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幕間010 綾瀬このはの正体は?

金糸に絡め取られ、閉じ込められ、そこに金色の液体が満たされて、意識を失う。


気がつくと、伊月ちゃんと向かい合っていた。「よ!このは!元気だったか!」・・・ああっ!本物の伊月ちゃんだ〜 と勢い良く飛びついて抱きつく・・・感情が乱れたことで、周りには黒い靄が立ち込める。

「なんだよ、このは〜?寂しくて泣いてたのか〜?」と、からかってくる伊月ちゃん。その言葉を聞いて、怒りの心情がもたげてくる。こんなに心配したのに!と・・・周りの黒い靄が濃くなってることにも気づかず。


私が落ち着いてきた頃に「なあ、このは?周りを確認してみようか?」と言われ、周りを確認すると・・・「えっ!?何この黒い靄は?」・・・そういえばタツキちゃんが、食べられたって聞いたのも黒い靄だったよね?

「い、伊月ちゃん!?これ、大丈夫なの?」と恐る恐る聞くと「大丈夫だよ?だって、これ、このはが出しているから、ね!」・・・えっ!?私が・・・この黒い靄を!?えっ!?じゃ、タツキちゃんを食べたのは・・・私。思考がぐちゃぐちゃのグシャグシャで、うまく考えられない。


「ふふふふふふふ、あ〜ははははははは〜!!!ようやくだよ!ようやく、この無能をぶっ飛ばせるよ!!!」


伊月ちゃんが叫ぶ・・・わ、わたし・・・やっぱり、皆んなのじゃまに・・・迷惑に?レディースに加われて・・・うれしかった・・・のに?やっぱり、わた・・・

私の絶望した顔を見て「あ〜、ごめんごめん。つい嬉しくてね。このはじゃ無くて、あんたに寄生しているやつに用があるんだよ〜」・・・えっ!?寄生!?私に!?・・・情報過多で思考が停止してしまう。


伊月ちゃんは丁寧に説明してくれた・・・・無能な政治家達の「丁寧に」といいながら実際には意味不明な説明、とは段違いに分かりやすかった・・・比較したら伊月ちゃんに失礼だね。

説明してくれた内容は・・・

・私が幼少の頃から嫌われていた要因は寄生している輩が出す黒い靄が原因。このはも感じただろうけど、黒い靄は根源的な嫌悪を与える。

・伊月ちゃんが、いつも私をいじめから助けたのは、黒い靄が暴走しそうだから・・・遠くからでも力の波動を感じられたそうだ・・・結果、伊月ちゃんと仲良くなれた、これについては輩さんに感謝したい。

・中学で、黒い靄の力の把握が完了。高校入学後にレディース入隊後に輩を〆る予定だったが、このはの中に逃げてしまい、伊月ちゃんの前に出てこなくなった。

・当時は互角だと思って戦闘を楽しみにしてたのに・・・それに高校3年で全く成長しなかった!期待させておいて!!!と憤慨している。

・今回、伊月ちゃんの力の中へ確保出来たので、引きずり出してボコボコに〆て、このはに従わせる。


「話は分かったけど、私にそんな強い力があるなんて、今だに信じられないな」すると、伊月ちゃんは悪〜い顔をして、「だからこれから引っ張り出すんだよ」だって。

「大分痛い思いするかもしれなけど、我慢してね。で、戦闘中に寄生している輩と話を付けるんだよ」・・・だって、そんなの無理!「えっ!?私には、無理だよ〜」と泣き言を言うと「だったら、そいつを消すだけ・・・このはも強くなりたいんでしょ!分かるよ。そのためには、そいつがてっとり早いよ」・・・相変わらず厳しくて、的確な急所を攻めるね、伊月ちゃん。


「寄生しているのはね、あんたの前世なんだよ?」・・・前世!?どういうこと?

「当時の怨念を引きずって、転生後も、あんたの体でうじうじしているんだ!・・・だから、今世のあんたが折り合い付けないといけないんだよ」・・・自分の事か、そういうことなら、頑張らないと!

