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やっぱり肉だな。

 日が沈む少し前位から雨が降り始めた。

 辺りは暗くなり、冒険者の人達も出入りがまばらになった頃、ギルドの灯りが消えた。

 僕の居る場所はギルドのひさしの下なので雨には当たらないけど、昼間から見ると気温がさがってきているようだ。

 すると雨の中近づいてくる人影が見えた。


 「レティ?」


 「キャッ!・・って、あなた昼間のゴブリン?」


 傘と提灯の様な照明器具を持った女の人だった。


 「ゴメン、マジガゲダ」


 「って、まさかずっとここに居たの!?」


 「レティ、バッデル・・マッダル・・」


 「まってる?」


 僕がうなずくと女の人は何か思い当たる事があるようだ。

 あー、って顔をした後に眉間にしわを寄せた。


 「ねぇ、キミ?良かったらお姉さんの家であったまる?ここだと冷えちゃうよ?」


 僕は首を横に振る。


 「ゴコ、レティ、バッテル」


 「あー、でもきっと朝まで来ないよ?彼女」


 僕は驚いて女の人を見つめてしまう。ギルドに何か連絡が入ってたのかな?僕が外に居たから伝わらなかったのかも知れない。

 そういえばこの人ギルドのどこかで見たような気がする。


 「それにほら、私ギルドの向かいに住んでるの。職員寮なんだけど、この通り側の部屋だから窓からここが見えるわ。ほら、あそこの窓よ」


 彼女が指さしたのは2階の窓だった。


 「イイノ?」


 「ええ勿論、ただし部屋の引き出しは開けない、小物は勝手にいじらない、イタズラとかもしちゃダメよ」


 「ワガッタ」

 その日、アタイとコブンは家を出た。

 思い返せば、コブンと家に帰った日にステーキを食べまくって以来、肉を食べていない。

 もちろん、あれだけあった肉を一晩で消費できるわけも無く、まだまだ沢山あった。・・・はずだった。


 はずだったのだが次の日には生ハムなどに加工されていた。

 なんでだよっとコブンを問い詰めたのだが、長期保存のために、それにもっと美味しくなると言われては涙をのむほか無い。

 しかもコブンに熟成させるから、食べちゃダメと言われた。あの肉はコブンのものだし、アタイがとやかく言える立場では無いが、宙吊りの肉達がアタイを呼んでる気がするんだ。


 そうだ、よくよく考えればその時からアタイの禁欲生活は始まっていたのだ。

 そう思うとなんかイライラしてくるな、だいたい・・・。


 「・・・ゴブリンの巣・・100匹は・・ちょちょいって・」


 門の所で警備と冒険者っぽいヤツがしていた話が聞こえてくる。

 なんだ、ギルドはまだそんな事やってるのか?相変わらず進歩が無い。

 確かにゴブリンは村などを襲う事もある。

 だが本来ゴブリンは臆病な魔物だ。知恵のある指導者が居なければ彼らは人を襲おうとは思わない。

 だってそうだろう?人が自分たちの倍の身長があるオーガの巣を襲いたいと思うだろうか?

 そんなアホな事するのは冒険者だけだ。

 だから本来すべきはその指導者だけの駆除だ。

 そしてなによりゴブリンには森の餌になるという大切な役目がある。

 100匹もゴブリンをまとめて殺せば、アンデットになり食べれなくなる。

 当然それだけ森の魔物や魔獣が飢えるのだ。

 そして空腹の彼らが次に狙うのはオーガの巣じゃない。ゴブリンより一回り大きいだけの愚鈍な人の巣だ。


 「・・・ゴブリンだっけ?」


 イライラに任せて思考していると、ゴブリンの単語で意識が戻る。

 すると目の前でコブンが蹴られた・・・蹴られたは言い過ぎか?足で押された。

 なんだ?この男?なんか腹立つな。


 「・・・行きましょ!おねぇさん」


 やたら馴れ馴れしいこの男はなんなんだ?

