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夢見る蛇の都 その31

 吟遊詩人デイスがシュナンを助ける為に、ラピータ宮殿を取り囲む、広く深い堀の外周部の壁へと急いでいる頃、当のシュナン少年は、高い土台に支えられたラピータ宮殿の門前に広がる、石畳みで出来たスペースの上で、レプカール操る魔神兵と、すさまじい死闘を繰り広げていました。

レプカールが操縦する件の巨大な機械人形は、ラピータ宮殿を背にしてその門前に広がる石造りのスペースの上に屹立しており、でっかいきなこ棒の様な形状の両の腕を、ブンブンと振り回して、眼前を羽虫のごとく飛ぶシュナン少年を、空中からはたき落とそうとしています。

また、その頭部から時おり発射される破壊光線は、ラピータ宮殿の上空を真っ直ぐに切り裂き、更になぎ払うような大きな動きで、空飛ぶシュナン少年をしつこく追い回していました。

一方、杖を片手にラピータ宮殿の上空を飛び回るシュナン少年は、宮殿前の石畳みで出来たスペースの上で腕を振り回す魔神兵の攻撃を、空中で身を翻してかいくぐりながら、反撃のチャンスを懸命にうかがっていました。

シュナン少年の片手にある師匠の杖は、その大きな目を光らせながら、空飛ぶ弟子に対して、忠告を発します。


「バルスを撃つには一定時間、気を溜める必要がある。その間に恐らく攻撃を受けるぞ。どうする、シュナン?」


シュナン少年は魔神兵の巨体の周りを飛び回りながら、師匠の杖の言葉にうなずき、キッパリとした口調で答えます。


「僕に考えがあります。任せて下さい」


シュナン少年はそう言うと、更に身体を急加速させ、ラピータ宮殿の前に屹立する魔神兵の巨体の周りを、ぐるぐると羽虫の如く飛び回ります。

すると、彼がその周りをぐるぐると飛び回っている魔神兵は、少年の挑発する様な動きに余計に怒りをつのらせたのか、ラピータ宮殿を支える高い土台の上で両脚を踏ん張らせながら、更に激しい勢いで左右の巨腕を振り回します。


「おのれ、シュナンッ!!はたき落としてくれるわーっ!!!」


頭部につけられた音声装置から発せられる、耳障りな叫び声と共に、その巨大な双腕をブンブンと振り回す、ラピータ宮殿前に屹立する魔神兵。

シュナン少年は、そんな魔神兵の嵐の様な攻撃をかいくぐりながら、更にスピードを上げて上空を旋回すると、眼下て狂ったみたいに腕を振り回す、かの巨大ロボットをその素早い動きで翻弄し、内部で操縦する魔術師レプカールを更に怒らせます。

そして、そんな目にも止まらぬスピードで魔神兵の周りを、羽虫の如く旋回するシュナン少年の姿を、宮殿前の石畳みで出来たスペースの上で倒れ伏す、レダとボボンゴの二人は、光線で拘束された身体を懸命によじりながら、不安げな表情で見上げます。


「シュナン、頑張って・・・」


「負けるな、シュナン」


また、我らがヒロイン、ラーナ・メデューサも、戦場と化した、ラピータ宮殿前に広がる石造りのスペースからは、少し離れた地点に建つ、ラピータ宮殿の一階部分である、多柱に支えられた吹き抜けの広間の中に避難して、そこから戦いの様子を、固唾を呑んで見守っています。


「シュナン、負けないで。負けちゃ、嫌ーっ」


ラピータ宮殿の一階部分を支える、多くの石の柱の一柱の陰に身を潜め、柱の側面をきつく掴むメデューサ。

彼女のその手は、血の気が無くなるほど、白くなっていました。

しかし、宮殿前で展開する両者の戦いを、最も冷静な目で見つめていたのは、メデューサと対抗する、もう一人の王ー。

ラピータ宮殿を支える高い土台を、それがそびえ立つ堀の中で、周りにひしめく部下たちと共に、ぐるりと包囲する、馬上の人、ペルセウス13世王でした。

馬上のペルセウス王は、自軍が包囲する高い土台の上に建てられた、ラピータ宮殿の門前近くで展開する、魔神兵とシュナン少年の激しい戦いを、部下たちと共に、深い堀の底から見上げながら、鋭い声で指示を飛ばします。


「シュナンドリックめ。何か企んでおるな。やはり油断のならん奴よ。兵たちに、弓を構えさせよ。わたしの指示で、一斉に彼を射るのだ」


しかし、その言葉に、王の隣に控える兵士の一人が、異論を唱えます。


「しかし、陛下。これは魔法使い同士の、正式な決闘です。我らが手を出すのは、信義に反するのではー」


しかし、その側近の兵士の隣で馬の背に揺られながら、高い土台のてっぺんを見上げ、そこで行われている戦いを注視するペルセウス王は、鼻を鳴らして部下の忠告を一蹴します。


「何をきれいごとを言っておる。これは次世代の人間の王を決める戦い。いわば、王同士の、生き残りを賭けた、生存戦争なのだ。手段など選んでいる場合か。さっさと弓兵に準備させるのだ」


王の厳命を受けたその部下は、慌てて周囲にひしめく兵たちに弓を構えさせます。


「弓兵隊、弓構えーっ。斉射準備!!」


その号令と共に、堀の中に陣取るペルセウス軍の大勢の兵士たちが、一斉に上を向きながら弓をつがえます。

王命によって弓を構える彼らは、高い土台に支えられたラピータ宮殿を堀の底から見上げ、そのつがえた矢先を、宮殿前で魔神兵と戦うシュナン少年に向けています。

馬上のペルセウス王は、部下たちによる弓攻撃の準備が整ったのを横目で確認すると、再び正面に目をやり、そこにそびえ立つ、階段のついた高い塔の様な土台の上に建つ、ラピータ宮殿の威容を、真っ直ぐに見上げます。

深い堀の底から頭上を見上げる、彼の目が、獲物を狙う鷹のように、ギラリと光りました。


[続く]

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