表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混沌のディオス・ウォー  作者: 白沼 雄作
第一章 選ばれし少年
10/52

終話 愛する少年

「ダルい…………何か疲れた」

「…………」


 あれから数時間後。

 完治した鋭太郎と夏織は帰路を歩いていた。

 鋭太郎は戦闘終盤の記憶がなく、クロノスを倒したことすら覚えていなかった。

 柚乃は先生、生徒たちの記憶処理、校舎の修復作業をするために二人を早くも帰らせた。荘夜は柚乃の手伝いをしている。


「それにしてもねー、俺がエフェクトを使っただなんて信じられねえ話だな」

「…………」

「あっ、もうすぐ家に着くな」

「…………」


 夏織は何かを考えるように俯き、立ち止まる。


「?」


 鋭太郎もその後に続き、立ち止まって夏織を見る。


「何かあったか?」

「………………………」


 夏織が何かを決意し、顔を上げる。


「鋭太郎さん…………!」


 夏織が一途な視線で鋭太郎を見る。

 鋭太郎は思わず息を呑む。





「ずっと、ずっと前から好きでした! 付き合ってください!」





 とてもシンプルで、愛情がこもった告白。

 今更だと言うと失礼だが、夏織は鋭太郎に想いをぶつけた。

 鋭太郎は少し間を空けて、返事を出した。




「こちらこそ…………よろしく、お願いします」




 鋭太郎は恥ずかしそうに言った。


(瞬時に言葉が思いつかなかったからシンプルにしたけど…………大丈夫、だよな?)


 答えを聞いた夏織は目から涙が溢れ出て、鋭太郎の胸に飛びつくように抱きついた。


「よかった…………!」

「…………」


(決めた以上やり通す。これから先、数多の災難が待ち受けていることは承知の上だ。夏織を守り続ける。絶対に、何があろうと――)


 鋭太郎が堅く決心したその瞬間――鋭太郎の後ろに見えるマンションのある一部屋が爆発した。


「何だよ! 雰囲気ぶち壊れ――あっ」


 鋭太郎が夏織に抱きつかれたままそのマンションを見ると、最悪なことに気づいた。


「どうしました?」


 夏織が涙を鋭太郎の服で拭い、抱きしめたまま顔を覗かせる。





「あれ…………俺の部屋だ」





 鋭太郎の災難は、まだ始まったばかりである。


第一章 選ばれし少年 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