幼少の頃から周りに嫌われてきた綾瀬このはは、いつも自分を律しており、自分には非常に厳しい。前世とはいえ「自分の事」と言われ腹をくくったようだ。


「ふふふ、ははははっ!そうだよ、このは!あんたのその性格が大好きなんだよ!・・・さて、ヒキニートを引きずり出して、ボコボコに〆ようかね〜」・・・伊月ちゃん!?大好きなんて言われたら〜!!!赤面するこのは。・・・やっぱりかわいいよね〜 と関心する伊月。

ピンクな気配を嫌ったのか?黒い靄の主が、このはの意識を押し切って全面に出てきた・・・「また貴様か!死ね死ね死ね死ね〜」・・・「笑えるわ〜、人を憎んでうじうじするだけの、ゴミに負けるかっ!っての〜」


<伊月サイド>


黒い靄に支配されたこのは、その攻撃はもちろん黒い靄なんだよね。まあ、そんなのは中学の時に解析済みなんだよ〜

こちらは、もっと暗く深い闇の霧を出して、すべて食べつくす。「あんたのちんけな怨念なんて、ただの吐息程度だよ、ださ〜!」「ほれほれ!そのチンケな怨念で次は何を出すのかな〜?」

挑発が効いたのか?体全体に黒い靄を纏い、その靄で剣を生成して襲いかかってくるが・・・その気概を3年前に味わいたかったよ。とため息が出る。

黒い靄の主とは、中学3年時でほぼ互角だと分析したが、高校3年間で10倍近い力の差が出来ていた(だからこそ、黒い靄の主は逃げていたのだが)。で、今現在さらなる力を得た伊月には、もうただの雑魚だ。

切りつけてくる剣を平手で弾き、弾いた瞬間に神聖力をまとわせた拳で軽いジャブを当てる。これだけで効果てきめんだ・・・・正直つまらない。当時期待していただけに幻滅だ・・・ただ。このはに引き合わせてくれた事には感謝するけどね。


<????サイド>


私は田舎の男爵令嬢だった。3女のため、政略結婚よりかは、と少しでも役に立つために幼少の頃から騎士を目指していた。幸い素質があったことも有り、メキメキと実力を伸ばしていった。

そんなある日「さる侯爵より、平民のふりをして『メシア』として、平民を先導して戦争に参加してほしい、と依頼を受ける。もちろん侯爵からのお願い=命令だ。すぐに段取りを取りまとめ、「神の使徒」として王太子に会うことになる。

その後は、ほぼ史実どおりの内容にはなるが、最終的には裏切られて異端として火刑に処された。オルレアンの聖女などとおだてられていたが、所詮は偽メシア。扱いは最低で憎悪を向けられ続けて殺された。


我ながら馬鹿な女だとはおもう。だが、誠心誠意お国のために奮闘した私に最終的には憎悪の目を向け殺した、平民、貴族、あの国自体、そして神!全てが許せない!

許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!許すまじ!

この憎悪は生まれ変わっても、全く揺らぐことはない!今世はすべての生ける人々を怨嗟の業火で焼き尽くす!!!

・・・なのに、今世のこの体は思うように動かない。綾瀬このは、だったか?この女の強靭な精神力はなんなのだ!?こいつが思考を乱したときに、僅かだが力をふるえる程度しか動けん。

しかもだ!こいつの近くにいる伊月という存在がやっかいだ!私が全力で立ち向かっても無事では済まない・・・これは様子を見るしか無い。なのに!!!二人共ドンドン強くなる!!!

憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!

これだけ!これだけ憎悪を膨らませているに!!!なんでだ!なんで勝てない!!


「は〜っ、弱すぎて話にならないよ!ほら、白炎!」「ぎゃーーーーーー!!!」「そーかー。神聖力の炎は気持ちいーべよ〜」・・・おのれ!馬鹿にして!馬鹿にして!馬鹿にして!


なんとか憎悪の力で維持はしているが、全くかなわない。力がドンドン削がれていく!・・・このまま消滅などしたくない!だれか!?だれか!!!・・・また!惨めには死にたくない!

「だめだよ?伊月ちゃんをあんなに怒らせちゃったら、もう消滅確定だよ〜」・・・こいつは・・・綾瀬このは、だったか?

「おまえも死にたくないだろ!?なら、私に力を貸せ、そして全世界を呪いの渦に巻き込むのだーーーー!!!」

この言葉にあきれた表情のこのは「あなた、出来ないことを言っても意味ないよ?そんな人を伊月ちゃんは許してくれないよ。それに、私は伊月ちゃんになら◎されても全然OKだよ〜!そして・・・伊月ちゃんの心に永遠に残り続ける・・・キャ!」・・・何をいってる?こつは?馬鹿なのか?

「ふふふ、死にたくなかったら私と共闘しようよ!どうせあなたなんて、伊月ちゃんをがっかりさせてるんでしょ!?」・・・図星だ。しかし、お前と共闘!?戦闘経験皆無のお前が?

