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初夜をすっぽかされたと思ったら、崩壊寸前の公爵家と夫の隠し子を押し付けられました 〜旦那様は公爵家がいらないようなので、私がいただいても構いませんよね?〜  作者: ゆずこしょう
もう、あなたの居場所はここにはございません。

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あっという間に一ヶ月。

王城にオディロンを連れて行ってから一ヶ月が経った。


この一ヶ月は色々と手続きなどがあって、なかなか王都から帰ることができずにいた。


フィリベールが一足先にアクアマリン領へ帰り、その代わりにお父様がアクアマリン領から王都へと戻ってきてくれたりと、私だけではなくその周りも慌ただしく動いている。


オディロンについては余罪確認などをしているらしく、まだ取り調べが続いているらしい。


オディロンがいなくなった後、国王陛下をはじめ、王族全員に頭を下げられた。


正直、もう少し早く気づいてくれていれば結婚しなくて済んだと思うのだけど、そればかりは後の祭りだし、今は領地経営を楽しんでいるから良しとしようと思っている。


代わりと言っては何だが、いくつかこちらからの要求を伝えさせてもらった。


一つは、オディロンを去勢してほしいということだ。


今後は鉱山奴隷としてずっと働き続けなければならなくなるのだろうが……それでもクソ野郎をそのままにしておくわけにはいかない気がしたのだ。


こちらに関しては、国王陛下も二つ返事で頷いてくれたので、すぐに去勢手術が行われることだろう。


二つ目は、オディロンとの結婚を白い結婚として取り扱ってほしいということ。


白い結婚は五年以上子供ができず、関係を持っていない場合にのみ適用される。


まだオディロンと結婚して五年経っていないのだが、認めてほしいことを伝えた。


一度は国王陛下も渋ったが、ディオナ王妃の


「その位認められないなんて、最低ね……」


という一言で、すぐに白い結婚が認められた。


どうやら、国王陛下も奥さんには弱いらしい。


そして三つ目は、子供たち五人を私の養子として認めてほしいということだ。


白い結婚となる以上、結婚をしていた事実はなくなる。


あの子供たちはあくまでもオディロンの子供であって、私の子供ではないため、私が引き取ることはできない。


だが、オディロンもいない今、私が引き取るのが一番ベストだと思っている。


ただ、一つ問題があるとすれば、レイナを中心として誰が父親かわからないことだった。


父親がオディロンであればそのまま養子として考えてもいいと言われたが、もし相手の父親がオディロンでなかった場合、父親である者にも連絡し、きちんと話し合いをしなければならないということだった。


そう……これが未だに難航している問題だ。


カイトスとアルナイル、それにリゲルはオディロンと顔がそっくりだから、オディロンが父親なのだろうが……ステラとシリウスに関しては、似ても似つかない。


そのため養子にすることができず、どうしたらいいのか迷っている。


「ん~~~~!!」


「取り敢えず、これ以上迷っていてもすぐに何とかなる問題でもないし……お酒が飲みたいから、一度スフェレライト領に戻ってお酒造りを始めましょう!」


王都にこのままいても変わらないと思った私は、一度頭を空っぽにするため、ずっと作りたくて我慢していたお酒を作り始めることにした。


***


オディロン視点。


牢に入れられてから何日経っただろうか。


牢に入ってから毎日決まった時間に食事は来るが、特にそれ以外に誰かが来ると言ったことはなかった。


真っ暗闇の中、何もすることなく時間だけが過ぎていく。


かろうじて見えるのは、小さい小窓から眺める月くらいなものだ。


「俺は……そんなにひどいことをしてしまったのだろうか……」


小さいころから一緒にいたレイナ。


年も同じであり、レイナの母親が俺の乳母をしていたという理由から、レイナのことを好きになるのに時間はかからなかった。


十二歳になったころ、レイナも俺と同じ思いであることを知ったときは、すごく幸せだったのを今でも覚えている。


レイナから、


「私たちの関係は秘密にしましょう!」


と言われて、父上にも母上にも俺たちの関係をずっと秘密にしていた。


今思えば、もっと早く言っていればよかったのではないかと思っている。


そしたらジェラルディーナと婚約することも、結婚することもなかったのだから……。


婚約すると決まったとき、本当は父上に付き合っている人がいることを伝えようとした。


しかし、レイナはなぜだか付き合っていることを隠そうとずっと言い続けていた。


それからズルズルとジェラルディーナとの婚約関係が続き……。


ついに結婚するとなったとき、レイナは、


「結婚しちゃえばいいじゃない!」


「私とは愛人関係を続けていけばいいのよ!」


「それに子供を渡せば、きっと奥さんも愛人を認めてくれると思うわ!」


と言っていた。


今思えば、この時点でおかしいということに気付かなければいけなかったのだろう。


そもそも愛人の子供を渡して喜ぶ妻がどこにいるのか……。


俺が逆の立場であれば嫌に決まっている。


「あぁ……俺はジェラルディーナにずっとひどいことをしていたのだな……」


気づくのにこんなに時間がかかってしまうとは……。


レイナのことが好きすぎて、周りのことが全く見えていなかったようだ。


それから何日か過ぎた頃、コツンコツンと誰かが近寄ってくる音が聞こえた。


「オディロン。少しは反省したか。」


「エリオットか……。何しに来た。」


どうやら近づいてきたのは、従兄弟であるエリオットだったようだ。


「お前に言いたいことがあってきた。」


「俺はジェラルディーナのことが好きなんだ。」


「小さいころからな。」


「お前と結婚すると聞いて、一度は諦めたんだが……もう諦めるつもりはないからな。」


「俺がジェラルディーナをもらう。」


「それだけを言いに来た。」


それだけ言うとエリオットは、また牢の前から離れていく。


「エリオット……子供たちは、どうなった……?」


何故だろうか……。


ここに来て、子供たちがどうなっているか無性に気になった。


今までの罪滅ぼしなのかはわからないが……自分が少し冷静になったからだろうか……。


「安心しろ。」


「子供たちとスフェレライト領は俺が守っていく。」


「お前は、とりあえず自分の罪を償うことだけ考えろ。」


それだけ言うと、エリオットは帰っていった。


そして、俺は鉱山奴隷としてホワイトベリル領に送られることになった。


一番つらかったのは……去勢手術とやらをさせられたことだ……。


あの時ばかりは、一生死ぬまで忘れることはないだろう……。

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