485:シベイフミク・クカンカ-5
「「「ーーー!」」」
「タル! こいつらの対応はこっちでやるから、シベイフミクはそっちに任せた!」
「分かったわ」
シベイフミク第四段階は取り巻きの追加がメインか。
設定的には、ただの取り巻きではなく、シベイフミクが継承してきたものが、シベイフミクが弱まったことによって復活してきたとかになりそうだが。
とりあえずマントデアの言う通り、私の周囲の雑魚カースたちはマントデアに任せよう。
どうにもデンプレロの取り巻きであった、もぎりの蠍呪と同じか多少頑丈なくらいの実力しかないようだし、何とかはなるだろう。
「凍結に加えて毒ったぁ!?」
「疫病を保有しているミイラって事ですかぁ!? って、電げばばばば!?」
「うべぇ!? 普通に攻撃が重い!?」
いや、それだけではないようだ。
どうやら取り巻きの雑魚カースは個体差が激しいようで、凍結、毒、干渉力低下、睡眠と言った各種状態異常を使ってくるものも居れば、氷結属性、呪詛属性、電撃属性と言った複数の属性を使う個体もいる。
純物理で普通に攻撃が痛かったり、防御が堅いものも居るようだ。
「やべぇ! シベイフミクの奴がミイラを吸収してんぞ!」
「吸わせんな!」
「明らかにバフが乗ったぞ!」
「ーーーーー!!」
おまけにシベイフミクがミイラを根で突き刺す事によって、ミイラを吸収。
灼熱のスタック値が大きく減ったことからして、HP回復効果があるようだ。
また、他プレイヤーの叫びからして、吸収したミイラの能力に応じたバフも得ているらしい。
「「「ーーーーー!」」」
「どんどん出て来るぞ!」
「二手に分かれろ! 取り巻き班とシベイフミク班だ!」
私は自分の役目を果たすべく、『灼熱の邪眼・2』と『毒の邪眼・3』を一定の間隔で撃ち込んでいる。
なので、確実にダメージは与えているのだが……これ、色々と大丈夫だろうか?
特にバフ関係は放置していると、碌な事にならないのはデンプレロ戦で証明済み。
バフ解除系の一手が適宜欲しいところだが……。
「んー、一度解除しておこうか。ディスペシクル」
「ー!?」
「うおし! よくやったぞ! 狐耳の姉ちゃん!」
おっと、狐耳に二本の狐尻尾を生やした、鎌持ちの女性……たぶん女性がやってくれたか。
なんだろう、微かに違和感を感じた。
んー、骨格かな?
「ーーーーー!」
「次に打ち込めるのは3分後になるんで、頑張っておくれやすー」
「ようし! 処理を早めろ! 無限湧きじゃねえみたいだからな!」
まあ、いいか。
仕事をしてくれた事には変わりない。
シベイフミクの攻撃を逃れるために、蔓を打ち払いつつこっちに近づいてきているので、少し高度を上げておこう。
「~~~~~!」
「む……」
「何か来るぞ!」
「あんら、面倒な事を……」
と、思った直後に、シベイフミクが奇声を発し、私含めて何人かのプレイヤーの周囲に氷で作られた牢獄が出現。
その場から動くことが出来なくなる。
「必中系は面倒くさいわね……」
『HPが少しずつ削られているでチュ! 急ぐでチュよたるうぃ!』
一瞬にして周囲に現れた事からして、回避は不可能。
喰らっているのが私、先ほどの狐耳、タンク、割といい感じのダメージを出していたプレイヤーと言った面々である事を考えると、ヘイトや貢献度辺りでのターゲッティングか。
で、効果は氷結属性のダメージに拘束。
いや、氷の牢獄が徐々に小さくなりつつあることと、格子を形作る棒がよく見ればやすりのようにざらついている上に高速回転しているので、即死効果や装備破壊効果もありそうだ。
「『熱波の呪い』! ……esaeler」
「火炎属性攻撃で破壊しろ! 放置するな!」
「言われなくても!! もう壊れてる!?」
「一瞬やったなぁ……」
受けてやる理由もないので、『熱波の呪い』発動から、火炎属性のダメージ判定を持つようになった呪詛の剣でまずは自分の牢獄を破壊。
続けて、複数本の剣を射出して、他の牢獄も破壊。
それから直ぐにHPを回復して、次の邪眼術に備える。
「ーーーーー!」
「また種が!?」
「お前ら! 落ち着いて一つ一つ対処していけ! 慌てなければ確実に処理できる!!」
さて、第四段階で追加された行動はこれで全部だろうか。
マントデアたちはシベイフミクの攻撃を的確に処理していき、少しずつHPを削り取っていく。
『エギアズ』の大型呪術は何度も飛んできて、シベイフミクを弱らせていく。
「……。ザリチュ」
『分かったでチュ。準備はしておくでチュよ』
直に第五段階……いや、残りHPの量からして最終段階に入るだろう。
私はザリチュに呼びかけ、化身ゴーレムをセーフティーエリアの外に出すと、私の方へと向かわせる。
「マントデア! 『禁忌・虹色の狂眼』は使ってもいいかしら!?」
「確かに頃合いか……いいぞ! ぶち込んでやれ!」
「ありがとう。では、宣言させてもらうわ。『継承の華呪』シベイフミク・クカンカ、虹色に輝く狂気の星をその身で受け止めなさい」
「!? ーーーーー!」
「させるかよ!」
私の宣言を受けてか、シベイフミクの私に対する攻撃が一気に激しくなる。
が、狙いが絞られるなら守るのは簡単だと言わんばかりに、マントデアがその身を使って攻撃を防いでいく。
「『inumutiiuy a eno、yks nihuse、sokoni taolf、nevaeh esir。higanhe og ton od……』」
「ーーーーー! ~~~~~!」
「させねえって言っているだろうが!」
「氷の牢獄の防ぎ方はもう分かってんだよ!」
「『エギアズ』の支援も飛んでくるぞ!」
各種呪法を乗せた状態で私の詠唱は進んでいく。
勿論、原始呪術である『不老不死-活性』、『風化-活性』、『転写-活性』も活用しながら、今の私に出来る最大限の一撃を放てるように進めている。
再ターゲット可能時間の都合で『呪法・感染蔓』こそ乗せられないが、それでも桁違いの威力にはなるだろう。
それを分かっているからこそ、シベイフミクも全力で阻止に来ている。
だが、私に注視するからこそ、他のプレイヤーへの攻撃が温くなって、無視できないような傷を負っていく。
「『禁忌・虹色の狂眼』。さあ、じっくりと味わいなさい」
「!?」
そして、『禁忌・虹色の狂眼』が発動。
更には『呪法・逆残心』も発動し、成立させた瞬間。
虹色の炎にシベイフミクは包まれ……
「ーーーーー!!」
まるで最終段階に突入したと言わんばかりに、虹色の炎の中で身の毛もよだつような叫び声を上げ、強烈な吹雪と共に、四度目の雪崩を引き起こした。
04/03誤字訂正




