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帰ってきました。

よろしくお願いします。

 家に着くと、木のゴーレムのキルシェさんとビルネさんが出てきてくれた。

 その横をすり抜けるようにして知らない人が駆けだしてくる。


 「ライシェラ様!」


 僕は後ろを見るけど、まだライシェラは着いていない。

 ちなみに、紫のワイバーンさんと飛竜さん達はもういない、近くで降ろしてもらって、蜘蛛の人は担いで持ってきた。

 担いだのは僕で、レティに浮く魔法をかけてもらった。

 下半身が大きいから重そうだけど、持ちにくいだけで意外と僕でも持って歩けた。

 ただそのままだと、どうしても引きずってしまうので、レティに魔法をお願いした。

 

 「・・・ライシェラ様はまだ戻られないのですか?」


 「さぁてね?もう来るんじゃない?」


 出てきた人はトボトボと家の中に戻っていく。

 入れ替わるようにアージが出て来る。


 「貴女あなたも女を自称するなら、もう少し慎みを持ちなさい。ってまぁ!コブンちゃん!おかえりなさい~」


 今度はアージが駆けてきた。


 「慎みはどうした?」


 レティが、足を払うと前のめりに体勢を崩して、そのまま伸身前方宙返りで僕に抱き着こうとして、僕の抱えていた蜘蛛の人に抱き着く。


 「あら、私は乙女だから良いのよ。乙女の愛の前では全てが許されるの!」


 何事も無かった様に立ち上がり、パンパンっと手をほろいながら宣言する。


 「ってまた何か持って来たのね?」


 「コブンが、仲良くなったらしい」


 「あら、そうなのね!ってコブンちゃんにこんな大きいモノ持たせて!コブンちゃん疲れたでしょ?良いのよ私が持つわ!」


 そう言って、アージが蜘蛛の人を引き受けてくれる。

 すると、レティがパチンッと指を鳴らす。


 「な!?ぐはっ、おっも!」


 アージが、ぐぬぬぬっとか言いだした。


 「だいじょうぶ?」


 「なっなんの!これしき、心配、しないで!コブンちゃんは!先に、なかへ!」


 そう言って引きつった笑顔になる。

 なんか、無駄に男前だ。


 そんなやりとりをしながら、取りあえず僕たちは家の中へ入り蜘蛛の人を長椅子に寝かせる。


 「アージ、ありがどう。アージの服のお陰で命拾いしまじた」


 僕が改めてお礼を言うと、アージはキョトンと首をかしげた後、鼻息を荒くしてガバッと抱き着いてきた。


 「はぁ、話が進まないから、そういうのはやめろよ」


 レティが、アージの頭を鷲掴みにする。

 どことなくミシッミシッて音が聞こえてきそうだ。


 「じょっ、冗談よレティシアちゃん!コブンちゃんにキュンキュンきて!我を忘れてしまったわ!」


 レティが、手を放す。

 アージはしばらく床で悶絶していた。


 「痛すぎよ!死ぬかと思ったわ!」


 「心配しなくても、人の骨がどこまで耐えられるかは知ってるよ」


 「個人差があるでしょ!?って、あれ?これ!まさか!?アラクネーなの!?」


 ベットに横たえた蜘蛛の人を、はじめて見たみたいに驚いている。。

 確かに、まるまってるのを抱えてたから、なんなのか分からなかったのかも知れない。


 「こいつの素性、知ってるの?」


 「知ってるも何も!?これを見つけるために、この街に来たぐらいよ!森で捕獲するためにね」


 「へぇ、そりゃ知らなかった」


 「仕事の方が忙しくなったから、ずるずる後回しになっちゃって出来なかったけど、いつかはラティキエに依頼しようかとすら思ってたんだから・・・まさか!コブンちゃんが見つけてきてくれるなんて!!」


