閑話 ????と????
今回は今後重要な意味を持つ人たちに焦点をあてています。
一人は自分に嘆き、人生に絶望してる少女
一人は生きている意味を知りたくて、今の生活に疑問を持つ少女
この人達の視点での物語となります
閑話 ????と????
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「はぁ、どこかに行きたいですわ…」
今日もベッドの上から代わり映えのない景色を見ることしか出来ない私が憎い
ふと自分の体を見下ろしてみる。
色白で手足が細くお肉も全くついておらず、ここだけを見れば薄幸の少女にしか見えないでしょうね
理由は簡単ですわね。この病弱で歩くことも、ましてやちょっとした行動すら許してはくれない腹立たしい私のこの貧相な体のせいです
立って歩こうにも十数歩でも歩いただけで激しく咳き込み、膝をついてしまう弱い肺臓
食事をしようにも、少し堅い物を食べただけで、戻してしまう胃臓
物を持とうにも、数キルト(数㎏)の物を持っただけで痺れて落としてしまうほど脆弱な筋肉
補助道具を用いて外に出ようにも、少し陽の光を浴びただけで赤く染まる皮膚
全てはどんな医者ですら治せない不治の病に侵された私の体の病弱さ
ちょっと考えるだけでもこれだけ出てくる弱々しくて、とても憎くて、今すぐ天に召されたいほどにこいねがうのは当然のことですわ
だから父様と母様には「私なんかよりも私よりも強い子を産んでください!」と何度も申しました
ですが、父様と母様は新たに子供を作ろうとはなさらなかった
「なんで!どうして!!こんないてもいなくても変わらない私なんかを大切になさるの!!!」
「私なんかに構うよりも大切なことはいっぱいあるハズでしょう!!!」
これ以上に酷く醜いことを何度も言っているのに、それ以上の愛情を私に与え続ける父様と母様
だから早く私を天に召して欲しいと何度もお祈りするも今のところお迎えは来ない
―――こんなわたくしなんかに価値はあるのでしょうか?―――
―――わたくしに生きる意味はあるのでしょうか?―――
―――わたくしにこんなスキルが与えられたのはなぜでしょうか?―――
鬱屈した日々を過ごすウチに、城内が騒がしくなりました
帝国の脅しにより城内で勇者召還が行われ、巻き込まれた人が城内で生活をする事になり、あの日に出会うことになるのです。
あの出会いまでは一日中ずっと死ぬことを考えていました。でも、「あの方」と出会うことになり、今までの鬱屈した人生を変えることが出来ました。
私の人生を救ってくれた「あの方」に恩返しがしたい!!
それこそ、私の持っている知識と、救って頂いたこの人生をかけてでもと思うように!!!
これが、私≪フローリア=レセトラス≫と「あの方」≪扇 江星≫様との物語の始まりであると
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「はぁ!!? 帝国領に勇者がやってきたぁ!!!!」
…はぁ、私の耳がおかしくなったのかしら。…もう1回言って欲しいのだけど、お父様?
「まぁな、おまえがそう思うのもわかる。私も一言一句同じことを魔王様に言ってしまったからな。
幸い、魔王様も同意見だったらしく、お咎めは無しだったよ。
だが、事実だからもう一度言うぞ。
『先月、帝国が王国を脅して勇者召喚の魔方陣を行使させたとのこと、至急偵察官複数名を派遣し、勇者による我が魔王国と同盟国である港町<アキュラウス>への脅威度の偵察をせよ。
それと同時に同召喚陣で召喚された召喚者の人数とそれぞれの脅威度を偵察せよ』
とのことだ。そんなわけで我が娘も偵察隊に同行せよと謁見の間で報告書と共に報告がなされたのだ。」
あ、事実なのね…行きたくないわね~嫌な予感がするし
「おまえがそこまで言うということは、その勇者はかなり危険度が高いということだな」
「…お父様、この感じは勇者ではなくて、調査中に今までの人生が変わっちゃいそうな出来事が起きる
…って感じの意味ね。危険度はなさそうだけど、魔王様とお父様も巻き込まれる気がするわね」
「その意味は知りたくなかったな。
まぁ、そういう意味なら余計に、おまえに行ってきてほしいものだな。おまえのスキルはこういうときに有能なのだ、我が≪家≫がさらに上を目指すにはおまえのスキルが必要だからな。
と言うわけで、家長である私の命令だ、準備を整えて調査に向かいなさい。よいな」
そういってお父様は私の意見を一切聞かずに部屋の外に私を追い出してしまった。
私は渋々自分の部屋に戻り、調査に向かうための準備をしていたのだが、予感が治まるどころか、徐々に強くなっていくのを感じていた。
「こういうときって、大抵怪我や事故に遭って、調査が続行できず失敗するのよね…そのたびにお父様は家の評価が~とか我が家の価値が~とか言ってうるさいのよね…」
でも、父様にとって、私はこの家が上に行くための部品としか見られていない。
お父様自身も『私はこの家が四天王最強の家系になるための部品なのだ。』
と言ってるし、私以外の家族全員がそう思って行動してる。
私はそうは思わないんだけどな…家を飛び出したいけど、そんな勇気もないし…
―――どうして今の生き方に疑問をもったのだろう?
―――私はなんでこんな考えを持ってしまっただろう?
―――そもそも、私っていったい【なに】?
私は今までの自分の人生に疑問を持ってはいても、行動する勇気がなかった。
でも、「あいつ」と「あの子」と出会ってしまったが為に、その勇気を持つことが出来た。
だから、「あいつ」と「あの子」との縁を大切にしたい!
そのためなら、私は…私は!!!
この調査をきっかけにして、私≪カレン=ラフクニス≫と「あいつ」≪扇 江星≫と、「あの子」≪フローリア=レセトラス≫との出会いが私にとって大きな影響を与えることになるのだからね!!!
一人は人生に絶望していた少女
一人は今の生活から脱却したかった少女
二人と≪扇 江星≫が出会うまでのことを知っていて貰いたかったので、(どんなキャラになるかはともかく)、この辺で閑話で書くことだけは決めていました。
少女達にとっては、主人公こそ勇者だと!巷で囁かれている勇者は偽物だと!!
そう思う出会いだったんだと、思って頂ければ幸いです
(未来の自分にハードルを上げたかったのも事実です)
次話は3/23(土曜)の14時に投稿いたします。