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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第四章:心スポ探訪編

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第88話『封印された真実』

 ――ホテルの“記憶”に閉じ込められた修達オカルト研究同好会の面々。


 その空間は確かに見慣れた廃墟のはずだったが、どこか、違和感があった。


 


 埃一つない床。


 動いている自動ドア。


 微かに流れるピアノのBGM。


 


「これは……営業していた頃の“ホテル活魚”?」


 結が辺りを見回しながら言った。


「でも、今は……誰もいないはずなのに……」


 愛菜の声が震えている。


 


 そこへ――一人の女性がロビーを横切った。


 制服姿のまま、何かに怯えるように辺りを見渡している。


 


「あの女性……先程の日記に出てきた名前……“新庄ひとみ”だ」


 浜野先生が記憶を辿りながら呟いた。


「先生いつの間に読んだんですか!?」


 驚愕の結。


「俺にはスキャン機能があるからな!どんな本も超速読出来る!」


「その機能羨ましいような、そうでもないような……」


 結は呆れている。

 


 彼女はフロント奥の部屋へと消えていく。


 


「追おう」


 修の合図で一同は彼女の後を静かに追った。


 


 


 ドアの向こうでは、数人の従業員達が声を潜めて会話していた。


「……またですか?」


「ええ。昨夜も。……厨房の冷蔵庫から、“あの声”がしたと……」


「見間違いじゃ……ないですよね……?」


 


 その時、ノクスが耳をぴくりと動かし、身を固めた。


「にゃあ……(聞こえるにゃ、向こうの奥に)」


「また、あの“影”か?」


 修が警戒を強める。


 


 部屋の奥に、一本の廊下が続いていた。


 先ほど地下で見た記号とよく似た模様が、廊下の壁に刻まれている。


 


「この模様……なんだか見覚えがある」


 愛菜が日記の一節を思い出す。


『模様が完成する夜、扉が開くと先輩は言っていた。

でも、あの儀式は絶対にしてはいけない。私達は何かを呼び出してしまったのだ』




「つまり、“あの影”は……このホテルが呼び出してしまった存在……って事じゃない?」


 結の声が静かに響いた。


 


 その時――廊下の突き当たりから、不意に笑い声が響いた。


「ひとみ……、こっちへ……来て……」


 


 まるで子供のような、だがどこか歪んだ声。


 


 続いて、さっきの女性――新庄ひとみが、ふらふらと歩いてくる。


「いけない!」


 愛菜が駆け出そうとするが、修が手で制した。


「待て、これは記憶だ。触れてはいけない」


 


 ひとみは、ゆっくりと壁の奥――かつての“隠し扉”の中へと消えていった。


 


 彼女が消えたその瞬間、景色が一気に揺らぎ――


 また、廃墟のホテルへと引き戻された。


 


 埃まみれの廊下。


 錆びたランプ。


 そして、沈黙。


 


「今のは……?」


「“記憶のフラッシュバック”だ。ホテルに染みついた霊的情報……いわば、残留思念だ」


 修の声は冷静だった。


 

「という事は、彼女――新庄ひとみは、あの“影”に……?」


 愛菜の表情が曇る。


 


 ノクスが再び、奥の隠し扉の前に立った。


「にゃあ……(今度は、現実だにゃ)」


 


 修が扉に手をかける。


 誰かが、あるいは“何か”が、向こうで待っていると直感していた。


 


 扉を開くと――見覚えのない“儀式部屋”が広がっていた。


「さっきの儀式部屋と同じ場所のはずなのに……」


「あぁ、邪悪な気が充満してる……」


 中央には、崩れかけた石の祭壇。


 その周囲には、黒く焼け焦げた跡と、蠟燭の台座。


 


 そして、その中央にあったもの――


 真っ赤な目を持つ、“影”の本体。


 


「やはり……このホテル自体が、“影”を封印していた……」


 結の目が強く光る。


 


 修が一歩踏み出すと、影の目がこちらを見据える。


「……キミたちが、ボクを起こした」


 影が言葉を発した。


 それは低く、しかしどこか哀しみに満ちていた。


 


「……なぜ、こんなものが……」


「人間が呼んだんだよ。“もっと客を呼びたい”“この土地に力を”――」


 影の声が、まるで誰かの怨念の代弁者のように響いた。


 


「だが、代償は大きかった。ボクはここに縛られ、全てを壊した」


 


 ノクスが前に出る。


「にゃあ……(それでも、お前はここにいてはいけない)」


「……解き放ってくれるのか? それとも――」


 影の姿が再び揺らぎ、空間全体がざわめき始めた。


 


「――封印する!」


 修の声が部屋に響いた。


 


 次の瞬間、影が吠えた。


 闇が部屋を覆い、彼らの視界を飲み込もうとする。


 


 そして始まる、“最終の対決”。


 次回予告


 第89話『最終封印・ノクス激怒!』


 目覚めた影が語る、人間の欲望と代償。


 修達は儀式の場で、影との直接対決を迎える。


 果たして彼らは、ホテルに宿る呪いを解くことができるのか――。


 次回、愛菜に迫る魔の手!“ノクス”が怒る!


 次回お楽しみに!


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