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初夜をすっぽかされたと思ったら、崩壊寸前の公爵家と夫の隠し子を押し付けられました 〜旦那様は公爵家がいらないようなので、私がいただいても構いませんよね?〜  作者: ゆずこしょう
もう、あなたの居場所はここにはございません。

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あなたの居場所はもうここにはございません。

「お、お、俺が何をしたと言うんだ!!」


翌日、私たちはオディロンを連れて王都に向かった。


オディロンを国王陛下に引き渡すためである。


「自分が何もしていないとでも思っているのですか?」


「それはあまりに滑稽ですね。」


「というか、馬鹿にもほどがあります。」


「ですが、この馬車の中で話すことではございませんので、きちんと王都に着いてからお話させていただきましょう。」


王都までの道中、


「俺は何もしていない!」


「俺は領主だぞ!!」


と暴れ回っていたけど、その度にラルフお兄様が腹パンして眠らせていた。


起きる度に騒ぐから、うるさいったらありゃしない……。


このやり取りを何度か繰り返しているうちに、何とか王都までたどり着いた。


馬車でそのまま王宮まで連れていくと、すでにホワイトベリル宰相と、クリストフ国王陛下、ディオナ王妃、ハルトムート王太子殿下に、サミュエル第三王子殿下と王族全員が謁見の間に勢ぞろいしていた。


「遅くなってしまい申し訳ございません。クリストフ・カルブンクルス国王陛下……。」


「本日は急遽お時間いただきましてありがとうございます。」


国王陛下は私たちのげんなりした顔を見て、何となくことを察してくれたようだ。


私とラルフお兄様、フィリベールが膝をついて挨拶をすると、「面をあげよ。」と返してくる。


私たちが顔を上げると同時に、エリーは他の王族たちと一緒に並ぶ。


一通り挨拶を終えると、国王陛下の指示のもと、ズルズルと引きずられてオディロンが謁見の間に入ってきた。


「叔父上!叔母上!!助けてください!!」


「私は何もしておりません!!!」


謁見の間に入るなり、国王陛下に向けて助けを乞うオディロン。


国王陛下はオディロンのことを鋭い目つきで睨みつけた。


「黙れ、オディロン!!」


「お前に話す権利はないと思え。この恥知らずが!!」


国王陛下の怒号が謁見の間に響き渡る。


普段優しい国王陛下だけに、怒るとすさまじく怖い。


昔から優しい人が怒るのが一番怖いというが……まさにその通りだと思う……。


たった一言言っただけなのに、オディロンが一瞬にして静かになった。


「さて、静かになったところで、何があったか全てを話してもらおうか。」


「勿論、儂が知っていることもあるだろうが、改めてお主の口から聞かせてほしい。」


「ジェラルディーナ・アクアマリン・スフェレライトよ。」


「はい、国王陛下。」


「事の発端は、オディロン・スフェレライト様と結婚をした日まで遡ります……」


私は今までにあったことをすべて話した。


オディロンと結婚したその日、オディロンは家から姿を消したこと。


その一週間後、帰ってきたと思ったら子供を置いてすぐに出て行ったこと。


それから一年後、帰ってきたと思ったら子供を連れてきて、さらには家からお米や麦などを盗んでいったことを伝える。


「子供に関しては袋に入った状態で、まだ生まれたばかりの子供でした……。」


「今思えば生きていたからよかったものの、死んでいてもおかしくない状態だったと言えます。」


「お米や麦に関しては、私たちがいない間に、侍女や従者を脅して持って行っておりました。」


「最早、盗みと言っても過言ではありません!」


私がすべてのことを伝えると、オディロンが急に叫び出した。


「お、俺はそんなことしていない!」


「お前が一人で寂しいと思ったから子供を置いて行ったんだ!」


「米や麦だって、俺の領地で獲れたもの。」


「俺のものだから盗んだうちには入らない!」


何という言い訳だ……。


私が一人で寂しいから子供を置いて行った!?


犬や猫じゃあるまいし、子供だけ置いて行かれて「わぁ~うれしい!」ってなる奴がいると思っているのか。


ましてや自分の子供でもない。


旦那と愛人の子供だぞ!?


