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巡れ!半神と仲間たち 半神幼女が旅行とごはんとクラフトしながら異世界を満喫するよ! ~天罰を添えて~  作者: あいのの.


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319. ピンポンパンポンピーン♪(再)

「この度は、有意義な時間をいただきありがとうございました。こちらはお返しいたします」


 帰り際、支配人さんがフィガロギルマスに小袋を返そうとする。


「パン代です。どうぞお納めください」

「いいえ。美味しい食べ方をお教えいただきましたし、パン以外の食材はお嬢様が用意したものです。どうぞお受け取りくださいませ」


 フィガロギルマスと支配人さんでしばらく押し問答していたけれど、レシピ登録を心よりお待ち申し上げます。と、支配人さんが押し切った。

 あのフィガロギルマスが言い負かされた?と一瞬思ったけれど、たぶん何としてもレシピ登録をして欲しい支配人さんの意を汲むことにしたのだろう。


「ゆき殿。レシピ登録しても良いですか?」

「あい。どじょー」


 私はしてもしなくてもいいので、フィガロギルマスにお任せします。


「ゆき殿の了承がありましたので、私が責任を持って登録いたします」

「アワダテキもお願いいたします」

「あい、もちよん」


 支配人さんが私とフィガロギルマスに深々とお辞儀をする。

 そして何やら合図を送ると、給仕さん達が木箱を三つ持って現れた。そして私達、フィガロギルマス、ローザお姉さん達に一つずつ渡される。


「んう?」

「我々の気持ちにございます。どうぞお受け取りください」


 箱の中身はなんだろう?

 私が木箱を見つめていると、支配人さんが笑顔を浮かべる。

 そして綺麗に頭を下げ、「ご安航をお祈り申し上げます」と言った。


「この町に来た時はまた寄りますね」

「はい。お待ちしております」

「おみやで、あにあと!」

「お土産もありがとう、だそうだよ」


 支配人さんや料理長さん達に見送られてお店をあとにする。

 お土産まで用意してくれてありがとうございました。

 お料理美味しかったよ!




「私共は商業ギルドに寄ります。皆さんは先に野営地に戻っていてください」


 冒険者ギルドの野営地に戻る途中、フィガロギルマスがこのまま商業ギルドに寄ると言い出した。この時間に行って大丈夫?と聞いたら、職員は居るはずなので問題ないとのこと。

 レシピについては、焼いたパンに食材をのせる調理方法のみを登録するらしい。

 のせる食材は私が作った以外にも沢山あるだろうし良いんじゃないかな。


「レシピ登録のために、先ほどのお店でパンをいただきました」


 先程作った四種類は登録のため全て数個ずつもらって、時間停止のマジックバッグに入れてあるんだって。

 貸し出し中のバッグを活用しまくっているねえ。嬉しいねえ。


「アワダテキの登録もしたいのですが、お預けいただけますか?」

「あい、いいよ。ひちゅよう、わたちちゃて、いいよう」

「必要であれば商業ギルド側に渡してしまってもいいそうです」

「ありがとうございます」


 どんな場所にも信用ならない人物がいるので、勤めている者を確認してから渡してまいります。と、フィガロギルマスが微笑んだ。

 ディリジェンテさん曰く、フィガロギルマスは商業ギルドの幹部やギルド長クラスの人々を把握しているので、信用できるかどうかは名を聞けば判断できるらしい。


「人族よりは長く生きておりますので」

「君は面白いねえ。俺なんて君より長く存在しているけど、姫と仲間以外はほぼ覚えていないよ」

「興味ないしね」


 レーヴァとミルニルの発言に頷く我が家の皆。

 うん。私の家族達はそうだよね。


「そうなんですねえ。私は人物観察も趣味の一環なんですよ」


 フフフ…と笑う怪しいフィガロギルマス。

 皆さんとも楽しくお付き合いさせていただいておりますと言っている。


 貴重・希少品図録を作っていたけれど、人物図鑑も作っていたりして。

 ……あまり触れないでおこうっと。


 とりあえずどう使ってもいいよと、見本用の泡立て器を渡しておく。


「ありがとうございます。お預かりしますね。出来ればミールナイトで登録したいのですが、もしヴァルタメリの商業ギルドがこの時間からでも対応すると言った場合はこの町で登録します」

「よよちく、おねだい、ちまちゅ」


 レシピと泡だて器の料金は、私の口座に入金されるよう手配してくれるらしい。


「こちらにゆき殿のカードをかざしていただけますか?」


 商業ギルド長専用の黒い板があって、そこにカードをかざしておけば、ギルド長としての権限で諸々の手続きができるんだって。

 発生する登録料金はフィガロギルマスが払うと言うのでそれは辞退した。

 私の口座から差し引いてね。


 そういえば、全然見ていないけれど口座にいくら位入っているんだろう?手数料引き落とせるかな?

 もし足りなかったらフィガロギルマスに立て替えをお願いしても大丈夫?


