帰ってきました。
少し短いです。
窓に頭をぶつけて気づく、雨は止んでいた。
最初どこかわからなかったけど、ギルドの向の家だ。
彼女はまだ寝ていた。
椅子に登ってからテーブルの上に、手持ちの木の実と山菜で簡単な朝食を合成する。
考えてみると材料はポーションとほとんど同じだ。
申し訳ないけど何も言わずに家を出る、窓から壁の配管伝いに下に降りる。
外の空気は雨上がり特有の土の香りがした。
空を見上げると薄ら色が変わりはじめていた。
そんな時、視界の端に、湖の上空に、ゆっくりと泳ぐ龍が見えた。
よく見ると龍じゃ無い。
ウナギだ。
遠いここからでもそうとわかるほど大きなウナギが、ゆったりと空を泳いでいる。
驚きに尻餅を着いてしまう。
「おはよう、コブン」
更に驚いて振り返るとレティが立ってた。
『おはようレティ、あれ、見て』
「ん?あぁ、アゴダシか?出て来るって事は気分が良いんだろ?」
『アゴダシ?』
「前コブンが言ってたろ?空飛ぶ魚って」
言ったけど、絶対あれじゃ無いよね!
『あれは、安全?』
「まぁ、なんかしたのは見たこと無いね。街の奴らもほとんど気にしてないみたいだし。あ!たまに嵐の夜にバリバリ雷ならしてたことがあったね」
すっごいなウナギかっけぇ。
『名前はなんて言うの?』
「アゴダシ」
『・・・レティ、アゴ出汁って本当はもっと小さい魚のこと』
「そうなのか?・・・いいんじゃない?アゴダシで」
『・・・そっかな』
僕は少し、大きいウナギに申し訳ない気持ちになった。
『レティ、羊買えたんだね』
肩に無骨な槍を担いで、その先に吊るされたお肉をみて訪ねる。
「お!さすが!羊ってわかるか?いいの手に入れるために隣の村まで行っちゃったよ」
『そっか、じゃあ美味しく食べないとね。お腹すいたでしょ?』
「おう!いくよ!」
「ヴァ!マッ・・グベ」
待ってくれなかった。
『・・・もうちょっとで舌嚙むとこだった』
「しょうがないだろ?門は閉まってるし、ああするしかなかったの!」
レティがめちゃめちゃ笑顔で言ってきた。
絶対それだけじゃないはず、じっとみると視線をそらして鼻歌歌い始める。
「それより食べよ!羊!」
レティは槍から肉を外してテーブルに置き槍を壁に立て掛ける。
『その槍は?』
「ん?知り合いから。思い出にね」
ラムと言えば、ジンギスカン・・・。でも最近あっさりしたものが多かったから、しゃぶしゃぶがいいかな?
「あ!コブン!その肉は生ハム禁止な!熟成も禁止!がっつり食べるんだからな!」
じゃあ、しゃぶしゃぶにしよう。
僕は外に出て自分の顔位の大きさの石を探す。
すぐに見つかる。レティが前にガガガッてやった時によけた石の山にあった。
軽めの石を合成で加工する。
『石の板』を手に入れた
同じ要領で木の板も作る。
『レティ?この石の板をしばらく熱くしておくことできる?』
「うーん?どのくらい?」
『1時間くらいかな?熱さはロウソクより熱いくらい?』
「うーん、魔道具作るのも微調整も苦手なんだよな」
『そっか、じゃあ諦める』
「いや、まてまて!アタイにやってやれない事はほとんどない!」
『あ、この木の上でやって、テーブル焦げちゃう。もっと言うと上だけに熱が行くように・・・』
「まてまて、注文が増えてるから」
レティの手をかざした空間に赤い紋様が浮かぶ。
石はレティに任せて、僕はラム肉に触れる。
『ラムしゃぶセット』を手に入れた。
ラム肉が半分いかないぐらい消えた。
「コブン!コブン!!コブン!!?」
「ドウジダノ?」
「アタイはがっつりって言ったよ!言ったのに!?なんなのこれは!!!」
『しゃぶしゃぶだよ』
「しゃぶしゃぶ?そうじゃない!そうじゃないよ!なんであの食べごたえある塊のお肉が!!こんな細かくなってるの!?」
『そうか、ごめんレティ。石出来た?』
「できたけどもね?ちょっとアタイ頑張ったのに、この仕打ちはひどいと思うんだ!!あれ?もしかして遅くなった仕返し?いきなり飛んだのがそんなに嫌だった!?だって空楽しいじゃん!!!」
『このお鍋、石に乗っけて、あ、ご飯とラーメンも付いてるんだ。これは僕のイメージのせいかな?ゴマダレもあるし・・・』
「コブーン、アタイ今!結構本気で悲しいんだよ?わかるこの気持ち」
『レティ、口開けて、あーんって』
「なんだよそれ!だまされないよ!!」
『食べないの?』
「・・・食べるよ!あーん」
レティが食べた。
「・・・口の中で溶けた」
レティが、箸を持ったので説明する。
『この薄い肉を、このお湯に潜らせる。この肉を新鮮だから少し赤い位でも大丈夫』
レティが、にこにこしながら箸を動かしてる。
そうか、手先を使う食べ物は喋らなくなるよね。
確かに美味しい、新鮮だからだろうか?とろける様な柔らかさだ。
『・・・レティ、タレの味濃いから、野菜に巻いたりご飯と一緒に食べる』
「コブンは何してるの?」
『これは、灰汁取り。ラムはとても灰汁多い。でもマメに取ると最後が美味しくなる』
あれだけあったお肉が、無くなった。
『レティまだお肉食べる?』
「いや、さすがに満足」
『じゃあ、ラーメン入れる』
僕はスープの味を調整して麺を入れる。
「それは?」
『塩味ベースのラーメン』
「これは・・・美味い!!そうか!・・・」
レティが、また難しいこと言っているので片付ける。
『そういえば、ギルドの依頼どうするの?』
「あぁ!もう終わらせてきた!」
『・・・そうなの?でも登録終わったら、僕と一緒に依頼を受けるんだよね?』
「・・・え?そうなの!?」
『・・・レティ、お腹減ってて聞いてなかった?』
「・・・明日、二人でまた行こうか」
「今からは?」
「今日は無理!三食肉を食べるって決めたの!!」
コブンは赤くても大丈夫なんて言ってました。
みなさんゴブリンにダマされてはいけません。
全ての食材がそうですが、生食は自己責任で!よろしくお願いします。




