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10.道具屋で金策

「とりあえず、準備をしてから出かけよう」


 依頼主の家から外に出てすぐ、私はカエデに言った。

 どんな所でどんな敵が現れるかわからない以上、可能な限りの準備は整えたい。

 といっても、先立つ物が無いので本当に必要最低限の物だけだろうけど。


「回復アイテムと……洞窟なら明かりが必要かな?」

「だね」


 私は視力強化があるから平気なのかな?


「ところでさ?」

「なに?」

「準備っていっても、アタシ、お金無いよ?」

「私も無い。

 なので、今から用意します」

「どうやって?」

「カエデ、【妖魔の石】って持ってる?」

「えっと……二つある」


 私は一つ。

 さっきの戦いで手に入った。


「【妖魔の角】は?」

「ないなぁ」


 私は一つ持っている。


「他は?」

「【妖魔の爪】七つ、【妖魔の歯】五つ」

「じゃ、まずは道具屋へ行こう」


 と、薬瓶の様な看板のかかった店を探す。


「ひとまず、私の言うとおりにして」

「りょーかい」


 道具屋の前でカエデに一言言ってから店の中へ。


 中には老婆が一人。

 カウンターの後ろにいろんな色の液体が入った瓶がたくさん並んでいる。


「すいません。買取お願いします」

「物は何だい?」

「【妖魔の爪】と【妖魔の歯】」

「未鑑定のアイテムは全部10ポイントだよ」

「それでいいです」

「二人分、まとめてお願いします!」

「あいよ」


 私の前に仮想ウインドウが現れる。


 ーーーーーーーーーー

 以下のアイテムを売却します。


 【妖魔の爪】✕ 6

 【妖魔の歯】✕ 4


 【キャンセル】【売却】

 ーーーーーーーーーー


「売却で」


 横のカエデにそう声をかけ、仮想ウインドウのボタンに触れる。

 『入手:100ポイント』とウインドウに表示され、チャリンと軽い音がする。


「私達の【妖魔の石】と【妖魔の角】、鑑定お願いします」

「一つ、50だよ」


 ーーーーーーーーーー

 以下のアイテムを鑑定します。


 【妖魔の石】✕ 1

 【妖魔の角】✕ 1


 【キャンセル】【鑑定】


 代金はポイントが優先して利用されます

 ーーーーーーーーーー


「鑑定しちゃって」

「了解」


 鑑定のボタンへ触れるとシャリーンと音が仮想ウインドウが切り替わる。


 ーーーーーーーーーー

 鑑定結果


 【ゴブリンネズミの胆石】✕ 1

 【ゴブリンネズミの小角】✕ 1

 ーーーーーーーーーー


「ゴブリンネズミの胆石、二つだって」

「おっけー。じゃ次は、冒険者ギルドへゴー」


 これで、依頼を二つクリアできる。


 ◆


 鑑定したアイテムをそのまま冒険者ギルドへ納品。

 【ゴブリンネズミの胆石】三つ。

 【ゴブリンネズミの小角】一つ。

 合計12,000G。二人で6,000Gずつ。


「やった!」

「大金だ!!」


 換金すれば一時間労働で六千円。

 これ、良いのかな?

 ま、こんな小金で満足はしないけれど。


「すごいじゃん」


 ギルドから出るなりカエデが私を褒め称える。

 良いぞ。崇め奉れ。


「ネットの力は偉大」

「カンニングかー」

「情報を制すものは勝負を制するのだよ」


 と言っても、お店で鑑定してもらえるとか、数の少ないレアドロップはギルドで納品クエストがあるとか、その程度だけれど。

 鑑定前のアイテムで依頼をクリアできるかは正直賭けだったのだけれど。


「じゃ、さっきのところへ戻ろう」

「買い物?」

「そう。とりあえず、スキルを買うの」


 未鑑定品を買い叩かれるのも、鑑定に50払うのも馬鹿にならない出費。


「何のスキル?」

「とりあえず、鑑定」


 他にも候補はあるけれど、多分お金が足りない。


「じゃ、アタシはさっきの道具屋で回復アイテム補充してくるよ」

「りょ。すぐ追いかける」


 杖を模した看板のかかったスキル屋で、5,000G払い【鑑定】スキルを購入する。

 チュートリアルの時は1,5000ポイントだったので大幅な値上げ。

 ま、仕方ない。

 その分の出費はワンコに変わった訳だし。


 売り物であるスキルのリストをざっと眺めてから外へ。

 カエデは道具屋ではなく、そこへ向かう途中で待っていた。

 焼き鳥の様なものを手にして。


「買い物終わった?」

「う、うん」

「食べる?」

「いや、要らない」

「シロ食べる?」

「ワン」


 串から肉らしき塊を引き抜きワンコの前に置くカエデ。

 いや、勝手に餌付けしないでよ。


「美味しいの?」

「噛みごたえはある」


 幾らしたんだろう。


「道具屋、行くよ。

 その後人探し」

「はいよ」


 ◆


 一つ700Gのポーションを五個ほど購入するカエデ。


「すまぬ」

「気にしなくて良いよ。アタシも鑑定頼むだろうし」


 本当は、自分とシロの分は自分で買うべきなのだが手持ちがない。

 念の為、と松明を一つ買ったのだ。一つ900G。高っか。

 あっという間に持ち金は100Gしか無くなってしまった。


「じゃ、行こうか」

「よし! シロ! お前の鼻が頼みの綱だからな。

 行くぞ!」

「ワン」


 そう言って走り出すカエデとそれを追いかけるように並ぶシロ。

 おい。

 うちのワンコに勝手な期待を掛けるな。そして、飼い主置いてくな。

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