 アタイはコブンに聞いてみる。


 『最近、街の中が物騒だから一緒に行って、案内しながら護衛する、言ってた』

 

 ・・・意味が解らんな?前回あれだけ抵抗したのに?

 そうか、護衛や案内は建前で監視を付けるから許可するって事か?


 「・・・じゃあ行っていいんだな?」


 声を裏返しながら気合を入れて返事をされた。なんだ?特別だぞって事か?

 まぁ、やたらうるさい男だが、それで揉めないなら妥協するか。


 それからその男はずっとハイテンションに話しかけてくる。

 うるさいなとも思ったが、コブンも街の様子しか気にしてないし、アタイも諦めて意識を切ることにした。


 ずいぶん久しぶりの冒険者ギルドに着くと少し閑散としていた。

 受付も以前のいかついオヤジじゃなくなってる。

 だが、真面目そうな娘がキビキビ進めてくれるおかげで早く終わりそうだ。

 ・・・と思ったが、再登録とか昔なかった規則が出来ていたり、登録は午後にならないとできないし、何か依頼もこなせときた。

 なんかめんどくなってきたな・・っと思ってコブンに聞いてみると。


 『ここで待ってるから大丈夫』


 まぁコブンがそれでいいならいいか。

 じゃあアタイは肉でも買いに行くか!なんの肉を買うか想いを馳せながらギルドを出た。


 そういえば、うるさい男が後ろから付いてきた。

 堂々と真後ろを付いてくる、尾行ですらない。そうかコブンはギルドで雇った冒険者が監視するから、アタイにはこいつが付いてくるのか。なんかギルドも規則やらなんやら面倒になってきたな。

 だがまぁいい、今日は肉を買うだけだすぐに終わる。

 肉と言えばやはり牛か!だが最後に食べたステーキは肉厚でジューシーで、こうばしい香りと共に口の中でとろけるようだった。

 なんとなく牛に近かったと言えなくもない気がする。

 ならば豚か?・・・豚も悪くない。コブンならどう料理するか・・・。

 やはり柔らかく焼き上げてくるかな?いや、テンプラみたくするかもしれない・・・。

 だが、最近あっさりしたものばかり食べていた。いきなり脂身の強いものは胃が驚くか?

 ここはあえて少しクセのある羊もありか!?


 そう心を躍らせていると食品が多い市場に着いた。

 ・・・しかし、しかしである。肉が無い。


 「・・・店主なぜ肉が無い?」


 店で出しているのはハムの様な加工肉を細かくして、野菜を混ぜ合わせ、小麦の生地で包んで蒸したものだ。

 ここは前から新鮮ないい肉を仕入れると評判の店だったのに。


 「これは!冒険者様!実は肉を仕入れていた近くの村に魔物が出たらしく新鮮な肉を仕入れることが出来ません。ですので、あった肉を日持ちするよう加工して、野菜でカサ増しして出しているのです」


 「・・・そうか、・・それは、災難だな。ギルドに依頼はしたのか?」


 「もちろん、致しました!ですが・・依頼を受けてくれた方はいらっしゃったようですが、その後音沙汰がなく・・・」


 「・・・そうか、残念だな。・・それ、一つくれ」


 「へい、ありがとうございます」


 ・・・店主よ!努力は認めよう。まさに苦肉の策なのだろう、肉屋のとしての矜持がこれを作らせたのだ。決してお前が悪い訳ではない。

 ・・・だが、美味くない!こんなものは肉ではない!!!

 ・・・はぁ、これどうするか・・・もうこれ以上食べる気がしない。

 かと言って食べ物をなげるわけなにはな・・・。

 周囲を見回すと、監視の男が居た。


 「・・・やる」


 「うっはマジっすか!かんせ・・・」


 ・・・次の店も、その次の肉屋も違う商売をしていた。

 あり得ん、まさかこれはアタイに魚を食べろという事か?あそこまで高まった肉への想いを裏切れというのか?

