ロールプレイヤーとしての矜持
シャドウ達の光石で照らしながら元スナイドの街の跡を北東へ迂回していく。全員黙りこくっている。ゴブミツとゴンゾウが死んだ。まだ半日前なのに……多分、私は受け入れられていない。でも……。
その直後、空から眩い光が指してきて、真っ白な羽根と天使のリングが頭上にある……ゴブミツが……降りて……
「ゴブミツ!?」
シャドウとエリザベスは苦笑いしながら、驚いてあたふたしているナカマに
「カンストしたモンスターの転生じゃ。極低確率か……憑依者が自キャラやパーティーキャラに課金アイテムを使わねば起こらんが……」
「ナカマちゃん、まさかパーティーキャラに課金したんか?」
ナカマは首を何度も横に振り
「考えたけど15000のリアルマネーは僕には払えませんよ!」
シャドウは降りてくるゴブミツを見上げ
「……ネーム周りの課金をすると、我々憑依者にも、憑依者だとバレないようになる……」
エリザベスも頷いて
「……9割、野良モンスターのふりした憑依者じゃな。妙に賢く手慣れているとは思っていたが……」
そう言った。
降りてきた羽根が生えたゴブミツが嬉しそうに
「みんな!天使になって戻ってきたゴブ!僕がみんなを守るゴブ!」
と言った瞬間にシャドウとエリザベスに囲まれて
「憑依者じゃな。何が目的か、話を聞かせて貰おうか」
「ゴブミツさん、お主が憑依者なのはバレとる」
ゴブミツは項垂れて
「う、流石に派手にやりすぎたゴブ……分かったゴブ……キャンプを張ってくれゴブ。そこで話すゴブ」
すぐに観念した。
シャドウが何もない空間から建てられたテントと、焚き火を出現させ、エリザベスが食べられるキノコに串を刺し火の脇に刺していく。焚き火の周囲で私達は座り、左右をエリザベスとシャドウに挟まれたゴブミツは観念した様子で
「僕は……ナカマを守る為にここまで来たゴブ……」
「僕を守る!?」
ゴブミツは真面目な顔で
「……それ以上は言えねーゴブ。でも僕はルフィナちゃんもキャピナも……ゴンゾウも……くうう……ゴンゾウも守りたかったゴブ……僕はナカマ以外の皆のことも大好きになってたゴブ……」
ゴブミツは大粒の涙を落とし、私とキャピナも涙を拭う。
ゴブミツは更に
「モンスター軍団所属だったのも本当だゴブ……低レベルロールプレイを家事の合間に無課金で楽しんでたゴブ……そしたらナカマがこの世界に来たことをうーん……そう、感じたゴブ……それでナカマを探したゴブ」
「感じた……?探した?何を言っておる」
シャドウが怪訝な顔をするが、エリザベスは閃いた様子で「ポン」と手を叩くと、ウンウンと頷き
「ゴブミツさんや……そう言うもんじゃな。フレンドなるかの?」
ゴブミツは涙を拭い
「すまねえゴブ。僕の中で僕は憑依者ではなく一介のモンスターだゴブ……ロールプレイヤーとしての矜持もあるゴブ……転生もギリ、通常のモンスターとして起こりうる可能性だから苦悩した末に選んだゴブ……ホントは死んだらキャラデリするのが筋だゴブ……でも、僕は、ナカマ達と旅する僕が気に入ってしまったゴブ……」
良くわからないことを喋り続けるゴブミツに、シャドウはいきなり大笑いしだして
「よーく分かった。あんたはたまたま転生したモンスターじゃ!」
エリザベスも微笑みながら頷き、呆気に取られているナカマに
「……大丈夫じゃ。これまで通りモンスターとして扱ってやりなさい」
と言った。




