蜘蛛の人が戦います。
よろしくお願いします。
今日は少し筆が進みました。
蜘蛛の人が着ている、黒い服の色が瞬時に変わる。
ちなみに暗いところでは、色とか詳しくは判らなかったけれど、改めてみると。
頭と口元を黒い布で隠し、半身も黒いゆったりした布の服を着ている。
下半身も、お腹の部分は布で覆われている。
その全部黒い服が、突然緑や茶色に近い色合いになる。
そして木の上に移動して動かなくなる。
すると、葉や幹に溶け込んでどこに居るのかわからなくなる。
ゆったりして、風になびいていた服も、木の葉の揺らめきの一部になってしまった。
僕が突然どうしたんだろうと思っていると、どこからともなく、ブーンって音が聞こえてくる。
その低い羽音に、やな予感しかしない。
現れたのは、僕の倍くらいはある大きな蜂だ。
巣の辺りを何度か旋回し、みの虫の僕の前で制止すると、頭をグッと仰け反らせ、ペッとツバのような物を僕のグルグルの体に飛ばす。
すると、やな臭いがしてきて、締め付けていた糸が緩む。
僕は慌ててもがき、糸から抜け出す。
あのツバで、糸が解けたみたいだ。
そうして、蜂さんが助けてくれた。
ならよかったのだけど、僕が動けると思わなかったのか、一瞬首をかしげた後、蜂は僕の方へ襲いかかる。
お尻の針を突き立てようと飛びかかってきた。
最初の攻撃は横に飛ぶことで、何とかかわすことができたけど、ここは蜘蛛の巣の上だ。
僕の腕に粘性の糸が絡みつき、動き辛くなる。
それでも、3度針の攻撃をかわすと、頭をグッと仰け反らせる。
また酸だ。
それはわかったけど、避けるために動き回ったせいで、両足にまで糸が絡みつき逃げられそうに無い。
そして、酸が僕にかけられる。
でもそれは、まるでただの水のように、薄ら青く光った服に弾かれる。
そして、今まで隠れていた蜘蛛の人が、背後から蜂に飛びかかる。
足で抑え込み、羽根を引き千切る。
見えたのはそこまでで、僕は服の弾いた酸で足場が溶けて、木の下へ真っ逆さまだ。
でも、もうすぐ地面にぶつかるって所で、足に糸が巻き付き反動で飛び上がる。
こんな状況でも冷静なのは、レティのお陰なのかなっと、流れる森の景色を見ながら他人事のように考えていた。
揺れがおさまってから蜘蛛の人が引っ張り上げてくれた。
傍らには、それがなんなのか言われなければ分からない状態の、元蜂が転がっている。
『助けてくれて、ありがとうございます』
伝わらないとは思ったけど、お礼を言った。
蜘蛛の人は、そんなことより、僕のローブの方に興味があるらしく、ひっくり返したり、ペタペタ触ったりしている。
その後、蜂の酸を枝先につけてそれで恐る恐るツンツンしてきた。
服はまた薄ら青く光る。
そうか、たぶんこれはアージの魔法だ。
そして蜘蛛の人は、あの酸を警戒して隠れたんだ。
僕は、びっくりさせないようにゆっくりと、蜘蛛の人に触れる。
『これは、服に付いている魔法だよ』
僕がそう伝えると、一瞬ビクッと身構えたが、少しためらった後、僕にふれる。
身長差があるので、屈んでも頭をグッと押さえ込む感じだ。
いや、そうじゃないよ、と思ったけど、その手に僕の手を重ねる。
『服に魔法がかかってるの。僕のと・・・、知り合いにそういうことが出来る人が居て。僕を帰してくれれば、作ってくれる様にお願いできるかも?』
そこまで伝えて、一旦手を離す。
考える時間が必要だろうと思ったからだ。
でも、そのまま頭を掴まれて持ち上げられ、小脇に抱えられる。
『あ!待って待って!自分で歩けるから!』
バッと、巣から飛び降りて、地面に着地すると凄い速さで走り出す。
『せっせめて、この口の紐を取って』
蜘蛛の人が口の糸に触れると、ハラハラと口を覆っていた紐がほどける。
やっと、呼吸が楽になった。
少し進んだところで、蜘蛛の人が突然止まる。
途端に茂みから黒い革鎧を纏った虎が飛び出し、蜘蛛の人の体に体当たりした。
拍子で僕は、横に投げ出され、受け止められる。
レティだ、なんか頭の後に柔らかい物があたっている。
「待っで!ライシェラ!」
地面に蜘蛛の人を押さえつけていた、虎がグワーッっと吠えた後、蜘蛛の人を解放する。
でも、蜘蛛の人は、今の咆哮で、動けないようだ。
「おはよ。コブン」
「おはよう、レティ。ライシェラ、ありがとう」
虎はもうライシェラになっていた。
「おはよう、コブン。もどって、あさごはん」
「わかった。レティもありがとう」
「いいよ。それより、この蜘蛛、連れてくの?」
「アージに会わせるっで、約束じたの」
「あぁーあ、ライシェラが脅すから、動けなくなってる」
「さいしょに、つよさ、おしえるの、だいじ」
「なるほど。確かにそれは一理あるね」
レティは、蜘蛛の人の顔を覗き込む。
「恐慌、麻痺、混乱、おまけに衰弱」
僕とレティの視線がライシェラに集まる。
「にくの、におい、おってきた。どろぼう、おしおき」
「しょうがない、このまま運んだ方が早いね。コブン、飛竜に運んでもらおう。上にはアタイが運ぶよ」
僕がライシェラを見るとうなずいた。
飛竜の角笛を吹いて少しすると、森の木の上で鳴き声が聞こえる。
レティは、蜘蛛の人を担いで飛び上がる。
ちなみに、蜘蛛の人は、レティの倍ぐらいはある大きさだ。
大丈夫かな?
