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物語(仮)  作者: りくど
第2部
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10/30

6話:敵を倒す当たり前

※こちらは2部になります、よかったら

1部も読んでみてください。


天敵っていますよね。

(ここは何書けばいいんだろう)

「思わず、話しかけちゃったけど、

話すわけないか…」


「(なんで、私は気づかなかった…?

音も聞いてたし、いないことも確認してた。

ここに来るまで警戒はちゃんとしてた…

問題なかったはずなのに……)」


シオンはこの街に入る時を思い出し、確信する。


「違う…あなたね!……げほっ

音が消えたり聞こえたりしてたのは!」


ドロップは喋らない。

首を左右にカクカクさせながら

シオンをずっと見たまま動かない。


「(…なんで動かないの?なんでずっと見てる?)」


24の建物に入りたい。

しかし、目の前にはドロップがいて

入口はその後ろにある。


「動かないなら今がチャンス……

私の速さなら、なんとか…!」


シオンは起き上がり、走り出そうとした。


それと同時に、ドロップは首を真っ直ぐに整えた。

相手も動き始めようとしてた。


両翼がゆっくり開いた。

その広がった翼はシオンより大きく

威嚇されているようだった。


その翼はもはや『壁』だ。


「んな…!でっ……か…」


呆気にとられた。その瞬間だった。


目の前のドロップは飛び上がり

シオンが先程いた、建物の向こうへ消えた。


「え、向こうに…なんで……?

いや、今のうちに!」


シオンは痛さを我慢し、走り出した。

いなくなった理由は分からないが急がなきゃと。

とにかく入口を目指した。


ドンッ!


「……あ…がっ……!」


背中に痛みが走る。今度は背中を蹴られた。


シオンは地面を転がり建物の入口を通過する。


「ふぅ…ふぅ……ぐふっ!…げほ……後ろ…から」


「音が…全く聞こえない……入口に近づけない……

…はぁ……あいつは?」


ドロップはどこにも見当たらず既に消えていた。


どこから来るのか、どこにいるのか。

音が拾えない。耳が全く役に立たない。


「一旦……ふぅー…どこかに隠れたいな…

移動しようとすると

きっとまた……飛んでくる…」


シオンは起き上がらず

うつ伏せのまま、左右へ目を配る。


自分の左側にすぐ入れそうな建物がある。

「よし」と決め、そこに隠れることにした。


体勢を起こし、また入口に向かおうと

走り出す姿勢をとり、右足に少し力を溜めた。


そして、少し息を整えてから

右足で地面を蹴り左に飛んだ。


タンッ…!ゴロゴロゴロ……。


「ははは…さすがに

これは無理みたいだね……!」


隠れることに成功したシオンは

作戦を考え始めた。


「さぁ…はぁ……どうする?音はしないし

どこから来るかも分からない…ふぅ……。」


「音を聞くのは私の得意なのに。

ホントどうしたらいいの……なにかないかな…」


「カナタならあんなやつ、飛んで追いかけて

簡単に……カナタ…カナタ……そうか!」


ふとカナタならと考えたが、

それはシオンの中に閃きを与えた。


シオンはさっきのコンビニで

カナタの足音が気になって、軍手を履かせて

足音をほぼ消したことを思い出した。


「音が出ないなら、出るようにすればいい!

簡単なことだったよ!ありがとうカナタ…!」



※※※


「……ふがッ…ぁえ?……スー…スー…」


※※※



シオンは使えそうなものがないか辺りを見渡した。


辺りには…

建物内の壁が崩れて落ちた大小の壁の破片。

窓ガラスが割れて外と中に飛び散った破片。

かつては植物だったであろう枯れ木。


そして、シオンが寄りかかってる背には

ボロボロなコピー機。

手元には丸くなった紙クズが転がっている。


「何?これ」


掴もうとしたその行動は

特に何も考えず、純粋に何かを確かめようとした。


しかし、その手は紙クズを掴まず

少し手が触れて、転がした。


カサカサ─


音を立てた。


「…………。いける。音、出せる。聞けるよ…!」


思わず顔がにやけてしまった。

シオンは早速行動する。


コピー機にある紙をとにかく丸めた。

そして、外へどんどん放り投げた。


壁の破片も枯れ木もガラス片も外へ投げた。


ドロップは建物から何かが

出てきているのを空からずっと見ていた。


あの獲物がそこにいることを再認識し

その時を待ち続ける。


シオンが投げ始めて数分、適当に投げたそれらは

建物の外であちこちに散らばった。


ポイ捨てよりタチが悪い散らかしっぷりだ。


「あ、待って?でも、ドロップの

音がわかったところでどうしよう…」


閃き、行動したまではよかったが

肝心のその後を考えてなかった。


音がわかったところで

仕留めなければ意味はない。


シオンは立ち上がり、歩きながら考える。

破片達を拾っては投げを繰り返しながら。


「もうー!どうしたらいい…のっ!」


全く思いつかず、少しイラつき

八つ当たりをするように壁の破片を蹴った。

破片は外へ転がっていく。


「………あっ。

脚……蹴る……あいつも蹴ってきた、これだ。」


シオンは破片を蹴った足を見た。

顔つきが変わる。


あのドロップに勝てる。自分一人で…勝てる。

確信したシオンは外へ出た。


飛び散った破片たちの真ん中に立ち

少し腰を落として来るのを待った。


「あなたはもう、私を蹴ることはできない…!」


シオンは『上』と『左右だけ』を見てる。


──お互いのその時は来た。


……カサカサ。

…チリ…チリ……


シオンからやや離れた後ろで、

ガラス片や紙クズが転がり『音が発生』した。


微かすぎる音を拾った耳がピクッと動く。

耳がいいシオンが逃がすはずもなかった。


「…聞こえた!

