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サキュバスの冒険  作者: みーたーなー
43/43

36暁(6)

「「うわぁ…」」


僕はドランに連れられてライラまで修行に来た。ここにはあまり来た事ないけど前来た時に間違いなくこんな銅像はなかった。


「気のせいじゃなければこの銅像は俺の親友だぞ?」

「上に伝説の人類英雄―間児裕赦って書いてあるね。」

「そういや最初裕赦に会った時もライラから何かが落ちてきたから行ってみたらあいつに会ったんだ。」

「落ちてきたって生身だったの?」

「あぁ..たぶん。」

「…へぇ…」

「どうした?兄さん達!伝説の英雄が気になったのか?」

「えっと…はい。」


天魔族のおじさんが話しかけてきた。


「その裕赦様はなぁ!ちょっと前ここに来た人間なんだ!人間は飛べないからライラに来るなんて珍しいだろ?」

「そうですね。」

「最後にライラに来た人間は300年前、魔王を倒した勇者パーティーの一人だったんだ。裕赦様が来た時はもう全員パニック状態だったよ!人間が飛んできたのを見たって門番が興奮していたしな。」

「ふーん…」


300年前か…それはさわぐな。


「それで…何で英雄なんですか?」

「それがその裕赦様びっくりするほど強くてな!ギルドの悩みのSランクモンスターだって退治して、他にもみんなの困っていた事を無償で解決していったんだよ。いやーあれは凄かった!」


おじいさんの口調が若返ってまるで少年の様に裕赦様の英雄談を語っていた。


「そしてこの銅像は?」

「国の皆が感謝を込めて作ったんだよ。でも裕赦様は修行の途中だからと言って三日間しか滞在しなかったんだ。おかげで出来上がるまでに裕赦様にお見せする事ができなかったんじゃ…」

「はぁ…」

「だがそれも仕方のないこと…英雄は来るのも去るのも突然だからのぅ…わしも若い頃は…」


おじいさんはそれはそれは無念そうな顔をしながらひたすら喋っていた。そうか…本人はこれの存在を知らないのか。僕達はおじいさんにお礼を言ってそっとその場を離れた。


「裕赦君は結構強いみたいだね。」

「あぁ!俺の修行仲間だったからな!あいつは今もどこかできっと修行している!俺らも負けずに修行するぞ!」

「はぁ…」


それからはドランの考えた滅茶苦茶なスケジュールを沿って修行した。もうむりと思ったある日、遠くから悲鳴や歓声が聞こえた。僕とドランは目を見合わせ、修行を中断して様子を見に行くことにした。


「うおーーーー!」

「うわあああああぁ…!」


裕赦が落ちて行った。文字通り島まで落下した後何事もなかったかのように這い上がっては飛んできた…あ、また落ちた。え?なにあれ?人間?


「頑張れー!英雄―!」

「英雄ざまぁー!落ちたー!」

「誰だざまぁと言った奴!出てこい!」

「違う!誤解だ!」

「おい!また飛んできたぞ!」

「これで何度目だ?」


隣のドランに聞いた。


「あれ人間で間違いないの?」

「そうだな…たぶんそうだ。」


何か彼どんどん笑顔になって来てないかなと思っていたらついに上ってきた。


「あ!ドラン!よかった探してたんだよ!」


何事もなかったかのように笑顔で言い放った。


「お前あそこは立ち入り禁止の土地だと言っただろ?」

「うん!着いた後に思い出した!」


反応凄く軽いな。


「何回も落ちていたけど平気なの?」


そしたら何のこと?とでも言いたげにキョトンとした後思い出したかのようにしてから言った。


「あ、あれ?全然平気だよ!前島に行った時もクロノアに落とされたんだ!あんな清々しい笑顔で崖から落とされたのはラズリの時以来だねー。二人共試してみますか?最初は怖くても意外と後から諦めを乗り越えて気持ち良くなってくるんですよ?」


この人は相当あの三人に毒されてるみたいだ。


「やばそうだねそれ。絶対にやめておくよ。」

「俺もやめておく。」


楽しいのにな…とでも言いたげな表情で残念がられた。


「知ってる?ここでは君英雄扱いだよ?」

「凄かったな、あれ。銅像まであったぞ。」

「は?」


やはり知らなかったか…あとそういえば…


「ユリアには崖から落とされた事ある?」

「無いですね…でも三人の中で一番怖かったです。」

「あれは怖かったな…暴走するおやじより怖い奴にはじめて会ったよ。世界は広いな…」


やはりユリアには逆らわないでおこう。


「一応立場上僕の部下なんだけどね…」

「ええ!?ユリアさん部下なんですか?」

「あいつが誰かの命令を聞くなんて想像できないな…」

「まぁ僕も怖いんだけどね。」

「そういえばドランの父さんに会ったよ。」


僕とドランは少し驚いた。あの人は妻を失った後情緒不安定になってよく暴走するようになっていると聞く、現にドランも何度か逆鱗に触れて殺されかけた事がある。


「父さんにか?なんかされたか?」

「挨拶したらドランはライラに行ったって言われた。」


途中で色々あっただろうに…省いたな。


「それでさっきの状況になった訳か…」

「で、俺に何の用だ?」

「ちょっと予知夢を見てね…二人共白衣を着た人間知り合いにいない?」

「「いない。」」

「まぁそうだよね…」


それにしても予知夢か…


「それより予知夢ってもしかしてラズリの使う予知夢?」

「知っているんですか?」

「うん…解決も手伝うって言われたけど断ったんだ。君の方はどうなの?」

「ななななな…なんてチャンスを無駄にしたんですか!?」

「え?」


何で会話がここにきて慌てるの?もっと慌てる内容いっぱいあったじゃん。


「ラズリは手伝ってくれる気はないの?」

「絶対ない!傍観して遊んでると思う!」

「まじかよタチが悪いな。」


そんなに悪い子には見えなかったけどな…


「三人で頼んでみる?」

「うーん…手伝ってくれるかなー…」

「試してもいないのに決めつけはよくないよ。」

「そうですね…そういえばあなたの名前は暁ですか?」

「え?何で知ってるの?」

「俺が言った。」

「そうなんだ。改めてよろしくね。間児裕赦君。」

「何で名前…ってあ!」


察したみたいだ。それから三人でご飯食べて銅像を見に行った。銅像の前で裕赦君はしばらく固まった後に開き直って住民にお礼を言って回った。


「ずっと気になってたんだけど何で君から塩っぽい匂いがするの?」

「あはは!島まで泳いで来たからね!」

「大陸から?」

「うん!」

「何で船使わなかったんだ?」

「急いで来たからね。」


島に入っちゃいけないのを忘れてたぐらい急いでいたんだな…


「じゃあそろそろラズリに会いに行かないとね。」

「はい!」

「一応聞くけどどう降りる気なんだ?」

「?ギルドめがけて落下すればいいじゃん!」


僕とドランは頭を抱えた。


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