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召喚ノススメ  作者: EDA
召喚ノススメ Ⅲ ~運命の少女~
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プロローグ

 アンティークなベッドの上、清潔そうなシーツと毛布にくるまれて、トラメは昏々と眠り続けていた。



 黄色い瞳を、まぶたに隠し。

 大言ばかりを吐く口を閉ざし。

 まるで赤ん坊みたいに無垢な表情で……。


 とても安らかな寝顔だ。

 しかし、どれだけ見つめていても、その身体は毛筋ひとつ動かない。


 トラメは、呼吸をしていなかったし。

 トラメの心臓は、停止していたし。

 トラメの身体は、氷のように冷たかった。


 トラメは、生きていないのだ。

 死んではいない、という。

 しかし、生きてもいない。

 トラメの時間は、あの瞬間から完全に停まってしまっていた。


 長い睫毛が、白い頬に影を落としている。

 くせのある金褐色の髪が、ふわりとシーツにひろがっている。


 今にもその目がぱちりと開いて、不機嫌そうに俺の顔をにらみつけてきそうなのに……しかし、そんな奇跡は起こらない。


 どれだけ見つめても、どれだけ時間が過ぎ去っても。トラメは、目覚めようとしなかった。


 トラメの魂は、封印されてしまったのだ。

 たった一本の、小さな短剣による魔術によって。


 俺は、小さく息をつき、壁にかかった時計を見やる。

 もうすぐ日付が変わりそうだ。


 昨晩の凶行……八雲美羽の裏切りによってトラメの魂が封印されてしまってから、早くも二十四時間もの時が過ぎ去っていこうとしていた。

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