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33.仲悪い?

 二度目のアイアンラット戦。

 二度目だし、こっちには銃がある。

 つまり、足手まといはいないしクロちゃんと言う(実力未知数だけど)仲間も増えた。


「とりあえず連携とか気にしないで行くわよ」

「おう」

「良いですわよ」

 

 開戦と同時に突っ込んでいく三人。

 私は銃を構えて、三人の間を縫う一撃を放つ。

 一番槍、もらい。


 鼻っ面に光弾を喰らい怯んだアイアンラットの元へカエデの刀が、クロアゲハの剣が、市松のメイスが振るわれる。


 うん。

 余裕で勝てそう。


 ◆


「もう少し、防御を考えたらどう?」


 戦いが終わり、クロちゃんからカエデに苦言。


「良いんだよ。全部避ければ」

「避けきれてなかったじゃない、

 ちゃんと防御すればダメージ値が目に見えて違うのよ?」

「防御に割く時間を攻撃に回す。

 これが最強だろ?」

「如何に効率よく攻撃を捌くか。

 避ける攻撃、受ける攻撃、反撃のタイミング。

 それらをコントロールするのが最効率よ」


 近接二人が互いのスタイルを主張する。

 ひょっとして、仲悪い?


「まあまあまあ」


 その間にタイミングよく仲裁に入る市松。


「要は継戦能力を如何に伸ばすかですわよね。

 それでしたら、攻撃と回復を兼ね備えたわたくしこそが最強ですわ」


 違った。

 最強議論に割って入っただけだった。


「いや、継戦じゃなくて一撃必殺だ!」

「魔法による回復は詠唱のラグがあるしMPも有限よ!」


 お前ら……。


「馬鹿げた言い争いしてないでよ」


 全員から不満げな顔を向けられる。


「あのさ、戦いに於いて最も重要な事は何か知ってる?

 射程だよ?

 つまり、遠距離攻撃最強。

 私最強。

 はい。この話終わり!

 街へ走るよ!

 行け! シロ!!」


 反論されると面倒なので言うだけ言って逃げる。


 ◆


 時間が惜しいのでキノエネでリスポーンポイントの更新だけして山道へ。


「アレが一応目印」


 変なオブジェの付いた木を指差す。


「場所は覚えてるのよね?」

「うん。

 キノエネから木の数を数えれば」


 私が答えるとゆっくり頷いてからクロが剣を抜く。


「ハアっ!」


 と、短く気合いを入れ一息に幹の途中から生えていた卑猥な枝を根本から切断した。


「これで、他の人に露見する可能性が少し減る」

「「おお」」


 私とカエデが躊躇した行為を、何らためらいもなく。

 こやつ、出来るな。


「殿方が見たら悶絶しそうですわね」

「え、何で?」


 ……何ででしょうね。

 そんな無邪気な目で聞き返さないで?


 ◆


「こんな所、よくわかりましたわね」


 洞窟の入り口で、市松が感心した様な口ぶりでいう。


「まあ、私の力?」

「いや、見つけたのはシロだろ」

「飼い犬の手柄は飼い主の手柄!」

「手柄を横取りするひどい飼い主だな。シロ。

 アタシの所へ来ても良いんだぞ?」

「わん?」

「上げないよ!」

「こんな所で立ち話して無いで、さっさと行くわよ。

 ……で、この隙間を這って入るって本気?」

「本気本気!

 じゃ、私先行くね」


 フリフリと尻尾を振りながら先導するシロへ着いて行く。




「ここは、何が出るの?」


 全員が洞窟の中へ。

 私は松明をつける。


「スライムとコウモリ。

 そう言えば夜の日はスライムばっかりだったかな」

「スライムは普通の刀じゃ切れないだぜ?

 それに見にくいし」

「では、ヨシノさんの銃が頼りなのですか?」

「魔力を帯びた武器なら大丈夫。

 拙者のコテツの様にな」


 言いながら刀を抜き放つカエデ。


「なら、付与魔法でも大丈夫でしょうか」


 ふむ。

 市松はなんとかなりそう。


「エンチャントなら私も使えるわ」

「まあ、わざわざ魔法使わなくても、アタシが全部叩き斬るからボスまでのんびり着いて来な。

 行くよ。シロ」

「ワン」


 いや、シロさぁ?

 君の飼い主は私よ?


「て事なので、先頭は任せちゃおう。

 本番はこの後……あ、ちょっと待って」

「どうした?」

「採掘ポイント」


 私はピッケルを取り出し、壁に打ち付ける。


「やってる場合かよ」

「せっかく来たんだし」


 時間と資源は有効活用しないと。

 壊れた銃も直したいし。


「掘ったらすぐ行くよ」

「へいへい」


 成果は小さな鉱石二つ。

 こんなのでも鑑定するまでわからないからね。




「……ねえ。ヨシノさん」

「なに? クロちゃん」

「……クロちゃんやめてくれない?」

「クロちゃんはクロちゃんじゃん」

「……まあ、良いわ。

 スライムクイーンの粘液って知ってる?」

「うん。知ってる」

「ひょっとして、オークションに出した?」

「うん! 相場の倍近い高値でビックリした」

「スライムの粘液って、結構レアなのよ。

 MPポーションの材料になるけど、狩場が見つかってないから」

「へー」

「だから、これ、オークションに流したら結構な値になると思うわ」


 アイテムボックスにカエデが倒したスライムのドロップ素材が次々と溜まって行く。


「と言うか、この場所の情報だけでも売り物になりそう」

「全部終わるまで、売ったらダメだよ?」

「そんな事しないわよ。

 それをして良いのはここを見つけた人だけ」


 情報を売る、か。

 考えた事なかったな。

 果たして買う人がいるだろうか。


「あ、カエデ!」


 前を歩くカエデを呼び止める。


「なにー? また採掘ポイント?」

「道、逆。そっちじゃない」


 この洞窟は既にマッピング済みなのだ。

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