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3rd World  作者: 桃姫
fünf
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26

 フューゼは職員室で、授業の進み具合と元々組んでいた授業スケジュールの予定がずれているので、四苦八苦調整をしていた。もうじき、夏休みに入るが、この学園の生徒は、基本的に実家に帰らず寮にいる。しかし、問題はそんなことではなく、その前にある期末考査である。同盟学園は三学期制である。夏季休業までが一学期、夏季休業明けから冬季休業までが二学期、冬季休業明けから春季休業までが三学期である。

 一学期に二回、二学期に二回、三学期に一回ある考査は、その期間で学んだことを総合的に出題する。

 フューゼの担当するのは、無論、科力座学の考査だ。

 テストの問題を考えながら授業を調整し、四苦八苦していた。気まぐれに、出欠の確認のために、名簿を見て、チェックをしていた。


「え?」


 不意に画面に走ったノイズ。気づけば、名簿に一人追加されていた。


「紫雨氷雨……。一体……」


 フューゼが急いで画面を素早く切り替えると、編入手続き申請が来ていた。いや、申請が許可されていた。


「おかしい」


 ボソリと呟き、よく見る。すると、前に見たことのある住所が実家に設定されていた。


「この住所、確か……」


 記憶があっていることを確認するように黒真のプロフィールデータを確認した。そこには、まったく同じ記載がある。フューゼは悟る。


(また、紫藤君ですか……)


 溜息交じりに、息をつき、フューゼは、新たに指示されている、紫雨氷雨と言う人間の戸籍、寮室番号を確認した。

 寮室番号は、少し前のアンノウン大量強襲に、不安を感じてエスサイシアに帰った生徒の部屋だ。戸籍は、適当にあつらえたものだろう。


「また、問い詰めますか」


 やれやれと、授業スケシュールの調整を半ばに、職員室を出て、寮室番号の部屋へ向かった。


 学生寮の中でも魔の一角とされるエリア。フューゼ、龍美、イヴリア、アルス、トリア、黒真の部屋がある場所。そのフロアの対極の位置に氷雨の部屋はあった。

 黒真と氷雨がなるべく人目を避け、隠れるように移動していたため、かなり時間がかかった。【時の刻印】で時間を停止させることも考えたが、氷雨のことを考えると得策ではないと判断し使うのをやめた。そうこして、やっと、部屋にたどり着く。

 そこに来て黒真は、鍵を受け取っていないことに気づいた。


「あ~、鍵どうすっかな」


 黒真の呟きに、氷雨が答える。


「ないのでしたら電子ロックは解除できますが解除しますか?>>>」


 黒真が頷きかけたとき、後ろからフューゼが声をかけた。


「鍵なら取ってきました。これを使ってください……と言うか、何故そんなに汚れているんです?」


 フューゼが呆れた声で黒真に言った。黒真は汚れていないのだが。


「……、そうだな。お前になら話して大丈夫か」


 黒真は一応、フューゼを信頼している。そのことは、今まで、多くの秘密を打ち明けていることからも如実に分かっている。だからこそもしかしたら、結婚するのかも知れない。ただし、それはあくまでも可能性の話だが。


「コイツは、純粋科力兵器内蔵人型兵器。科力兵器売買人によって作られて廃棄されたらしい。倒れていたのを俺が拾った。ハッキングさせてデータを書き換えて編入生にしておいたぜ」


 黒真の回答に、フューゼが苦々しい顔をした。


「また、勝手に……。それにしても、バッドブローカーがこんなものを作っていたとは……。機能制限規定の科力も積んでいそうですし」


 フューゼは氷雨を観察し、鋭い指摘をした。


「それにしても氷雨と言う名前。紫月君……えっと、まあ、一応私たちの子ですけど、彼も言っていましたね。『氷雨姉』と」


 フューゼが少し言いよどんだのはただ単に恥ずかしかったからだ。フューゼの指摘に黒真は、やっと気づいた。それが歴史の矯正力と言うものか。


「紫藤黒真様とフューゼ・クランベリールの間には子が居るのですか?>>>」


 氷雨の言葉に、フューゼの頬が朱に染まるが、黒真は何の反応もせずに普通に返す。


「ああ、まあな。少し未来に行ってきて、偶然あった」


「なるほど。>>>時間と次元のベクトルから様々な見解を考えましたが、的確な答えが出ないのですが、【科力】によるものですか?>>>」


 黒真は、適当に返す。


「さあな、【科力】か【聖力】か【魔力】か【霊力】か。どれかは分からん」


 もしくはどれでもないかも知れない。


「せいりょく……ニュアンスより、既存の日本語とは別の独自の意味を持つ言葉だと理解しました。単語/用例を入力しますか?>>>」


 首を横に振る黒真。


「拒否と判断します。>>>魔力。魔法や魔術などのファンタジーな要素に使われる正体不明、理解不明な力のことでしょうか。>>>ニュアンスよりそれに近く、それでいて、明確に定義することができる力であると理解しました。単語/用例を更新しますか?>>>」


 黒真は首を横に振った。


「拒否と判断します。>>>霊力。霊的な力、奇怪な現象等の力。>>>

ニュアンスよりそれとは異なるものと判断します。>>>単語/用例を更新しますか?>>>」


 またしても首を横に振る黒真。


「拒否と判断します」


「同じようなやり取りを三回もしましたね……」


 フューゼの辟易とした声も気にせず、黒真と氷雨は寮の一室に入っていた。慌ててフューゼが後を追う。


 大変申し訳ありませんが、この一週間は高校の方が忙しいため、2/5~2/7の期間、更新ができなくなりそうです。大変勝手な理由ですが、ご理解いただけたらと思います。

 もう一度、本当に、申し訳ござません。

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