最終話「今日もお願いします」
翌朝。
開店前のPANDEMONIUM BURGERには、今日の仕事が並んでいた。
仕入れ。
受入。
厨房。
フロア。
広報。
配送。
作業表の《ぱむちゃん 配送》は、そのままだった。
その横に、小さく書いてある。
《本人判断》
◇
厨房で、朝最初のバーガーが包まれた。
紙袋へ入る。
封が貼られる。
《一〇一番/花店裏口》
近距離。
急ぎではない。
通常便でも届く。
配送ステーションへ送られる。
その横に、ぱむちゃんがいた。
◇
至誠ちゃんが来る。
配送票を見る。
時計を見る。
「一〇一番。近距離です!」
紙袋を持ち上げる。
ぱむちゃんの前へ出す。
行き先は指ささない。
「通常便でも間に合います!」
ぱむ。
至誠ちゃんは袋を押しつけない。
「ぱむちゃん」
ぱむちゃんが見る。
「一〇一番、持ちますか!」
◇
ぱむちゃんは、すぐには動かなかった。
配送票を見る。
《一〇一番/花店裏口》
至誠ちゃんを見る。
右手は下がっている。
紙袋を見る。
いつもの茶色。
いつもの重さ。
昨日までの古い用紙は付いていない。
世界線を渡る必要もない。
誰か一人にしかできない仕事でもない。
ただ、花店で待っている一個だった。
◇
ぱむちゃんは両手を出した。
至誠ちゃんが紙袋を離す。
ぱむちゃんの手へ重さが移る。
ぱむ!
至誠ちゃんが笑う。
「お願いします!」
◇
スタッフ扉へ行く。
開く。
客席を横切る。
ガラス扉の向こうに、朝の通りがある。
角の向こうに、花店の緑色が少しだけ見える。
ぱむちゃんは歩く。
リレーションはしない。
走らない。
世界線を飛び越えない。
店を振り返らない。
紙袋を両手で持ったまま、普通の扉から外へ出た。
ぱむ!