 そんな事できる訳がない!アタイの魂が肉を欲しているのだ。

 そうだ!アタイは次の飯は肉と決めたのだ。


 肉屋に仕入れている村の場所を聞くと監視の男が。


 「あー、そこの調査の依頼、俺らも受けようと思ってたんすけどね。その前に受けた依頼で俺以外、大けがし・・・」


 「案内できるか?」


 「え?あぁまぁ場所はわかるっすけど、いまか・・・」


 「よし、西門の馬屋で足を借りる。案内しろ」


 「えっと・・・あ!いっすね二人きりでのじゅ・・・」


 アタイは足早に馬屋向かう。 

 そうだ、どの道ギルドの依頼を一つこなさなくてはいけなかったのだ、丁度いい!ついでに調査すればいい。


 馬屋で一番足の速い騎獣を借りる。


 「えっ!?飛びトカゲ借りるん・・・」


 「よし。行くぞ」


 西の森で1番の足の速い騎獣は、ヒュムの倍ほどの大きさのトカゲで。前足から後足にかけて飛膜があり。強靱な後ろ脚で木々を足場に飛び上がり飛膜を広げて滑空するのが、主な移動方だ。

 乗る場所は背中のくらに抱き着く様にするため見た目は悪い。

 さらに上昇と滑空を繰り返すため慣れないと酔いやすいらしい。

 アタイは飛び慣れているから、関係ないが・・・今度コブンと乗ろう。

 今思えば飛びトカゲは勝手に村まで行ってくれるので、監視の男を連れてくる必要はなかったな。

 2匹のトカゲは5回目の飛翔で目的の村まで到着する。


 男がぐったりして中々降りないので、飛びトカゲは器用に自分で安全ベルトを外して男を地面に落とす。 そしてハルシュレックに向かって飛んで行った。飛びトカゲは帰巣本能が強いため片道限定だ。


 村はかなり広い、ただし家屋の数は少ない。代わりに開けた牧草地が続き、何種類かの家畜が草を食んでいる。あとは村の真ん中辺りに黒い案山子が見えたぐらいか。

 ここは西の森の端辺りなのかもしれない。

 適当に大き目の建物を探す。げっ教会・・・もめるかもしれん。でも今は冒険者の格好だから魔法を使わなければいいか。

 教会の近くに多少作りのしっかりした建物を見つける。


 「冒険者だ。魔物の被害があると聞いた。村長宅はどこだ?」


 無骨なドアをガスガス殴りながら呼びかける。

 扉の向こうでバタバタと慌てる様な音が聞こえる。


 「これは!?新しい冒険者様ですか!?」


 出てきたのは若い村娘だ。


 「村長と話がある。どこに行けば会えるかわかるか?」


 「・・・かっこいぃ」


 「おい?聞いてるか?」


 「え!?あっはい!父は今ここに居ます。ちょうど他の冒険者様とお話しています」


 「それはいい。協力出来ることがあるかも知れない。案内してもらえるか?」


 「はい!こっこちらです」


 案内された部屋には、村長と、シスター、冒険者は4人。

 装備をみるに、僧侶と魔術師に弓使い2人だ。

 冒険者はみんな若い、たいした経験は無さそうだ。

 なんだ?前衛がいないぞ?