(まだ、少し遠いけど近くなってきてる…)」


「今!ここだー!」


音の接近でタイミングを確認。

腰を捻り、その回転をも力に変え

後ろに向かって力いっぱいの蹴りを放った。


ドロップは止まろうとしたが、

わかった時には遅かった。

シオンの蹴りは顔面を直撃。


メキメキ…と音を立てて

そのまま蹴り飛ばされ、

建物の壁を壊し向こう側まで飛んでいった。


完璧なカウンターだった。


「…ははは……やった…!当たった!

い、いや、まだ喜ぶな私

倒せてないと意味がないぞ…」


シオンはめちゃめちゃ喜びたかったが

冷静になり、ドロップを確認しに行った。

安心する為にも。


建物の外側から裏へ周りドロップの元へ。


ドロップは完全に倒せておらず

両翼と両脚をバタバタさせていた。


立とうにも立てず、その様子は

駄々を捏ねてる子供のよう。


「やっぱり倒せてなかった…

私じゃ倒せるほどの力がない……。

でも逃がすと大変だ、倒さなきゃ。」


このドロップは音を出さない。

逃がせばまたいつ無音で襲われるか分からない。

トドメを刺さなければ。


シオンは飛ばれないように片翼だけ押さえ

ドロップの横にしゃがみこんで

裏にも飛び散っていたガラス片を手にした。


それを、首に刺そうと手を振りあげた。



今の今までドロップを

よく見てなかったシオンは

初めてちゃんと姿を確認した。


シオンの顔は、コンビニの時より

青ざめ、背筋まで凍った。


「……少し違うところもある…けど

待ってよ…この姿…まるで……カナタ…じゃ…。」


重ねない方が無理だった。


「カナタも……こう…、うそ、ヤダ……いや

カ、カナタは…違う、こんなのにならない…!」


トドメを刺さなきゃいけないのに。

逃がしたら危険なのに。手は空中で止まったまま。


シオンは自分と戦った。


「私は……私は…」


その時、耳が動いた、ヒューという風を

切るような音と


「いた!シオーン!」


聞き慣れた声が上から聞こえた。

カナタは起きて、シオンを探し飛んでいた。


シオンがカウンターを当て、飛ばしたあの時

建物の破壊音と立ち上った少しの煙。


破壊音はよく聞こえてないが

煙が見えたカナタはなんだろうと確認しに来たのだ。


「……あっ」


手は空中から下へ。


カナタは急降下し、シオンの後ろへ着地する。


「ここにいたんだ!って、どうしたの!?

なんでそんな傷だらけなの!?

ドロップにやられたの!?大丈夫!?

ドロップは?どこ?!」


「……だ、大丈夫だよ。えっと…その……」


「ん?あれ?もしかしてこのドロップ?

……シオンを傷つけたの」


「え、あ、いや、そうだけど

た、倒したからもう──」


シオンの言葉は届いてなかった。


「許さない」


ドサ。


シオンを無理やりどかした。

その手からは優しさなど消えていた。

同時に、ハンマーを手に取る。


「うわっ……カナタ…!私は、大丈──」


「許さない」


カナタは言葉を遮った。

シオンはカナタの顔を見た。


──優しく明るいカナタは居なかった。


グシャ。グシャ。バギィ…メキメキ……グシャ。


無言で的確に、頭を、翼を、脚を

そのハンマーで叩き潰し返り血が飛ぶ。


シオンは泣きながら

黙って見てることしか出来なかった。


ドロップは数秒で完全に停止した。


「…………」


停止したドロップを10秒ほど見たカナタは

シオンの知ってるカナタに戻った。


「よし、もう大丈夫だよ!倒した!

あ、あとアレだ……えーっと…あったー!」


「シオンこれ食べて!

傷ついた場所だけだけど治るから!

超まっっっずいけど!」


カナタはシオンを無理矢理どかしたことなど

何も気にしていなかった。


いや、覚えてないのかもしれない。


血が付いた手で差し出したのは心臓。

スーパーの時、カナタが食べていたのを

シオンは隠れていたが、見ていたからわかる。


「…え、あ、う、うん。……ありがとう。」


「ねぇ、なんで一人で外出ちゃうんだよ〜

起こしてくれても良かったじゃん!」


「ご、ごめんね、疲れて寝ちゃったと思って

起こすのは悪いからさ。それに、

起きたらお腹減ってるだろうなってご飯探しに出たの」


「えぇー、気にしなくていいのに!

それで?食べ物あった?」


「ううん、探してる途中で

あのドロップに出くわしたの。

でもあそこ、24の建物だよ。あそこ行こ。」


「え、こっちにもあるの?!ほんとだ!

あのすごい場所がこっちにも!早く行こ!」


カナタは大急ぎで向かった。



シオンはカナタになにかあれば

私が止めなきゃと誓うと同時に


カナタがカナタでいれるような方法がないかを

探さなきゃと思ったのだった。


そして、音が完全に離れたのを確認し


ドロップの心臓を──捨てた。


「ごめんね…カナタ。」


シオンの体にできた、擦り傷と

口の中を切った傷はもう治っていた。




最後まで読んでいただきありがとうございます!

この作品は勢いに任せて、極力テンポも

意識して書かせていただいてます。

面白いなと思って頂けたら、ブックマーク等で

応援していただけると励みになります!が!

ゆるい気持ちで

楽しんでもらえたらそれだけで嬉しいです!

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