第24話 大宇宙騒乱 威光幕府
終章 未来編
「六角推、タケルヶ産着も御照覧あれ」
大宇宙を統べる八百万の武門の棟梁、威光幕府114514代将軍ハッケヨイ・ノコッタは威光幕府の正当後継者たる証、伝家の神器、「鉄の六角錐」と「鎮東大将軍ロボ ピストンたける」に礼拝した。
開祖、ワカタケ・タケルの命が大宇宙に覇を唱えて幾星霜。
「鎮東大将軍ロボ ピストンたける」を身に纏って産まれたワカタケ・タケルノミコトが、後に北の方となる六角錐の姫、イヒカ御前とともに大宇宙を駆け抜け、斬り従えたという威光幕府のレジェンド。
礼拝の都度、身の引き締まる想いである。
「誰かある」
ハッケヨイ・ノコッタの呼びかけに応じる者は少ない。
恒星を丸ごと取り込んで動力とするダイソン級戦艦「火宅」の指揮指令棟内の御部屋衆達は、皆、居心地悪げに俯いている。
きっかけは些細な口論であったと伝えられている。
「高性能プロトタイプの単騎無双と量産機の物量ゴリ押しのどちらが強いのか」
「それは、どちらが攻めで、どちらが受けなのか」
おおぐま座グループ管領のイヤサカ氏と、おとめ座銀河団公方のモミヤ氏との諍いは、次第に深刻の度合いを深めていった。
やがて、許されない一言が発せられた。
「ワカタケ・タケルノミコトは地の底から這い出た誘惑の魔「イヒカ」の甘言に篭絡され、神との契約に背いたのではないか」と。
冒涜である。
異端である。
火あぶりの刑に処さねばならぬ。
各銀河団を所領とする二十一屋形に上意を発し、討伐軍を差し向ける。
全宇宙は騒乱した。
時間がかかるのである。
空間を構成する数式を書き換えて跳躍するマスマティクス航法を使っても軍勢の到着には年単位の歳月を要する。
各銀河団の守護が不在の間、守護代が所領を押領した。
守護が引き返して守護代と争い、守護代が勝つ。
守護代の所領を安堵し、上意軍への参集を命じる。
守護代不在の間、地頭が所領を押領する。
守護代と地頭が長く争う。
守護代と地頭の双方の所領を安堵してしまう。
双方にバレる。
上意の価値が下がる。
造反。
返り忠。
味方が敵になったと思ったら、味方になって帰ってきたので、敵になる前に滅ぼす。
大宇宙、群雄割拠。
もう何代も前から、威光将軍家は発祥の地である天の川銀河を追われ、ろくぶんぎ座銀河などという矮小銀河に逼塞している。
将軍家を僭称する氏族が大宇宙に乱立する様を見る屈辱。
しかし、決してあきらめない。
威光幕府の正当後継者たる証、「鉄の六角錐」と「タケルヶ産着」があるかぎり、我こそが大樹である。
開祖、ワカタケ・タケルノミコトが大宇宙に発した号令は「天下無為」。
何もしないという意味ではない。
何事も無いようにするという大志である。
その正当後継者たるハッケヨイ・ノコッタは大宇宙を平定し、スメラミコト(神)のおわす十一次元に上洛して公武合体をしなければならないのである。
闘志を新たに幸若舞を舞い謡う。
人間わずか五十年。
十一次元におわす神が瞬き一つするうちに、十次元より下の時空では五十年が過ぎるという。
人の子の一生など、夢、まぼろしの如くなり。
ひとたび、この世に生を受け。
滅せぬもののあるべきか。
終章 完
あとがき
前作のアクセス解析を見ても、よく分からないのですけど、もしかして固定の、最後までお付き合い下さった読者様が、お一人か、お二人、いらっしゃるのでしょうか。
こっちの方にも、お越しいただけたんでしょうか。
深夜に閲覧いただいているように感じるのですが、ご自愛くださいね。
感想受付とか怖くて出来ません。
何か思いついたら、また書くかもしれませんけど、そろそろハローワークに行かないといけないですし。
新しいのが出たら「あ、コイツ、まだ働いてねえんだな」と笑って読んでください。
皆さまの御多幸をお祈り申し上げます。




