484:シベイフミク・クカンカ-4
「被害報告!」
「7割回避! 2割死亡! 1割重傷!」
「おっしゃああぁぁ! 攻めこめぇ!!」
シベイフミクとの戦闘は推定第三段階に突入。
雪崩は発生したが、そちらの被害は大したことはない。
気になるのは『太陽の呪い』の範囲外でも、降っていた雪が止んで、陽光が射すようになっている点だが……。
「灼熱のスタック値が減るペースに変わりはないわね……宣言する。シベイフミク、アンタの立派な花に灼熱の星を叩き込んであげる。ezeerf『灼熱の邪眼・2』」
「ーーーーー!?」
私はシベイフミクに各種呪法を乗せた『灼熱の邪眼・2』を叩き込む。
与えるスタック値に異常は見られず、既に入っている灼熱のスタック値の減少スピードにも異常は見られない。
となるとだ。
「これ、本来は第三段階突入から、シベイフミクは光合成を行うようになっていたのかも」
『かもしれないでチュねぇ。そうなると、光合成放置で第二段階に戻ってから、第三段階に入ったら、また雪崩を起こすかもしれないでチュね』
「それはありそうな話だな。となると、本来はこのタイミングで切り札の類を切らなければいけない訳か。ある種の初見殺しだな」
私の呟きにザリチュとマントデアがそれぞれに答える。
ザリチュの発言が正解ならば、ここで手間取ると、何度も雪崩を起こされて酷い事になりそうだ。
マントデアの発言については、切り札の切り所を間違えると酷い事になると言う事で、確かに初見殺しと言えそうだ。
「まあ、今回は私が実質的にギミックブレイクしちゃってたわね」
『酷い話でチュ』
「光合成しても回復しないからなぁ」
ま、今回は気にしなくてもいいが。
後、マントデアはザリチュの言葉が聞こえていないはずなのだが、なんか受け答えできているように聞こえてしまう。
「ーーーーー!」
「なんか飛んできたぞ!」
「種だ……茨ぁ!?」
「おっと、新攻撃ね」
どうやらシベイフミクは新たな攻撃を繰り出してきたようだ。
花の付け根から数十個の種を散布して、近くの雪あるいは水たまりに触れた種は即座に発芽。
種から勢いよく茨の蔓が伸びてきて、近くに居たプレイヤーの体に絡みつく。
「なんだこの……動けねぇ!」
「報告! ダメージは氷結と物理! 状態異常は凍結に物理的な拘束!」
「切り払え! あるいは溶かせ!」
どうやら結構厄介な攻撃のようだ。
蔓に絡め取られたプレイヤーの体は徐々に凍り付いていき、自力での脱出はかなり難しいようだ。
「ーーーーー!」
「「「!?」」」
そうして動けなくなっている所にシベイフミクの攻撃が直撃。
蔓でバラバラになるように打ち砕かれたり、花粉で全身が凍り付いたりで、死亡者が増えていく。
勿論、この間にもシベイフミクは時折だが種をばら撒いている。
『たるうぃ!』
「分かってるわ。喰らえないもの」
私の方にも種が飛んでくる。
と言うか、明らかに他の方向よりも多くの種が飛んできて、茨の蔓が伸びて来る。
他の攻撃を避けつつこれらも避けるとなると、移動範囲が制限されている状態では厳しい。
これはワンデスになるだろうか。
「ふんぬぅ!」
「お、助かったわ。マントデア」
と、思っていたら、マントデアが私に向かって来ていた茨をまとめて自分の体で受け止めると、それらをまとめて引き抜いた上に放電。
茨も種も粉砕してみせる。
「ま、こういう時の為のでかい図体なんでな! 代わりに攻撃は頼むぞ!」
「言われなくても。宣言する。疫病の如き毒を受けるといいわ。etoditna『毒の邪眼・3』!」
「ーーーーー!?」
マントデアが盾としての役目を果たしてくれているのなら、私も矛としての役目を果たそう。
と言う訳で、各種呪法付きの『毒の邪眼・3』を叩き込んで、ダメージを加速させる。
「寒い! タルゾーンの範囲外の気温、地味に下がってんぞ!?」
「復帰組の戻りが遅いと思ったら、そう言う事かい!?」
「死に戻りは減らせよ! そこまで余裕がある状況じゃないんだ!」
どうやら気温そのものは下がっているらしい。
そう言えば『太陽の呪い』と他の天候操作系呪術がぶつかり合った場合、どういう処理が行われるかの検証はしていなかったか。
もしかしたら、今後は『太陽の呪い』の範囲内でも気温が下がっているかもしれない。
「『エギアズ』の大型呪術が飛ぶぞおおぉぉ!」
「ーーーーー!?」
「「「あっつぁ!?」」」
そんな事を考えている間に『エギアズ』のものであろう、赤熱した金属の槍の雨が降り注いで、シベイフミクの体を穿っていく。
こちらは普段の大型呪術に、火炎属性の追加ダメージを与えられるように改良した物だろうか。
この分だと、氷結属性版とか電撃属性版とかも作っていそうだ。
なお、こうしている間にもシベイフミクからの攻撃は飛んでくるが、マントデア他タンク役が頑張ってくれているらしく、私に向かってくる攻撃の密度は確実に下がってきている。
「ーーーーー!」
「雪崩が来るぞおおぉぉ!」
「残りHP40%!!」
そうこうしている間に第四段階に突入。
三度目の雪崩攻撃と共に……
「「「ーーーーー!!」」」
「な、なんだコイツら!?」
「雪の下からカースが!?」
「凍り付いたミイラみたいなのが出て来たぞ!?」
雪の下から数十体の全身が凍り付き、呪詛濃度20前後の呪詛を纏った、ミイラの人間や獣、植物たちが姿を現わした。