 また僕の方に、バッと腕を広げようとして、レティの手が頭に乗っかり、バッと引っ込める。


 「えっーと、それで?なんだったっけ?」


 「こいつの服に魔法を付与して欲しい。えーっと?酸耐性?」


 「そう。ってそろそろ体、治しであげた方が良いんじゃない?」


 「そう言えば、動かないわね。なんかしたの?」


 「コブンをさらったんだよ」


 「・・・なんて、うらや・・じゃない。けしからん話ね」


 レティが、蜘蛛の人の額に触れる。

 すると、蜘蛛の人がゆっくりと起き上がって、長椅子に座り直す。

 でもどこか、呼吸が荒い。


 「いきなり逃げられても面倒だからな。徐々に回復するはずさ」


 「言葉は話せるのかしら?」


 「わからないげど、思念はなんどなく伝わるみだい」


 「じゃあ直接、話させてもらっても良いかしら?コブンちゃんの知り合いだもの変なことはしないと誓うわ」


 「いいよ。アージの事は信頼しでる」


 またアージが、両腕をバッバッと腕を出したり戻したりした。



 アージが、蜘蛛の人と念話してる間に、ライシェラが帰ってきた。

 青いワイバーンさんから飛び降りる。

 ちなみにライシェラの青いワイバーンさんと角笛の飛竜さん達は街に近づいても大丈夫なように認識阻害の道具を着けてもらっている。

 どこに居たのか、さっきの人がドタドタ出てきて駆けていく。


 「ライシェラ様!お帰りなさいませ!」


 「ただいま、ふぃりる」


 近くまで駆け寄って、直角に頭を下げる人に、ライシェラは軽く手をあげて答え、家に入ってきた。


 「ただいま、コブン、レティシア」


 「おがえり、ライシェラ」


 「おかえり」


 ライシェラ達はそのまま2階に上がっていく。


 「・・・駄目ね。私の思念には反応が無いわ。なんでかしら?」


 僕の時は反応したけど。

 不思議に思ってゆっくり、蜘蛛の人に触れてみる。


 『大丈夫?』


 すると蜘蛛の人はビクッとなった後、僕の方を向いた。

 動きも緩慢だし、本調子じゃないのかもと思ったが、よく見ると震えている。

 慣れない環境で、おびえてしまっているのかもしれない。

 僕が、レティとアージにその事を伝えると。


 「アージ、手伝え」


 レティが短くそう言うと、親指ほどの緑色の丸い光の玉をアージに投げる。

 アージはそれを片手で受け止め、両手を打ち鳴らすようにして、その玉を手の平で潰すと、パーッと周囲に光が飛び出す。

 いつの間にか家の中が、森の景色になる。

 壁がなくなり、森の中のどこまでも伸びる大きな木が立ち並び、床は苔むした緑の地面になる。

 天井は木々の葉っぱに覆われた空になり、テーブルと長椅子も石のようになる。


 「・・・これが、森の深部なのね?」 


 「深部ってほどでもない、中間ぐらいかな。コブン幻だよ、アタイがイメージしてアージが再現したんだ。この蜘蛛に要望を聞かないと始まらないしね」


 目を見開くようにして、キョロキョロしている、蜘蛛の人に改めて、声をかける。



 しばらくして、なんとか意思疎通をした結果。

 毒と酸に対して耐性のある、強い服が欲しいそうだ。


 「・・・コブンちゃん。色々考えたんだけど・・・。この子を私に引き取らせてくれないかしら?危険な森の中で生活するよりいいと思うの?」


 「自分の使い魔にしたいって?・・・そりゃ、むしがよすぎだろ?」


 「私はこの子事を思って!」


 「アージ。誤魔化すなよ?それはお前の望みだろ。魔女の使い魔って言うのは、人がギルドでシモベに登録するような易い結びつきじゃない。この蜘蛛はどう見てもお前の方を向いてないだろ?そんなの無理に使い魔にしても共に歩むなんて出来ない」


 「・・・わかってるけど!」


 僕は蜘蛛の人に伝える。

 すると、首を横に振った。


 「・・・そう。残念だわ」


 アージの顔はとても残念そうだったので、蜘蛛の人に1つ違う提案をしてみる。

 すると、すんなり頷いてくれた。


 「服の勉強のだめに、少しの間こごで暮らすのは良いって」


 「まぁ!コブンちゃん!!」


 「コブン!・・・はぁ、あんまりアージを甘やかすなよ。アージ連日ここに居続けたりするなよ!お前の寝る場所なんかないからな!!」


 「わかったわ!もちろんちゃんと帰るわよ!あぁ!コブンちゃん!ハグさせて!!」


 「ダメだ。それより、付与の方さっさとしろよ。それがこの蜘蛛とコブンの約束だったらしい」


 「あら、そうだったのね。わかったわ!」


 そう言ってアージが蜘蛛の人に手をかざす。

 手の平の前に複雑な模様が浮かび上がる。

 その模様が蜘蛛の人の服にゆっくりと近づいて、途中でパリーンッと割れてしまう。


 「あら?・・・そう、やっぱりこの服はアラクネーの糸なのね。コブンちゃんごめんなさい、私もアラクネーの布は扱ったことが無いの、今すぐには無理だわ。私の作った服で良かったら、提供できるけど」


 「このふぐ、色が変わるの。だから、これじゃないど駄目だと思う」


 「まぁ!ますます、研究する時間が必要だわ。レティシアちゃんお願い!」


 「・・・三日だけだ」


 「そんなの無理よ!十日は必要だわ」


 「天才だろ?なんとかしろよ」


 「どう頑張ったって三分の一は無理よ」


 「・・・じゃあ五日」


 「九日!これ以上は短くできないわ。レティシアちゃんだって万能だけど全能ではないでしょ?」


 「・・・六日、途中で必ず帰る事。匂いとか染みつきそうだし」


 「失礼ね。清潔感はファッションの絶対条件よ。寝ないでやって八日よ。他にも優先しなきゃいけない仕事があるもの!」


 「コブンより?」


 「なかったわ、七日!無理な発注はいい結果にはならないわ」


 「・・・今回だけだからな」


 アージが七日間、家に泊まることになったみたい。

 読んで頂きありがとうございました。

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