 「話し中失礼。近くを通った冒険者だ、協力できることもあるかも知れない。状況を聞いてもいいか?」


 「おぉ!まさか更に来ていただけるとは!」


 最初に声をあげたのは村長だ。

 冒険者達は警戒しているようだ。


 状況を纏めると。

  ・ハルシュレックへの道中に、最近突然オークが複数現れるようになり他と村との交流が無いため現在は孤立状態。

  ・冒険者を呼んだがこの村へ至る道中にオーク3体と遭遇、何とか逃げ延びたが前衛が2人負傷したようだ。

 その2人は教会で治療中とのこと。

 よし、じゃあ先ずは・・・


 「最後に確認だが、オークは殺してないんだな?」


 「なっなによ!殺せなかったわよ!」


 「ケガはさせたか?」


 「森の中から突然襲ってきたのよ!そんな余裕なかったわ!それより!あなたこそ!確かに冒険者証はあるけど、どの程度の強さなのよ?武器も無いし・・・」


 魔術師だ、最近の魔術師は質が落ちたと聞くが本当だな。


 「忠告だ。相手の実力がわからないならそいつは格上だと思った方が長生きできるぞ?じゃあな」


 「な!なによ・・・」


 これ以上はここに居ても意味は無いな、アタイはさっさと踵を返す。


 「まっ待って!まって下さい。仲間の無礼は・・・」


 呼び止めたのは僧侶だ。


 「・・・気にしていない」


 「あの!私達前衛役のリーダーが、負傷してどうしようかって話していて・・・」


 「・・・そうか?ではな」


 「いえ!あの!だから、その!これからどうされるんですか?」


 「なんだ?先ずは状況の確認だ。相手からも話を聞かなくてはな」


 「相手ですか?」


 「オーク達だ、まだ1人も殺してないんだろ?なら話し合いの余地がある」


 そんな!とか、まさか!なんて言いながら部屋の全員が驚いている。


 「魔物と交渉などありえません!」


 今まで黙っていたシスターがバンッと机を叩き立ち上がる。

 冒険者達も異論はないようだ。

 ほんとに冒険者は質が落ちたんだな。

 アタイはそいつらを無視してさっさと家をでる。


 外に出ると監視の男が村長娘を壁際に追い込むようにして話している。


 「あ!おねぇさん!?これは・・・」


 アタイはさっさと森へ向かう。

 この森のオークはアタイの知る限り大きく3種類に分けれる。

 1つ、最も森の奥に住む全身を毛に覆われたイノシシの様な顔の部族。彼らはとても温厚で、闇雲に争ったりはしない。そして美食家が多い。

 2つ、黒の森と言われる所に住む体毛が少なく厳ついヒュムに近い外見の部族。彼らは非常に好戦的で戦うことが好きな奴らが多く、口元から牙が出ている者が多い。

 3つ、ハルシュレックの周辺にも姿を現す体毛の少ない豚の様な顔の部族。彼らは食欲や性欲、睡眠欲などを重んじるため人からは軽視されがちだが、知能が低いわけでは無い。


 そんなことを考えながら進んでいくと戦闘の跡が残る場所に出た。

 意外と村に近いな。


 「オークいるか?居るなら出てきてくれ。対話に来た」


 すると、3体のオークが姿を現す。

 3つ目の部族だ。


 「ヒュムから対話とは驚いたな」


 一回り大きく無骨な槍を持ったオークが前に出る。


 「わたしはハルシュレックの魔女、レティシア」


 「我はティアマトの民、シヴァルの子ヒュブリ」


 「魔女の契約にかけて、わたしは中立である。事情を聞きに来た。少し話をしないか?」


 「・・・魔女か・・いいだろう。我が祖先シュヴァインの名にかけて、我は力を振るわず、話し合いに応じる」


 「なぜここに来た?」

 

 「我々は森の異変から逃げてきた」


 「森の異変?」


 「理由はわからない。森の奥の強い魔物達が我々の住処まで現れる様になり、住処を捨てた。しかしここに来るまでに多くの仲間を失った。残ったのはこの言葉も持たぬ2人の息子だけだ」

  

 「この道を襲い村人を苦しめるのは何故だ?」


 「村の者達は我妻と幼い娘を辱めた。村の中には入れぬから、ここで村に出入りする者を襲っている」


 「復讐か・・・。その憎しみを捨てるならば新しい住処を提供出来る」


 「それは無理だ。我が娘を庇い命を投げ出した妻を、奴らは今も穢している。許すことは出来ない」


 「お前の目は、死に場所を求める者の目だ。息子を巻き込むのか?」


 「・・・我は抜け殻なのだ。妻が死んだとき我も死んだ。ここでは家族が共に過ごすことは出来ない。家族は共にあるべきだ」


 「・・・わかった。死を望むのならばわたしがお前達を滅ぼそう」


 「・・・そうか」


 「しかし、夜まで待て最期に会わせたい者が居る」


 「・・・わかった。魔女よ感謝する」


 「・・・それはまだ早い」

  

