邪教再び
かなり間が開いてしまいました。
もう一つの方が筆の滑りが良いのでこっちの弾幕が薄くなっている気がします。
「着いてくるのは構わないが、どんな戦い方をするんだ? それによっては連携とか考えないとならんが」
実際邪教を潰して回ってるから戦えないわけではないのだろうが。
「オレの武器はこれだぜ。」
そういってクロエは着ている服をつまむ。
「服? それが武器?」
そんなことを言われてどのように戦うのか見当もつかない3人。
「邪教から逃げた後、服も武器もなく途方に暮れていたときに隠れていた洞窟の奥で偶然奇妙な扉を見つけてな、そん中にいた変態にもらったんだぜ」
なんか物凄く見たことのある気がする人物が出てきたなと至人は苦笑する。
クロエの着ている修道服は「災厄と希望の衣」という名前らしい。
「この服は使用者の心の根底にある想いを力に変える。オレが着ているなら破壊の想いを形にした武器を出せるし、シロ姉が着ているなら癒しや救いの想いに反応して神聖魔術や守護魔術の補助になる」
至人は考え込んでいた。
(パンドラ……か。俺の世界の神話に登場する災厄と希望を世に放った人物だが偶然か? 芸術神アーティス、あいつはただの神じゃないな……何者だ?)
芸術の神というのにはあまりに逸脱した力を持っているように感じるのは気のせいじゃない筈、もう一度会ってみる必要があるなと至人は思った。
この修道服、共通の効果として鉄壁がついているらしい。
鉄壁というのはどんな時でも中身が見えない効果、どれだけ激しく動いても絶対に見えないという。
魔法少女とかのミニスカな女の子の服についているアレだ。
とりあえず、クロエの破壊願望から出た武器がなんなのか不明なので実践で各自の動きを確認した方が早いという結論に達した4(5)人はダンジョンに潜ることにした。
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ダンジョンに潜ってから数分後、一行は最初の魔物に出会った。
狼型の魔物で尾は二股に分かれている、名前はまんまツインテールウルフ。
そこでクロエは一歩前に踏み出し、ここはオレにまかせなと言った。
一体どのような戦い方をするのかと3人が見守る中、クロエは自然な仕草でベールに手を入れて何かをまさぐりだす。
そして、ニヤリと口の端を釣り上げてベールから手を抜くと、そこには至人とインシュンにとってとてもなじみ深い黒光りするものが両手に握られていた。
ヘッケラー&コッホのMG43ベルト給弾式軽機関銃による二丁拳銃。
いくら取り回しが軽いと言われている機関銃でも、現実的に考えたならば反動でそんなことはできるはずもないが、ここは異世界。
重厚な輝きを放つそれを向けられたならば、地球人は両手を上げて戦いを放棄するだろう。
ギハーハハハハ! とおおよそ女性が上げては良くない笑い声を発しながらクロエはトリガーを引く。
二丁の機関銃から放たれる弾幕の嵐はツインテールウルフの肉を片っ端から削ぎ落すように襲い掛かり、血煙を作り出していく。
程無くひき肉のような塊を残し、装填されていた弾丸をすべて打ち切ったクロエは恍惚の表情を浮かべていた。
心なしか濡れているようにも感じる(どこがとは言わないが)。
3人が完全に引いている事には気づいていない。
「ギハ! どうだい? この痺れるような死を提供する轟音、はじけ飛ぶ肉とこの武器から立ち上る何とも言えない香り……最高だろう? ギハハハハ!」
間違いない、こいつはウチ一番の戦闘狂だと至人は確信した。
特に目立って強い魔物が現れるでもなく、一行は軽快に探索を進める。
雑魚敵を相手にしていると、不意にクロエがシロエと会話をし(独り言にしか聞こえない)、「良いぜ」と一言告げてシロエと代わる。
「この子は私に任せて欲しいです」
回復職なのにどうするんだろうと訝しく思いながらも3人はシロエに任せることにした。
「我願うはかの者に懺悔を促す聖なる檻 ”聖牢”」
シロエが呪文を唱えると目の前の狼を覆うように輝く壁が現れる。
