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試飲会とアクアマリン領1周年記念パーティーにむけて

「ママ、おかえりなさい!」


「おかえりなさい!!」


「おかーり。」


アクアマリン領に帰ると、カイトスとアルナイル、ステラが出迎えてくれた。


お母様やフレデリクお兄様たちも私を見てホッとした顔をしている。


恐らくフィリベールから話を聞いていたのだろう。


そして私がベビーカーに乗せているシリウスと、一緒に歩いているリゲルをみて、皆が寄ってきた。


「ただいま戻りました。帰りが遅くなってしまってごめんなさい。」


そう伝えると、お母様とエルミーヌお義姉様は背中をさすってくれて、お兄様は軽く頭を撫でてくれた。


本当にいい家族に恵まれたと思う。


私が二人のことを紹介すると、カイトスとアルナイルはお兄さんになりたい年頃なのか、一生懸命面倒を見ようとしていて可愛い。


私は一先ず挨拶を終えると、お兄様とフィリベールを呼んで、これから行いたいことについて話をすることにした。


「フィリベール、フレデリクお兄様。いない間任せっぱなしにしてしまい申し訳ございませんでした。何か変わったことは無かったですか?」


「ディーナこそ大変だっただろう。」


「こちらは何事もなく終始上手くいっていたよ。蒸気機関車の工事もいい感じに進んでいる。」


「フローライト領からアクアマリン領まで平地で繋がっていることもあって、思った以上に早く工事が終わりそうだよ。」


「そうですね。フレデリクの言う通り、機関車の設計も順調ですし、作物も順調に育っております。」


「そろそろ大根や白菜なども収穫できる時期になっているでしょう。」


私がいない間に、二人は仲が良くなったようで、お互いに敬称なしで呼ぶようになっている。


元々フィリベールの弟であるベルリック様とフレデリクお兄様も仲が良かったし、考え方も似ているのだろう。


その後も二人は、私がいなかった時のことを詳しく教えてくれた。


ギョルマーさんやサンリードさんも何度か足を運んでくれているようで、試しに作ったものなどを持ってきてくれるそうだ。


「そう……。思っていた以上に進んでいるわね……。これならあれができそうだわ!!」


「「あれ……?」」


一人で考えていると、どうやらまた言葉に出てしまっていたようだ。


「すみません。また声に出ていましたか……。」


私の言葉に二人がこくりと頷いた。


最近独り言を誰かに聞かれていることが多くなっている気がするのは気のせいだろうか。


まぁ、声に出した方が考えがまとまったりするし、そういうこともあるのだろうけど……。


私はゴホンと咳払いをしてから話し出した。


「三ヶ月後、アクアマリン領に貴族の方々を招待して、試飲会とアクアマリン領の一周年記念パーティーを開催しようと思っています。」


「メインはお酒と特産品を売り込むことです。」


あとは蒸気機関車に乗ってきてもらうことで、どういう乗り物か知ってもらい、ゆくゆくは国全体に拡げて行ければいいと思っている。


「と、同時に……この辺りで悪さをしている貴族たちを一斉摘発出来ればと思っているんですが、どうでしょう。」


これは馬車の中で考えたことだ。


元々はお世話になった人だけ呼ぶつもりだったが、それなら国全体を巻き込んで悪さをしているヤツらを捕まえようと思ったわけだ。


これぞ一石二鳥ならぬ、一石三鳥というものである。


二人はそれぞれ少し考えてから、言葉を返した。


「いいと思うよ。勿論、その試飲会では我が領地の地酒も置いてくれるんだろう?」


「勿論です!」


「試飲会では、ビール・芋焼酎・梅酒・蜂蜜酒、それにホワイトベリル領で作っているホワイトベリル産の地酒と、フローライト領で作っているフローライト産の地酒を用意していただくつもりでした。」


「同じお米でも土や気候で味は全く変わると聞きますし、それぞれ用意できれば味がどのくらい変わるのか比較することも可能かと思っています。」


「まだベルリック様にはこの件を伝えていないので……伝えてから進めることになると思いますが……」


蒸気機関車がなければ持ってくるのも大変なため少し考えるつもりでいたけど、思った以上に開通までに時間がかからなそうだから、うまくいくのではないかと踏んでいる。


お兄様もここで売りこめられれば領地として儲かると踏んでいるのだろう。


少し悪い笑顔を浮かべている。


「なるほどな……それならもう二つ、お酒の種類を追加してくれないか?」


「二つ……ですか?」


「実は……米焼酎と、麦焼酎を作ってみているんだ。」


「まだうまくいっているかはわからないけどね。焼酎の作り方を聞いて、地酒を作った際に作った麹もあったからできるのではないかと始めてみたら、意外に楽しくてさ。」


「それで領民と一緒になって作っていたら、エルミーヌに叱られたよ。領地の仕事もしてくださいってね。」


「あぁ、勿論そちらも怠けていたつもりは一切ないよ。」


何となく、エルミーヌお義姉様が怒る姿が想像できた。


元々フレデリクお兄様も探求心が強い方だ。


一度始めたらそちらに夢中になってしまって、なかなか家に帰ってこなかったんだろう。


下手したら酒蔵に泊まり込み……なんてこともあり得なくはない……。


これは近いうちにウイスキーも作ってくれるんじゃないだろうか……と少し思った。


「そ、そうですか。それは災難でしたね……ですが、二つも焼酎を作るなんて、さすがですね!」


「一度話しただけで進められるんですから。是非! その二つのお酒も試飲会に出してくれると嬉しいです!」


試飲会のために魚の干物なども用意はするつもりだけど、もしかしたらチーズとかの乳製品も作った方が食べやすい人もいるのではないかと思ったので、少しずつ構想を練っていくことにした。


「では、これで進めましょう!」


「お酒だけ飲むと酔いやすくなってしまいますから、当日は軽食も準備いたします。」


「そのためにも干物やお漬物……これはこの後作ってみようと思っているんですが……それとチーズとか、おにぎりとかサンドイッチなども準備できたらと思っているので、こちらについてはまた後日お話させてください。」


そういうと、フレデリクお兄様はフローライト領でも作っているものをぜひ軽食の中に入れてほしいと言ってきたので、そちらも併せて後で時間をくださいと伝えた。


「フィリベールには……招待客のリストアップをお願いしていいかしら?」


「できればこの領地の貴族全員と……あと海の先にあるアレキサンドライト国にも招待状を送ってほしいわね。」


「折角海を挟んでお隣さんなんですもの。ここで一度きっちりお会いしてお話しなくてはね……?」


私の意図が伝わったのか、フィリベールも意地の悪い笑みを浮かべている。


「わかりました。招待客のリストアップを早急にして、招待状をお送りしましょう。」


出来ればアレキサンドライト国の国王様と、第三王子に来てほしいところだけど……そこばかりは当日になってみないと分からない。


私はこれからの準備について伝えると、漬物を作るために農家さんのところへ向かった。

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