表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/209

コブンを手に入れた。

 ゴブリンの視点から変わります。

 よろしくお願いします。

 「・・・グッグギィ・・・」 

 手の中でゴブリンが唸った。

 はぁ、アタイも相当参ってるな。

 ゴブリンに話しかけるなんて、通じる訳も無いのに。

 しかし、この子供のゴブリン、見た目は普通だが、さっき確かに合成の異能ラオベンを使ったよな?

 ・・・そんなの今まで聞いたこと無い。


 しかも、アタイを助けようとしたのか?

 ヒュムの冒険者は逃げ出したのに・・・いや、まさかな。

 ゴブリンは弱い魔物だ。

 だが、悪知恵が働く。

 だからこそアタイのカバンを漁った。

 ・・・でも何も取らなかった。

 まぁ、毛皮しか入ってないか・・・。


 ・・・食べ物を用意してアタイの横に置いた。

 毒でも入っていたのか!?

 ・・・ってもう食べてしまった。

 しかし今の所、異変は感じ無い。

 むしろ元気になった、魔力も少し回復したから震えも止まったし・・・。


 「・・・お前、アタイを助けようとしたのか?」


 そうゴブリンを見ると、目に涙浮かべて必死に頷いた。

 ん?なんかアタイがイジメてるみたいに・・・なってないか?

 それより、会話が成立したような・・・気がしないでもない。


 「・・・お前、食べ物に毒入れたのか?」


 「ぎげでなぎでぐ」


 なんか、唸りながら首を横に振った。

 必死に否定しているように見えなくもない。


 「お前、アタイの言ってる言葉がわかるのか?」


 持ち上げて顔をのぞき込む。

 すると、やたらカクカクと頷いた。

 ・・・もしかすると、通じているかもしれない。


 さて、どうするか。まさかアタイ程の魔女が、ゴブリンなんかを使い魔にするとか・・・あり得ない。

 しかし、こいつは異能ラオベンを持っている。

 もし、他にも魔力を回復できるようなモノが作れるなら、逃がすのは惜しい。

 特に今アタイは瀕死、こいつが森を抜ける切り札になるかもしれない。


 だがしかし、服従とか支配系の魔法は苦手だから、今は魔力が無くて使えない。

 今できるとしたら、力を分け与える契約の方法だけだ。


 そうだ、アタイが使い魔にすれば、きっと力も強くなる。

 子供のゴブリンでも、この辺りなら大抵の魔物に勝てるはず・・・ふむ。

 まぁ、死んでしまっても、ラオベンを奪う方法を調べておけば、無駄にはならないか。


 「お前、アタイの言葉がわかるなら手、出して」


 ゴブリンは涙目になりながら、震える手を出した。

 アタイは、すっかりボロボロになってしまった手甲から、針を取り出す。

 血が必要な契約用の針で、他には大した使い道が無い。

 緑の震える手にチクッとやる。

 ゴブリンの血を手の平で受け取り、自分の手もチクッとやる。


 「いい?今からアタイが呪文を唱えるから、最後に『はい』って言いなさい。あ、言えなければ心の中で同意するだけでいいわ」


 ゴブリンはやはり、あまりよくわかってない顔で何度も頷いている。

 まぁ、わかってなくても契約してしまえばこっちのモノだ。

 アタイは緑の小さい手を握り、唱え始める。


 「我、魔女レティシアは・・・。お前、名前は?・・・え、無いの?じゃあ、子供ゴブリンだから『コブン』ね」


 「グェ?ゴギャガッゲギ!?」


 「うるさいよ。・・・コブンと契約し、絆を結ぶモノなり、命尽きるまで互いを助ける。・・・ほれ」


 アタイがゴブリンの方をみると頷きながら。


 「ガギィ」


 「双方の同意を持って成立とする。『契約シンヴォレオ』」


 少し、クラッとした。

 多少は魔力が回復してると思ったが、意外と契約って魔力を消費するんだな。


 「よし、取り合えず、これでいい。いいか、もう勝手に逃げられないし、アタイを傷つける事もできないよ」


 「ギグヅゲデジガギゴ」

 『傷つけるなんてしないよ』


 「あぁ、ホントに意味ある言葉を喋ってたんだね。でも、ゴブリンの鳴き声は耳障りだ。もう契約したから、近くに居れば頭で考えるだけで伝わる。だからしゃべるな、今少し頭痛がするんだ」


 「グギィ?」

 『えっ?』


 ゴブリンは相変わらず、分かっていない感じで、小首を傾げている。


 「また魔力を使ったからね。まぁ、面倒な話はいいよ。それよりゴブリン。あ、いや、コブン。アタイまだ動けそうにないから、なんか食い物くれ」

 読んで頂きありがとうございます。


 17年8月10日21時頃、修正しました。

 最初、レティシアさんの性格がぶれまくっていたので、かなり大きく修正しております

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