「数多の死を遠ざける生命の輝きを与えよ ”神医”」
今度はその狼に回復魔術をかけ始めた。
いったい何の意味が? と思った矢先、目を疑うような現象が起こり始めた。
狼の毛穴や目、耳や鼻など全身の穴という穴から血が吹き出し、苦しみにもがきながら必死に檻から抜け出そうと暴れだしたのだ。
これには3人もここがダンジョン内というのを忘れポカンとしてしまう。
シロエが言うには回復魔術には2種類あり、魔力でもって強制的に健康な状態に巻き戻す「干渉系」と、再生力を高めて回復を促進する「増進系」。
今回使ったのは後者で、健康なものに生命力を与えると活性化された細胞が高速で代謝をはじめ、その自己治癒の力に耐え切れずに自壊し始めてしまうらしい。
今の身体になってしまてから自分もなんとか戦えないかと研鑽を重ねた結果だそうだ。
そうこうしているうちに狼は「ガフっ!」と盛大に吐血して息絶えた。
常にニコニコしたほんわかなシロエの残虐性を垣間見た瞬間だった。
やっぱり姉妹なんだなぁという感想と共に、何があってもシロエは怒らせない方がいいというのが暗黙の了解になった瞬間でもある。
その後は再びクロエに代わり、なんだかんだありつつも特に苦戦することもなく最深部のボスを倒し、後はダンジョンコアを破壊して終わりというところでクロエが妙な事を口走った。
「このフロアからアイツらの気配がするぜぇ……どこだ?」
クロエの邪教徒のセンサーが反応したらしい、辺りを調べ始める。
「ギハ! 見つけたぜぇ……おい見てみろ、ここの壁通れるぜ」
言われて触ってみると確かに通れる、幻覚でできた壁だった。
「地下に続いてんな、行くぜ!」
完全に主導権はクロエだ、3人は仕方ないかと言った面持ちで厄介ごとの気配を感じながら後に続く。
たどり着いた場所は以前至人とソニアが訪れたような祭壇の間。
その奥で何やら儀式を行っている数名の人物たち。
そのうちの1人を目にしたとき、クロエの顔が驚愕に染まり、即座に凶悪な笑みを浮かべた。
「おい、おいおい、おいおいおい! いきなりまさかのビンゴかぁ? 久しぶりだなこのクソヤロウ!」
クロエの言葉に、今気づいたようにこちらを見やる初老の男。
「おや、誰かと思えばこの間のお客人と……ん? 実験体67か、よく生きていたな」
「テメエを殺すまで死なねぇよ!」
クロエがスカート部分を掴んで上に持ち上げ、褐色のきれいな脚線美があらわになる。
瞬間、神秘の最奥で何かが光を放ち、それは姿を現わす。
――FGM-148 ジャベリン――対戦車ミサイルである。
スカートの中より発射された無数のジャベリンがリーダーと思われる男に牙を剥く。
男は避ける様子もなく直撃にさらされ、辺りには煙が立ち込めた。
「やったか?」
確認の声を上げるクロエ、その言葉は悪手だ。
「儂らは戦う力を持っておらんと言っただろう」
期待通り無傷の男が立っていた。
「な、なんだと?」
やられ役のようなセリフを次々に繰り出すクロエ、それ以上はいけない。
「折角来たのだから持て成しをせねばならぬな……こいつの相手をしてもらおうか」
パチンと指をスナップさせるリーダーの男。
すると、中央の魔法陣からおぞましい気配が漂いだした。
ともすれば立っていられなくなりそうな強烈なプレッシャーを放ちながらそれは出現した。
獅子のような顔を持ち、片方の腕はゴーレムと思われる石でできており、下半身は蜘蛛のような多脚。
さらに尾がサソリという典型的なキメラだ。
「君たちの相手はこれがしてくれるだろう、儂らは次の目的があるので失礼する」
以前のように忽然と姿を消す邪教の(多分)幹部たち。
「待ちやがれ! くそっ!」
逃げられたことに悪態をつくクロエ。
かなり空気になっている主人公だが、確実なものが一つだけ分かっている。
とりあえずこいつを倒さない事には帰れないという事だ。
結構見切り発車的なモノなので色々おかしなところがありますが
生暖かい目で見守っていただけると……
お付き合いいただき有難うございます。