ありえないだろ!!


普通だったら孤児院に預けているところだわ!


ふざけんじゃねぇぞ。このクソ野郎!


オディロンの言い訳を聞いて、一人で心の中で毒づいていると……周りの皆が私の方を見ている……。


「も、もしかして……」


「えぇ……そのまさかです。」


「ジェラルディーナ……心の声が駄々洩れしています……」


フィリベールがこっそり教えてくれたが、かなり恥ずかしい……。


小さい声で「申し訳ございません。」と言うと、ディオナ王妃が「クスッ」と笑った。


「オディロン。」


「私は貴方のことを買い被っていたようですね。」


「ディアナの息子だから、もう少しきちんと育ってくれていると思っていたんですが……残念でなりません。」


「それに、あなたは自分の大事な息子たちを袋に入れて置いていった。」


「その時点であなたは親である資格はない。」


「さらにジェラルディーナという妻がいながら愛人を作った。」


「貴方、女をなんだと思っているのかしら?」


「もう私は貴方を家族だとは思えません。」


「もう私のことを叔母上とは呼ばないで頂戴!」


ディオナ王妃が玉座から立ち上がり、オディロンの前まで行くと、畳んだセンスで勢いよく殴った。


オディロンは「母上にも殴られたことがないのに……」と言っていたが、ディオナ王妃はお構いなしだ。


あ、あれは痛そうだ……。


「ディオナよ。その位にしておいてやれ。」


「それにまだこいつには話さなくてはならないことがある。」


国王陛下がディオナ王妃のことを呼ぶと、ディオナ王妃は玉座に戻った。


「さて、オディロン。」


「お前に一つ言っておかなければならないことがある。」


「お前は今、“領主”ではない。」


「二年前にお前は領主ではなくなっている。」


「そ、そんなことは……ありえません!!」


「私が印章を持っているのです!」


「誰も私には逆らうことができるわけがありません!」


国王陛下の言葉が信じられないのか、言い返すオディロン。


以前、自分で税金を集められなかったと言っていたのに忘れたのだろうか。


国王陛下の代わりにエリーが、オディロンに領主じゃない理由を話していく。


「あぁ~知らなかったのか……。」


「一つだけ領主を変える方法がある。」


「領主がいなくなり、見つからなかった場合、カルブンクルス国王陛下の名のもと、印章を再発行することができる。」


「そして印章を与えた者に、一時的だが領主代行をしてもらうことができることになっている。」


「なぜだかわかるか?」


オディロンは分からないのか……無言の時間が少し続くと、エリーが痺れを切らしたのか続きを話し出した。


「もし領主が死んでいた場合、印章をそのままにしておけば誰かに悪用される可能性があるからだよ!」


「お前は一年間一度も帰らず、領主としての仕事を怠ってきた。」


「それどころか、その以前から税金を横領し、国に支払わなければならない税金を支払っていなかったのも分かっている。」


「だから、お前はすでに領主じゃないんだ。」


「今の領主は、お前の妻であるジェラルディーナだよ。」


オディロンが私の方を見たが、私はただ見下ろすだけで何も言葉を発する気はなかった。


「はぁ……本当はお前に期待していたのじゃ。」


「ロンベルトとディアナが急に亡くなり、落ち込んでいたこともあっただろうが、ジェラルディーナがいれば何とか持ち直してくれるのではないか……とな。」


「だが、お前は落ち込んでいたのではなく、愛人と楽しい時間を過ごしていただけだったんだな。」


「本当に見損なったよ。」


「お前には追って沙汰を下すが、簡単に死ねるとは思わないように。」


「嫌だと言おうが、生きて罪を償ってもらうからな。」


国王陛下がオディロンを連れて行くように指示を出すと、オディロンがこちらを縋るような目で見てきた。


「そ、そんな……た、助けてくれ……ジェラルディーナ!」


「助けてくれ?」


「どの口が言っているのかわかりませんが、私にあなたを助ける義理などございません。」


「あぁ、それと――」


「戻ってきたところで、あなたの居場所はございませんので……ごきげんよう。」


やっとオディロンから解放されたことが嬉しくて、満面の笑みで別れの挨拶を告げた。

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