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まぁーまだですね、こんな修羅場はまーだ可愛いですね


葵が転校してきまして、はじめての土曜日のことです。

ベッドにもぐって快適な眠りを楽しんでいる俺の枕もとのスマートフォンがけたたましく鳴り響きやがりました。右上に表示されている時刻はAM4時20分、中央に表示されている名前は神村結衣。




「ふわぁーい、ゆうぴょんですぅ……」




完全に覚醒しきっていない意識の中、ほとんど寝ぼけたまま画面を指でスライドして電話に出ます。




「お、おはよう!! き、気持ちのいい朝だね祐亜!!」




「まだ外暗いんですが……」




「そ、そんなことより祐亜! 今日の予定どうなってる!?」




「ふわぁ……予定ですか? これといってなんも入ってないのでこのまま永遠の眠りにつきますぅ」




すると電話口の向こうでやった! と言う小さな声が聞こえた後、




「祐亜の休日、今日は私が完全に貰うから! 誰とも約束しちゃダメだよ? 後で迎えにいくから! じゃあまた後でね!」




そう早口で言うと結衣は電話を切ってしまいました。一体なんだったんだ……。




まぁいいや、もう一眠りしますかね。




「ふぅん……こんな朝早くから……ふわ……一体誰から電話ですか?」




「うん? あぁ……結衣だったよ」




「ふーん……朝からモテモテですねぇ、祐亜。まぁ、もう一眠りしよ?」




「せやなぁ……おやすみ」




「はい……おやすみ」




「………………」




「…………zzz」




………………え?



その時、私一瞬にして背筋がゾワっ!!っとなった。

あー嫌だなぁ嫌だなぁ怖いなぁ怖いなぁと思った。

だって私寝る時は一人だったから横から返事なんて返ってくるはずないんだぁ……。けれど今確かに横から女の声がした。怖くて仕方ないんだけど、一度気になってしまったらしょうがないから見るしかない。もう私怖いのを必死に押さえて一気に横を見た!




その瞬間、ぎゃぁああああああああああああ…………。




上はタンクトップ、下は下着姿の葵が横に寝ていました。





「なんでだぁああああああああああああああああああああああ!!!!」




日本がおはようするより少し早い時間、私の絶叫が町内に木霊したと言います。




「もう……朝からうるさいです……」




「はぁああああああ!!?? ほ、ほわぁあああああああ!!!! なんでここにいるんだお前!!」




俺の絶叫をまだどこか夢見心地で聞いている葵は、半分しか空いていない瞼をスローモーな動きでこすっています。




「ふわぁぁあ……今日休みだから、昨日は私がお泊まりに来たんじゃないですか

……」




確かにそうでした。葵は昨日俺の家の泊まりにきて家でどんちゃん騒ぎをしていやがりました。




「けどそれがぁああ……俺のベッドの隣で寝てていい理由にはならねェだろうがぁああ!!」




葵はベッドに両手をついて上体だけ起こして眠たげな眼をパチパチさせています。ダメだ、聞いちゃいねぇ……。




「いやぁ……杏華は寝相が悪くて悪くて……それに比べて祐亜は大人しいし、腕枕も最高! ぐっと!」




うわぁあああああああ!! 知らない間に僕の腕枕バージンが奪われてるぅぅうう!!




「それに好きな人の匂いっておちつくし、懐かしい……はふぅ、おやすみ」




そういって葵はそのまま俺の枕を抱えて安らかな寝息を立て始めました。




「葵てめぇ起き……ッッッッゥウウウウ!!」




葵が被っている掛け布団を思いっきり剥ぎとろうとした時でした。




ダイナミックパンツー丸見え!!!!




さらにはタンクトップの肩口からブラの肩ひもが見えていてなんという暴力的なまでのエロス……その柔らかな体、布切れ一枚で隠された宇宙の真理、世界の真実……手を伸ばしたら届いてしまう……あぁ……如何様にすれば良いか!?




右手が震えている、いいのか……これで……? いや、男の子的には正常な反応なんじゃないか? だがしかしッッッ!?




うぅううう……うぁあああああああああああ!!!!




「見なかったことにしようぅあああああああああああああああああああああああ!!!! 覚えてろよ、この野郎ぉおおおお!」




俺はそう言って自分の部屋を捨て台詞と共に飛び出して行きました。やっぱりダメだったよ……僕は誠くんみたいになれなかった。









それから俺は居間に行き、適当にヒンドゥースクワットと腕立て伏せと腹筋を30回×5セットをリズムよくこなし俺の精神を犯そうと躍起になっていた煩悩を吹き飛ばすことに成功しました。




やはり汗をかいて体を動かせば、こんなムラムラした気持ちなんて吹き飛ばせるのですイエス!