「むーーー!!!私はね、伊月ちゃんの力になりたいとイメージトレーニングはばっちりなんだよ!!!あなたの力を使ったら、それはそれは伊月ちゃんを楽しませられるよ〜」・・・なんだこいつは?根拠もなしに意味分からんぞ。

私が戸惑っていると「よし!今だ!」と一気に体を乗っ取られ、私の意識は黒い剣に取り込まれた。「あなた・・・ジャンヌ!?・・・きゃーーー!!!私って英雄の生まれ変わり!?きゃーーー!!!」・・・何だこいつは?何なんだ!こいつは!?


「おっ!?ようやくこのはが出てきたな!従えられた?」

「う〜ん、まだ。でも私の前世は!ジャーーーーンヌ、ダルクだよ!伊月ちゃんも一撃だよ〜!」

「あんなヘボがジャンヌで私はがっかりだよ」「むーーーー!!!」

「なら、やり合うか!・・・・でも、力が増加したばかりで手加減難しいんだよな〜 こんな時に虎虎ことらがあれば!・・・このは、持ってきてないよね?」

「あの子は、伊月ちゃん以外持てないよ」「そうなの!?」・・・なんの会話をしている、こいつらは!?

すると、伊月の後方でカランっという金属音が・・・


「「虎虎ことら!?」」

「うんうん!流石、私の相棒だ!」


・・・その瞬間、嫉妬の炎がジャンヌを襲う「ぎゃーーー!!!」火刑とは比較にならないほど熱い!焼ける!!!また死ぬのか!!!死にたくない!!!


「よし!いくぞこのは〜」伊月とこのはの戦闘が始まるが、実際には伊月のレクチャーだ。


「ほら、このは!剣を大ぶりしない!その間に5発は打ち込めるぞ!」

「あんたが覚えた格闘なんて、凡人の動きだ!超人にはゴミのような情報だよ!ゴミ!・・・そんなの全部断捨離だ!」「ひどーーーい!!!」

「ほらほらほらほら!虎虎ことらじゃ無かったら、既に何百回も死んでるよ!」

「でも、ジャンよりは大分マシだ、今後の期待大だね。ほれ、まずは氣を覚えようか?丹田から力を!そう!!!」


なんなのだ!?こいつらの強さは!?なんで私の怨念が効果ない!?


・・・ああっ恐ろしい!この二人が恐ろし過ぎる!もう過去の呪いなんてどうでもいい・・・早く!このおかしな人間たちから!この場から逃げたい!!!


どれほど、この恐ろしい時間が経過したかわからないが、突然「・・・・もう駄目・・・伊月ちゃん強すぎ・・・私剣になって援護するから・・・・交代」


「えっ!?」

突然視界がひらけ、目の前には恐怖の大魔王!伊月が居る・・・このはは白い剣になっていた。


「・・・ほう、このははダウンしたか。後でもっーーーーーーーーとしごかないとな、やる気だけでは駄目だよね〜心技体!すべてが揃わないとね!」


その後は、記憶が曖昧になるほどにボコボコに〆られた。・・・もう周りを呪わない!もうこのはと仲良くします!従います!伊月・・・伊月様にも尽くします!だからもう許して〜


気がつけば、森の中にいて、なぜか可愛らしい衣装を身に着けた伊月様に鼻を掴まれていた。

「いたたた!はなふぇ〜」と騒ぐ。


「はなふぇ?日本語で喋れ!」と伊月にさらに鼻を引き回されて、「ごべんなざい」と謝る。

「いいか!?ジャンヌ!きちんとこのはと話し合え!そして服従しろ!・・・それが出来ないなら、分かるよな」猛烈な怒気を放出した伊月様・・・別の場所からも悲鳴が聞こえる。


鼻を掴んで引っ張られ、既にボロボロの私は、涙目で「分かりました」と何度もうなずいていた。


「このははお前を守るために、剣にまでなったんだぞ!・・・今後はきちんと守れ!」

「いつまでも裏切られたことをネチネチと陰湿にしてるんじゃねーーーー!!!このはにカビが生えるわ!!! 今度愚痴ったの聞いたら・・・分かるよな」

「まあ、ガイヤに戻ったら神への復讐手伝ってやるからな!・・・私もぶん殴りたいし」


等々、30分ほど威圧混じりで説教されて、威圧に耐えきれずに私は気絶した。



・・・もう、もう、逆らいません。恨み言も言いません。心機一転皆んなのためにがんばりますからーーーーーーー!!!



キャラ達が暴走して、予定通りに全く進まないです。

なんで、ジャンヌさんがこんなにヘタれてしまったのか?

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