表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』
531/1000

531:セパレートベーノドラゴン-5

「で、結局何を作るんでチュ?」

「まずは前歯を使って短剣を作るつもりよ」

 では、作業を開始するとしよう。

 まずは鼠毒の竜呪の前歯を削っていき、刃の形を作っていく。

 ジタツニを装備しているので、一定時間触れていると毒になる方の効果は防げるが、指や手を切ってしまった場合に付与される毒は防げないので慎重にだ。


「短剣でチュか。毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣だと力不足なのは分かるんでチュが、今のたるうぃに短剣を使う機会があるんでチュかね?」

「そこはまあ、念のためとか、最後の手段とか、そういう部類の話よ。実際、今の私が短剣を使うとしたら……邪眼術、ザリチュ、ネツミテ、『熱波の呪い(ドロクセルブ)』、劣竜瞳、逃走、この辺全部が駄目だった時かしら?」

 よし、無事に削れた。

 形状としては切るよりも刺突に向いているかもしれないが、それは元が歯なので当然だろう。

 なお、毒を送り込む能力はちゃんと残っている。


「そんな機会があるんでチュかねぇ……と言うか、そんな機会が来たら、9割方詰みなんじゃないでチュか?」

「それでも準備しておいて損にはならないわ。化身ゴーレムが使ってもいいし、他の素材と交換すると言う使い道もあるわ」

 では続けてズワムの歯を削っていこう。

 こちらは刃の形にするのではなく、持ち手の形に削っていき、加工した鼠毒の竜呪の歯を差し込める形にする。


「で、鱗の釘で留めて……柔皮で持ち手を覆いましょうか」

「この手の工作ももう手慣れたものでチュねぇ」

「そりゃあね」

 鼠毒の竜呪の歯を刃に、ズワムの歯を持ち手に、釘、鍔、柄などにズワムの鱗、持ち手の滑り止めにズワムの柔皮。

 これで後は呪うだけ……いや、このままでは駄目そうか。


「何をしているんでチュか?」

「このままだと鼠毒の竜呪の毒液がこっちに流れてきそうだから、ちょっと一工夫をね」

 鼠毒の竜呪の歯が生成する毒が持っている者の手に来そうだったので、刃や鍔に毒を流すための溝を作って、安全を確保する。

 では、呪怨台に乗せよう。


「使いやすさ第一で。出来るだけ反動が来ないように……むんっ」

「まあ、格上素材でチュからねぇ」

 私は出来上がった短剣を呪怨台に乗せて、呪う。

 そして呪詛の霧を十分に吸い込んだ短剣が現れる。

 さて、性能は?



△△△△△

鼠毒の竜呪の歯短剣

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


鼠毒の竜呪の前歯から作られた鋭利な短剣。

極めて危険な呪いを保有しており、僅かにでも傷を付ければ毒の呪いによって命を、根元まで刺し込めば路削ぎの呪いによって力を奪う事がある。


与ダメージ時:毒(40+使用者のレベル)

与ダメージ時(鍔が傷口に接触するまで差し込む必要あり):低確率でレベル低下(1) この効果はレベル40~21の相手にしか効果がない。


注意:所有者のレベルが39以下の場合、与ダメージ時の効果が発動する確率が下がる。

注意:異形度19以下のプレイヤーが所持していると、10秒ごとに毒(40)を与える。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、毒(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では与ダメージ時の効果は全て無効化される。

▽▽▽▽▽



「私が使う分には問題ないわね」

「そうでチュね。たるうぃが使う分には問題ないと思うでチュ。と言うかレベル低下付きって何気に初めてじゃないでチュか?」

「そう言えばそうかもね。ズワムロンソには付いていないし」

 割とシンプルな性能に仕上がったと思う。

 レベル40になるまでは特殊効果が発揮されづらいとあるが、『超克の呪い人』の称号を持つ私ならば誤差の範疇で済むだろう、たぶん。


「もう一本作るわよ」

「『毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』の強化には使わないんでチュか?」

「使えない、のが正解ね。『毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』を強化した先は最低でもレベル40。そして、出される試練は参の時以上なのは確定。つまり……」

「最低でも、あの鼠ドラゴン以上でチュか」

「そうなるわね。んー……戦闘能力だけで話をするならば、あの鼠ドラゴンがダース単位で出て来るぐらいは最低ラインとして想定しておけばいいかしら?」

 既に一本作っただけあり、二本目はあっさりと出来上がった。

 性能も変わらず。

 無事に出来上がって何よりである。


「まあ、早くても『虹霓鏡宮の呪界』が完全に出来上がって、私のレベルが40以上になり、『毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』に対応した鏡の扉の向こう側の探索が支障なく出来るようになってからの話ね」

「遠い話になりそうでチュねぇ……」

「案外、近いかもしれないわよ? 原始呪術を使わずに鼠毒の竜呪たちを倒せるようになれば、レベルについては難なく上がるようになるだろうから」

「となると問題は参の位階に届いていない邪眼術の方でチュか」

「そちらについても『虹霓鏡宮の呪界』にある素材次第では案外あっさりかもしれないけどね」

 さて、装備品のアップデートと言うか、今後を考えると必要なアイテムはまだある。


「さ、次は条件付きでもいいから、回収能力持ちのインベントリを作りましょうか」

「分かったでチュ」

 と言う訳で、私は鼠毒の竜呪の毛皮とズワムの毛皮を手に取った。

05/19誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >今の私が短剣を使うとしたら……邪眼術、ザリチュ、ネツミテ、『熱波の呪いドロクセルブ』、劣竜瞳、逃走、この辺全部が駄目だった時 タルじゃなかったら自決用にしか見えませんね……w >鼠毒の竜…
[一言] 作成タイム!まぁだまだ続くよー! ゲームの醍醐味って感じ
[気になる点] 今回の話で思い出したのですが、第3位階を複数持つということは、地上に出られない呪い達を相手にするのと同義だ的な事を悪創が言ってましたが、クカタチらは第3位階に匹敵する何かを使えるって事…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