レティは、力持ちだけど、飛竜さん達が心配だ。
レティが降りてくると、蜘蛛の人は居なくなっていた。
「ライシェラは、どうする?」
「はしる。きょうそう、もりなら、まけない」
「よし、行くよコブン」
あっという間に、空の上だ。
後ろを見ると、飛竜さん達が2頭で、蜘蛛の人を運んでいる。
飛竜さん達に少し申し訳ない気持ちになった。
でも、それもどんどん小さくなる。
僕は、風圧で後ろしか見えない。
レティもライシェラも負けず嫌いだから、本気だ。
風のかたまりに何度か頭を殴られてる間に、飛竜の広間に着いた。
僕たちが着地すると、上から虎が降ってくる。
エーッ!っと思ってる間に、虎から黒い影が現れ、地面を殴り付ける。
地面にドラゴンの手形が出来て、ライシェラはトンっと着地した。
その後の2人のやり取りは、レティがフフンって笑って、ライシェラは何事もなかったように、僕にご飯を催促しただけだ。
僕は炊事場で朝ご飯の用意をする。
朝は、レティとライシェラぐらいしか食べないので楽だ。
他の人達は朝は食べない。
食べたい人は自分で取りに行く。
何故かそういう決まりがあるみたい。
元ボスさんが理由を言ってた気がするけど、あまり聞いてなかった。
燻製肉がないので、野菜炒めにしようかと思っていると、ライシェラが来た。
さっと僕が用意していた食材を見て。
「コブン。きのうの、にくは?」
「あぁ、蜘蛛の人が、食べちゃった」
「・・・ぜんぶ?」
ライシェラがくるっときびすを返して出ていこうとする。
なんだろう背後に危機迫る何かを感じる。
「待っで、ライシェラ。どうずるき?」
僕は、慌てて呼び止める。
「にくどろぼうに、てっつい」
「待っで、ちゃんど美味しい物が出来るから。朝はあっさりで、晩にガッツリだべよ?」
「・・・むり」
「わかっだ!お肉あるがら大丈夫。だがらレティ呼んできて?」
僕は他の人が、これは毒だと棄てていた大きな芋を取り出す。
合成すると、コンニャクなる。
それを、薄く切ったり、四角く切って鍋に入れる。
ちょうどその時、レティが着てくれる。
「レティ、これ凍らせで?」
「ん?ほい」
レティが、チラッと見ただけで鍋が取ってまでカチコチになってる。
「次溶かして、あ!まっで!氷がとげるくらいで」
「コブン。アタイだって鍋ごと溶かしたりしないよ?」
「一応、なんどなく・・・」
鍋まで凍ってることは黙っておく。
「ほい。後は?」
「もう大丈夫。ありがとうレティ」
「いいよ、お肉のためなんだろ?」
レティが、機嫌良く笑顔で聞いてくる。
なんとなく気まずくて目を合わせられない。
できたのは、こんにゃくのお肉もどきセットだ。
焼き鳥もどきや、バラ肉もどき炒めもある。
一品だけ、干し肉で作ったベーコンサンドもある。
ベーコンは一口で全部出てきたりしないように、ばらけない程度に切れ目をいれてからカリカリにしてある。
二人の感想は。
「・・・美味しい。それは間違いないけど。肉じゃないね、肉だと思えば、そう感じなくもないかな?まぁ、アタイはライシェラほど肉に執着はないしね。あ!このパンはいいね。やっぱお肉だね・・・」
「・・・コブン。うそ、ついた」
「ごめんなさい」
「おいしいから、ゆるす。でも、ごじゅってん」
あ、その採点は続くんだ。しかも10点も下がった。
読んで頂きありがとうございます。
みなさんは蜘蛛の人の衣装をどの様にイメージされたでしょうか?
忍者っぽい黒装束でしょうか?
作者的には、イスラム圏のニカブというらしい、頭と口元を隠し、目元だけ出す衣装をイメージしております。
作者はいろんな国の民族衣装が好きだから、そう勝手にイメージしているだけなのですが。
何度も言いますが、この作品では読者様のイメージこそが正しいです。作者の戯言は忘れて頂いて問題ありません。
また、作者はいかなる宗教の思想も歴史も文化も名称も、影響を受けることはあっても、否定も肯定も致しませんし、推奨する意図もありません。
作者が愚かゆえに、ご不快に思うこともあるかもしれませんが、ご容赦ください。




