?」
私は来たときから気になっていたことを恐る恐る訊いた。
相手は、はぁ?という顔をしていたが
「ここはロッグ国だろ。ロッグ国の城の近くの森の中さ。」
と教えてくれた。
「ロッグ国……?」
世界史でも地理でも聞いたことのない国名だった。
世界史とか地理が苦手な私でもわかる、そんな国はない。