「もちろんです。ダンジョンでいただいたドロップ品とお宝のおかげで懐がポッカポカです。どうぞご安心ください」


 では私の口座から引き落とせなかった場合はお願いします。


「お任せください。では行ってまいります。明日もギルドに籠ることになると思いますので、別行動にいたしましょう」

「わかった。集合は予定通り明後日の朝に」

「はい。承知しました」


 フィガロギルマス、エレオノールさん、ディリジェンテさん、レシピ登録の手続きをよろしくお願いします。

 護衛の【虹の翼】のお姉さん達ともここから別行動になるんだね。


「あしゃて、ねえ!」

「はい、明後日にお会いしましょう」


 道の途中でフィガロギルマス達、お姉さん達とお別れし、私達は野営地のテントに戻る。

 今日もなんだかんだと色々あったなあ。

 はあ、明日はゆっくりしようっと。






 翌日は料理を(皆が)したり、お風呂に入ってのんびりする。

 風呂上がりに支配人さんがくれた木箱を開けてみたら、柑橘類が数種入っていた。

 この辺りでは柑橘類が珍しいと船乗りのお兄さん達が言っていたから大盤振る舞いなんだろうな。ありがとう、支配人さん。

 折角なので一つずつ剥いてもらい、我が家の皆で食べた。

 スッパイのもあったけれど、全部爽やかなお味でした。

 私には甘さがちょっと足りない……かな?贅沢言ってごめんなさい。我が家の皆はそのまま美味しく食べました。


「主にはデザートを作りましょうね」


 私が食べられなくてシュンとしていると、ミスティル達がいただいた柑橘類を使ってクレープやケーキを作ってくれるって。


 わあっ、楽しみ♪

 嬉しくて両手を頬に当てると、久しぶりにミスティルの無言スリスリいただきました。


「オレンジあげて、色んな柑橘類の果物をもらったね」


 そう言えばそうだね、ミルニル!船乗りさん達にオレンジを渡したら、支配人さんから柑橘類の果物が返ってきたよ。

 旅って色々なことがあって楽しいね!明日はどんな日になるかなあ。






「あいっ!」


 ハッ!…………ここはどこ?


 目を覚ますと[桜吹雪号]の中だった。

 すでに町から離れ、人気のない小高い丘に到着している。


「姫がぐっすり眠っていたから、そのまま街を出発したよ」

「あい……んう?」

「まだ目覚めないかい?」

「だいじょぶう」


 昨夜は早くベッドに入ったのに、遠足前夜みたいに目がギンギンだったの。

 ……お寝坊してごめんね。


 私が寝ているうちに移動し、出発予定地に到着していたみたい。

 せめて出発のご挨拶しようかな。



「ピンポン、パンポン、ピーーーン♪メイアイ、アブ、ユア、アテン、チョン、プイィージュ」


 May I have your attention, please?


 おっ何か始まったとニコニコ顔の我が家族。

 既にカメラを構えている鳳蝶丸と氷華。


「皆しゃま。ほんじちゅ、しゃちゅや、ふぶち、どいよう、あにあと、どじゃい、まっしゅ」


 皆様、本日は桜吹雪号をご利用いただき、誠にありがとうございます。

 当機はまもなく離陸いたします。シートベルトを今一度お確かめください。


「パイヨト、ハユパ。トパイヨト、イェーバ、でしゅ。タビン、アテ、ダント、わたちゅっちゅ、ゆち、もうち、ましゅ」


 パイロットはハルパ。コパイロットはレーヴァです。

 キャビンアテンダントは(わたくし)、ゆきと申します。


「よよちく、おねだい、ちまちゅ」


 よろしくお願いします。



 我が家の皆はニッコニコ拍手。

 何だかわかっていない皆さんも拍手をしてくれる。


「では、ににちゅ、ちまちゅ。しゅぱーーーちゅ」

「了解。離陸します」


 桜吹雪号に浮遊[変動]を付与し、高度約一万メートルまで上昇を設定。

 車は崖から飛び出し、走りながら徐々に高度を上げていく。


「えっ!ええっ!このまま空を飛ぶんですか?」

「しょーよ。シャチュヤ、フブチ、なた、だいじょぶ」

「桜吹雪号の中は安全だよ。上昇が終わるまでシートベルトを外さないでね」


 エレオノールさん、ディリジェンテさん、【虹の翼】のお姉さん達も、窓(という名のスクリーン)から外を見ている。

 特にフィガロギルマスは窓に張り付いて下を覗いていた。


 プロジェクターだけれど、LIVE映像だから嘘じゃないもんね!



「登録の件ですが、ゆき殿の言う通りブルスケッタと言う名前で登録しました」


 何料理か名前を思いつかなかったので、そのまま伝えてしまった。

 地球の名付け親&料理を考案した皆様、ごめんなさい。


 ヴァルタメリ商業ギルド長は信用のおける人だったみたい。

 フィガロギルマス達が詳しく説明をし、泡だて器の現物を見せたりブルスケッタの試食をしたら、すぐに行動を開始してくれたそう。


 出来ればミールナイト商業ギルドとして登録したかったフィガロギルマス達と、ヴァルタメリ商業ギルド側の白熱した議論の結果、ブルスケッタをヴァルタメリで、アワダテキをミールナイトで登録することになったとのこと。

 泡だて器に関しては、両方の町ですぐに使用および作成を開始出来るように手配。実際に物があるヴァルタメリの方が有利と言えばそうなんだけれど、諸々の手数料はミールナイト側に入るからいいのかな?

 ちなみに登録料は口座から引き落とせたって。良かった。


 ローザお姉さんは冒険者ギルドでお使いの依頼をし、あのお店に登録は完了したこと、もう泡立て器を使って良いことを書いた手紙を渡してもらったそう。

 冒険者ギルドへの依頼料はフィガロギルマスが支払ってくれました。


「それから、食事料金は全額返金されておりました」


 お店から返金された袋にコース料金を含む全額が入っていたらしい。

 追加した材料は私が出したのだから、とフィガロギルマスが袋ごと渡そうとするので辞退する。好きでしたことだからいらないよ。


「次回はちゃんと奢りますからね」


 私が別の食べ方をしちゃったから…色々手間をかけてごめんなさい。と謝ると、美味しい食べ方を知ったので嬉しいですと言ってもらえたのでホッとする。


 フィガロギルマス、エレオノールさん、ディリジェンテさん。

 そして【虹の翼】のお姉さん達。

 諸々の手配と手続きをしてくれて、ありがとうございました!

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