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22.所謂ミノタウロス的な

 【壊れた銃】。

 私が使っていた魔導小銃の変わり果てた姿。

 もはや、魔力を込めることも、その魔力を銃弾として吐き出すことも出来ないただのガラクタ。


 そして、それを手にする私は攻撃手段を一切持たないポンコツ。


 背後ではカエデが烈火の如く二本の刀を振り回し骸骨の群れを相手取り大立ち回りを演じている。


 私は、壊れた銃を仕舞い飛び込んだその場所を調べる事にした。

 十メートル四方程の小さな部屋。

 正面に備え付けられているのは祭壇だろうか。

 その前に置かれた小さな台座。

 人一人が横になれる大きさ。

 もしかしたら、棺なのかもしれない。

 とすると、この場所あの中の遺体を祀る場所?


 中からボス的なモンスターが出てくるんじゃないかしら。

 少し警戒しながら、その台座を調べようと手を伸ばす。


 直後、景色が切り替わった。


 ◆







 今、私の前に牛頭の怪人がいる。



 グアンナ【黄道十二宮の使徒(アポスル・オブ・ゾディアック)】【懸賞首 No.078】Lv:???

 汝、哀れな生贄。

 歓喜の叫びを上げよ。



 識別でその情報を読み取り、反射的に銃を握るが、それは壊れた代物。直後、下品な笑みを浮かべた牛頭の大きな斧が私の頭上から振り下ろされた。







 ◆


 何だ?

 今のは。


 私は街中で呆然と立ち尽くしていた。

 死に戻り。

 ステータス異常。

 それは、わかる。

 いつの間にか、カエデとのパーティが解消されていた。


 彼女はまだ洞窟の中だろうか?


『死んだ』


 そう、一言カエデへメッセージを送る。

 音声通話が出来るのはパーティメンバーの間だけ。

 もし彼女も死に戻って来るならばここだから私はしばらくその場で待つ事にする。

 仮想ウインドウを開いてそれを眺めていた。


「負けた。

 千人斬りならず!」


 いつの間にか、カエデが側に立っていた。


「あ、お帰り」

「ただいま。ってか、いつの間に居なくなった?」

「何だろうね」


 多分、あの台座に仕掛けがあったんだろう。


「通路の先は何かあった?」

「あれ? 部屋、入らなかった?」

「うん。骸骨と戦ってたから」


 ということは、あのボスと会ったのは私だけか。


「ちょっと、武器が壊れちゃってさ、まいった、まいった」


 私は壊れた銃を取り出し、彼女へ見せる。


「あちゃー。

 ここの武器屋、銃売ってないよね?

 修理とか出来るのかな?」

「どうだろう?」

「……大丈夫?」


 カエデが心配そうな顔で私を見つめていた。


「ん? 何が?」

「元気ないからさ」

「……ちょっと、疲れたかな」

「ま、そりゃそうか。

 鍛冶屋への納品は明日にして、宿屋へ行って終わりにしようか」

「うん」


 思わず誤魔化してしまった。

 さっき手に入れた情報の大きさにどうして良いかわからなかったから。


 ◆


 五日目。


 Remnants of Eden : Unlimitedには、八十八の特別なモンスターが存在する。

 高額な賞金が掛けられたそのモンスター達は、プレイヤー全員が名を知っている。

 何故ならばメニューからそれを確認出来るから。個別に設定された懸賞金と共に。

 だが、名を知っていても、それが何処にいてどんな姿形をしているのかまではわからない。


 そして、それによると、【グアンナ】と言うモンスターに掛けられた懸賞金は5,000万G。

 そのまま換金すれば、五千万円である。


 五千万円。


 五千万円。


 いや、もっと高額の賞金首はいる。


 だけれど、突然降って湧いた大金入手のチャンスに私は思考停止に陥った。


 これをカエデと共有するすべき?

 いや、すべきなのだ。

 今すぐにでも。


 彼女の協力がなければきっと勝てないだろう。

 いや、彼女の協力があったところで勝てるかどうか。


 ならば……協力者が必要?

 でも、どうやって集める?

 その辺の人と『今日一日、よろしくお願いします』って、感じじゃなくて、五千万の報酬を分け合う仲間。

 信頼出来る人。

 今のところ、心当たりは全くない。


「鑑定、終わった?」

「うん」

「じゃ、鍛冶屋さんへゴー!」

「おー」


 カエデが元気な声を上げながら右手を突き上げた。

 その足元でシロが嬉しそうに飛び跳ねる。

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