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条件。

「それで……どういうことか説明してもらおうか」


カイトスとアルナイルを育てると決めてから数日が経ち、私の前には何故か鬼の形相をしたお父様と、無表情のお母様が立っていた。


どうやら手紙を読んで急いで駆けつけたらしい。


それはそうだ。


結婚したばかりだと言うのに、色々なことを吹っ飛ばして子供を育てるなんて連絡が来たのだ。


誰だって吃驚するだろう。


「どうもこうも……手紙に書いたことが全てです。この家を立て直したい……と言うよりも、子供たちのためにこの家を守りたいのです。勿論、事業が軌道に乗ればお金はお返しします」


手紙には簡潔に、子供を育てる事になったから迷惑をかけるかもしれないということ。


出来れば野菜の苗やお米の苗を分けて欲しいこと。


領地を立て直すためにお金を工面して欲しいことを伝えたのだけど、どうやらそれだけでは説明が足りなかったらしい。


出来ればお金を借りずに済めば一番なのだけど。


如何せん……本当にこの公爵家は無一文なのである。


私のお金もあるにはあるけど、全てを賄うことは無理だ。


「ふむ。それで『わかった』とならないことくらい、お前もわかっているだろう? どうしてそうなったのか、経緯を話せと言っているのだ」


無表情な顔で淡々と間合いを詰めてくるお父様。


さすが、法務局長だ。


それにお父様のことだから、スフェレライト公爵領がどのような状態なのかも分かっているはず……。


やはりお父様に隠し事は通じないらしい。


「申し訳ございません。私も色々焦ってしまいました。実は……結婚式の後、オディロンが姿を消したのです」


オディロンが姿を消した時の状況。


領地の状況など、あったことを細かく伝えていくと、お父様とお母様の顔はどんどん険しくなっていく。


「領地が良くない状態なのは理解していた。それに関しては王宮にいれば嫌でも耳に入ってくるからな。ただ、急にロンベルトが亡くなったから、少しだけ猶予を与えようと様子を見ていたのだ」


ロンベルト・スフェレライト。


前公爵の名前で、オディロンの父親だ。


確かお父様は、お義父様がまだ王族に籍を置いている時に側近をしていたと聞いたことがある。


確か仲が良かったとも言っていた。


お父様も親友の息子を信じたかった……のだろう。


私だって、自分の旦那がもう少しまともな人だと信じたかった。


まぁ、今ではそんなこと考えもしないけど。


「領地の事は大体わかった。それで? 子供と言うのはなんだ?」


お父様とお母様を見るに、こっちが本題だったのだろう。


私はエルダに二人を連れてきてもらうよう指示を出す。


エルダが出て行って数分後、双子ちゃんを連れてきてくれた。


「こちらの金髪の子がカイトス。ピンクブロンドの子はアルナイルと言います。私が名付けました」


お母様は昔から子供好きということもあり、双子ちゃんを見ると目を輝かせていた。


なんならエルダに駆け寄って、一人を抱っこしていたくらいだ。


しかし……お父様はそうもいかず……。


「それで、この子達は誰の子なんだ? お前の子ではないだろう」


「この双子は、オディロンとその愛人の子だと思います。オディロンが姿を消して一週間くらい経った頃でしょうか。一度だけ帰ってきたんです。そしてこの子達を置いていきました」


大きな袋に入れられていたこと。


双子が泣くまで、まさか子供が入っているとは気付かなかったこと。


そして、生まれて間もない子はほぼ服を着ていない状態で入れられていたということを伝える。


お父様もお母様も、開いた口が塞がらないのか、私の話が信じられないとでも言うようにこちらを見ていた。


「嘘だと思いたいのは分かりますが……全て事実です。ねっ? エルザ」


エルザが抱っこしていたカイトスを受け取ると、エルザは話し始めた。


「ジェラルド様、フレイチェ様。信じたくない気持ちも分からないでは無いですが、ジェラルディーナ様が仰ったことは紛れもない事実でございます。私以外にもこの家の侍女、従者全員が見ておりましたから。皆に聞いても同じ答えしか返ってこないはずです」


エルザの言葉を聞いて信じるしか無くなった二人は、私にフローライト伯爵家に帰ってくるようにと言ってくる。


帰ってくるように言われるのは何となくわかっていた。


だからオディロンのことは言いたくなかったのだ。


確かに、“帰る”ことも選択肢の一つではある。


けど、今の私の中には“帰る”という選択肢はなかった。


だって、子供達と一度関わってしまったし、侍女や従者たちが大変な思いをしているのを知ってしまったから……。


それに、このまま逃げるなんて、あのクズ野郎と同じになることだけはしたくなかったから……。


そのことを伝えると、お父様達は溜息をついてから、これからの事について条件を出してきた。


「分かった。ただし無条件という訳には行かない。期限を決めよう。五年だ。五年以内に借金を返済すること。領地経営を軌道に乗せること。それと……オディロンとその愛人を私の前に連れてくることだ」


正直、五年というのは短い。


けど、お父様がこうと決めたらテコでも意見を変えないことを知っている。


それに、こちらが援助を受ける側なのだ。


援助を受けられるだけでもいいと思わなくてはならない。


そう思った私は、お父様の言葉に頷いた。


「分かりました。五年で何とかしてみせます!」


お母様は、お父様と私のやり取りを聞いて、「本当に親子そっくりなんだから……」と笑っていた。


けど、お母様が家の中で一番怒ると怖いということを知っている私達は、お母様からそっと視線を逸らした。

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