それから俺は風呂場に行き霊験あらたかな熱々のシャワーに打たれとりあえず軽く覚醒しまして、なんとなしに居間のソファーに座ってテレビでも見ながらダラダラと時間を過ごすことにしました。

姉貴も葵も起きてこないですねぇ……。そういえば二人とも朝はあんまり強くないタイプだから休みの日は起こさなかったらいつまでも寝てるもんなぁ。




朝の退屈なニュースを見ていると、俺もなんだか目がシパシパしてきましてそのままソファーに寝転がってウトウトしてきてしまいました。






家のインターホンの音で目を覚ましましたのがその3時間後ぐらいでして、こんな朝っぱらから誰かなーなんて、変な方向に癖がついてしまった髪を左手でかきながら向かいまして。




扉を開けますとそこには絶世の美少女が立っておられました。




黒いジャケットとシャツを軽く着崩し、ミニスカートに黒タイツを合わせたもうビシっと決まったセクスィーでクッソエロスな雰囲気を醸し出した結衣さんが立っておられたのです。





「ジーザス……」




「如何にも今起きましたって顔してるね?」




結衣はそう言って花も恥じらって爆発するレベルの笑みを浮かべました。

俺の意識はそこで完全に覚醒しまして、とりあえず慌てて結衣さんを家の中に案内したのでした。




「むぅ……私がせっかくモーニングコールで起こしてあげたのに」




結衣は我が家の廊下を歩きながら、後ろで少し不満げな表情を浮かべています。かなり早すぎたモーニングコールだったんだよなぁ……。




とりあえず居間に案内しまして、部屋で着替えてくるからここで待っていて欲しい旨を伝えますと、




「あ! 久々に祐亜の部屋行きたい!」




とか可愛い表情をして言うものですから、俺は仕方ねぇなぁ……なんて思いながら正直まんざらでもなく結衣を連れて自分の部屋に向かうことにしたのでした。







うん……? 何かを忘れているような……。





「祐亜の部屋に行くのかなり久々だー!」




「そうでしたっけ?」




朝からなんだかウキウキの結衣を連れて俺は部屋の階段を登っております。




部屋散らかってなかったよなーとか、あれちゃんと隠してあったよなーとか色々考えておりましたら……









「ああああああああああああああああッッッッッ!!!!」







その時、祐亜に電流走る……!!  ヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェ……葵の存在を完全に忘れていた!!!!!




「どうしたの、祐亜? いきなり大きい声出しちゃって……」




結衣が不思議そうな表情を浮かべてこちらを見ております。まずいまずいまずいまずい……修羅場カミングスーンやないかいこれ……。




「ちょちょちょちょっとお部屋の方散らかっておりまして、やっぱり居間で待ってもらっててよろしいでござんすか!?」




俺が慌てまくりながらそんなことを言うと、結衣はハハーンみたいな表情を浮かべて小悪魔っぽい表情を浮かべました。




「さてはエッチな本散らかしっぱなしなんでしょ? 別に気にしないよー? ふふふ」




いや、もうエッチな本どころかエッチな本から飛び出してきたような人が現在寝ておられてですね!!!!




「とつげーき!」




そう言って結衣は俺をするりと追い越して地雷原に飛び込んで行こうとしやがりました。






うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!




「あああああああああ!! ストップストップ!! あきまへんあきまへんで結衣さんや!! あ、そうそう今ですね私の部屋はもうバルサンたきまくってですねもうゴキのブリさんが大量絶頂昇天されている次第でございましてですねああああああやばいやばいやばいきっと今俺の部屋の扉開けたら結衣さんはぜっっっえええたい後悔するんだろうなすげぇ後悔すると思いますよもうすげぇ一生トラウマになってきっと脳裏にそのおぞましい映像はこびりついて離れずに結衣の日々の生活の中何気ない瞬間にフッ!っとフラッシュバックして結衣を苦しめるんだろうなあ苦しめ続けるんだろうなあぁそうだそうに違いない苦しむ苦しむ。きっとそうですね!もう呪いですわ、ほぼ呪いです例えその映像を結衣が忘れてしまっても形骸化された呪いだけは結衣の心の奥深くに残り続けるんだろうなやばいああっべぇーわ!マジやばい本当にやめた方がいいですってねぇ僕の忠告聞いてぇ聞いてくださいよ耳を傾けてほんの心の片隅に留めるだけでいいから本当お願いします許して下さいなんでもしますからいやなんでもは盛りすぎました俺のできる範囲内ですねもう精いっぱいやらさせていただきますからお願いします勘弁して下さい本当本当マジマジマジマジ許してゴキブリがバルサンで大変なんですってばぁ!!」




「おぉーすごい! よくそんな長台詞噛まずに言えたね」




デリート寸前のボーカロイドと化した早口でまくしたてた決死の忠告も結衣の耳には全く届かず、逆に火に油を注ぐ形になってしまい。




かくなる上は強引にでも先回りして!









そう思っていた時のことでございます。












結衣が後数歩で俺の部屋の扉の前にさしかかるという、そんな瀬戸際の時のことでございますな。




ドアノブがぁ……回った。




えぇ、中からなんですよ。






あ…。





スローモションになる世界、ゆっくりと地獄の釜の蓋がずれ、この空間を阿鼻叫喚の地獄絵図へと誘おうとしていきます。




せめて……下を履いていてくれ。




全壊よりは半壊、全焼よりは半焼……もう不幸中の幸いだけを祈る無力な私でございます。





「祐亜ぁ……ふわぁ、朝から何騒いでるんですか?」





履いてました、パンツだけ。





どぉおおおおおおしてぇぇぇえええええええええ!!!!(サカナクション並感)


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