 オーク達と別れ、村へ引き返す。



 そのまま村長の家へ、ちょうど冒険者達と表にで出来ていた。


 「村長、オークの死体は何処だ?」


 「な!?なっ何の話ですかな?」


 「隠すことに意味は無い、はやく話せ」


 「・・・そっそれは」


 「アタイは気が短い、最後だ。はやく話せ」


 「ちょっと!あなた!さっきから何なのよ!!」


 また魔術師の女だ。


 「お前達も冒険者なら知っているな?依頼者の故意の情報の隠蔽は、ギルドへの敵対行動と見なす・・・場合がある」


 「えっ・・と?」


 僧侶の女があごに手を当てながら答える。


 「冒険者ギルドの規則にあります。それが発覚し冒険者へ被害が及んだ・・・」


 「まっ待ってくれ!わっわしは知らなかったんだ!シスター様もそんな些細なことは報告しなくて良いと・・・」


 「良い訳あるか?お前だって村人を殺した相手と、ただの通行人。同じ気持ちで相手に接するのか?無理だろ?」


 「しっしかし」


 「更に言えば、さっきアタイは確認したな?オークは殺してないのかと、あのとき言わなかったのは故意な隠蔽だな?」


 「・・・そっその」


 「別にアタイは被害に遭ったわけじゃ無いその事はどうでもいい。だからはやく死体の場所を教えろ」


 「・・・わかりました。こちらです」


 案内されたのは村の真ん中だった。

 その下には薪の燃えかすが散らばり炭と灰になっている。

 冒険者達の何人かは息を飲んだようだった。

 ゆっくり、深呼吸して気持ちを切り替える。臭いはもうしていなかった。


 「・・・ご苦労、もう行って良い。だがしばらく誰も近づけるな」


 雨が降ってきていた。

 アタイはそのいましめを解き、地面に横たえ、彼女達に触れる。

 叫びが聞こえてきたが落ち着くように伝える。

 二人とも落ち着かせ状況が飲み込めるまで待つ。

 意識が戻ってくると、僧侶の女だけ残っていた。

 顔が雨に濡れていた。


 「・・・おまえ暇か?」


 「・・・はぃ」


 かすれるような声だった。


 「ちょっと、動かすの手伝え」


 二人で村の外まで運ぶ。

 辺りはだいぶ暗くなっていた。


 「これから起こることは他言無用だ。もし無理なら村へ戻れ」


 「・・・大丈夫です」


 「ヒュブリ!約束を果たしに来た!」


 森の中からオークが出てくる。


 三人とも傍で泣き崩れた。

 アタイは呪文を唱える、辺りの闇がいっそう濃くなる。

 呪文が完成すると青白く輝く彼女たちが現れる。



 「考えは変わらないか?」


 「・・・あぁ、未練は無い」


 「戦士として滅ぼすこともできるが?」


 「いや、我はもう戦えぬ」


 「・・愚かな事を言った許せ」


 「・・・最期に、いいか?みな一緒に・・・」


 「抜かりは無い。シヴァルの子ヒュブリとその家族をわたしは永遠に忘れぬ・・・」


 「・・・」



 彼らは森へ還っていった。


 「あの・・・、最期になんと言われたんですか?」


 盛り上がった大地をみつめて僧侶が聞いた。


 「ん?さぁな」 


 「・・・これから、どうなさるんですか?」


 「なにがだ?」


 「もしハルシュレックへ戻られるのでしたらご一緒しませんか?私達、小さいですが馬車を借りてて」


 「いや、すぐ帰るから」


 「えっ!?もう真っ暗ですよ!?雨も降ってますし!」


 「待たせてる相棒が居るからな、さっさと村長に報酬払わせるぞ」  


 「えっと?」


 「故意の隠蔽あったろ?」


 「でっでも、被害は無かったって」


 「アタイにはな。でも冒険者が、二人も負傷してるだろ?」


 「あ!」


 「ほら、いくぞ!寝てたらたたき起こさないとな」

読んで頂きありがとうございます。

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