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舐めプして決死の主人公に光系の魔法で倒される魔王ムーブ

 ガープが距離を取って魔法を放つ。不可視の風魔法。魔力装甲で防げるとは言え、バカ正直に喰らってやる義理はない。


「ファティマ!!」

『【了承】サー、何時でもどうぞ、サー』


 なぜか攻撃魔法ってのは、術者から対象に対して、真っ直ぐに向かってきやがる。

 なら、その進行上に武器を構えてやれば、切り捌く事だって容易って訳だ。


「なぁ!? 馬鹿な!! 不可視の魔法を斬るだとぉ!!」


 例えば、こんな風に、な。

 ガープが驚きの声を上げてるが、イヤイヤ、多分、バフォメットも同じ事ができるぞ?

 混乱やら絶望みたいなオドが好みなら、おそらくコイツは策謀タイプなんだろう。

 だったら尚の事裏方に徹するべきだったんだ。


 反撃できるタイミングだが、あえて防御を固める。さっきの様に逃げられると厄介だからだ。


 多分、バフォメットが、エリスを追うのを止めたのは、コイツにとっては予想外の事だったんだろうが、俺に言わせれば「なぜ素直に追い続けると思った?」って事になる。だってアイツ、戦闘狂だぞ?

 おそらく「反撃して来るから戦えますよ」ってな感じの事を言って、説き伏せたんだろうが、戦闘に満足できなかったり、逆に満足すれば、後は放って置く危険の方が高かったハズなんだ。


「そうか!! 偶々武器を構えた所に魔法が行ってしまった様だな!! 今度こそ、何も分からないままに潰れろおおぉぉぉぉ!!」


 と、ガープが反撃してこない俺を見て、魔法を警戒していると判断したのか、サーベルを消して両手で魔法を放ってくる。無詠唱の二重詠唱(ダブルキャスト)。イブですらまだ出来ない技術。

 俺はファティマを回転させ、不可視の魔法を弾き飛ばす。


 もしガープが、味方なんだから~とか、計画実行中なんだから~みたいに思って計画を進めていたんだとしたら、コイツはまだ人間だった頃の感覚が抜けきって無かったんだろうな。


 だって、バフォメットにしろゴモリーにしろ、かなり自分勝手だぞ?


 この国に魔族が3人しかいない関係上、バフォメットが途中て止めちまうと、人手という意味では足りないんだろう。なんで、エリスを追って出て来たのは、仕方がないかもしれない。だが、俺達がこの城に来た時には、なんぼ俺に恨みがあろうと、それで憎かろうと、表に出てくるべきじゃなかったんだよ。

 スタンドプレー上等ってか、同族意識何それ美味しいの? な連中が、仲良く力を合わせて~何て事、するわけ無いじゃんね。


 ガープ(こいつ)の事だから、上手く利用できるとか思ってたのかもしれないけどさ。


 すべての魔法を受けきり、空に弾ききった事で、ガープの表情が驚愕に染まる。結果として城が崩壊するかも知れないけど、わざと潰そうって思ってる訳じゃない。

 できる限りは保護するさね。

 今の魔法に相当自信があったのか、ガープが狼狽している。まぁ、不可視な上、二重詠唱を無詠唱でって、早々出来る技じゃないからな。


 こんな風に裏方が表に出てくる事には、色々と思うところがあるが、まぁ、コイツにとっちゃあ、“相手を見下す”ってのも、重要な事だったんだろう。

 何せ魔族。自分の欲求を充たす為なら、国でも潰そうとするくらいだしな。


『【報告】サー、準備整いました、サー』

「了解」


 俺はファティマの報告を聞き、体内循環を一気に加速させる。


「たかが風魔法を散らせるくらいで!! いい気になるなぁ!! クソ虫いいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


 見えない位じゃ俺に通用しないのだと学習したのか、ガープは直系4mは有りそうな巨大な炎の玉を出現させる。

 それにさらにエネルギーをつぎ込んだのか、炎の弾が赤から青、青から白へと色を変え、その度に大きさも熱量も倍々で増えて行った。

 直径で言えば既に20m近い大きさだ。傍から見れば王城の上に太陽が出現した様にも見えるだろう。

 コイツ、俺一人倒す為に、この国巻き添えにするつもりか? 第一、血の供物とかって言ってたのはガープだろう? それはどうなった!!


「ファティマ!! ちょっと無茶する。受け入れろ!!」

『【逡巡】……サー、イエス! サー!!』


 少しトラウマを刺激しちゃったか? だが、考えはある。俺は魔力装甲にプラーナを更につぎ込み、そして、()()()()()()()注ぎ込む。


『【驚愕】【恍惚】サ、サー!! これは!!!!』


 前にイブを治療した時の応用だ。俺の身体能(フィジカルエ)力向上(ンハンスメント)は他者の生命力も活性化できる。ファティマはロボッ娘っぽい外見と倫理観を有してはいるが、バフォメット達から、魔族の話を聞いていて思ったのだ。ファティマって、半精神体の様な物では無いか? と。

 そもそも、半精神体である魔族に攻撃が通用すると言うのはどう言う事なのか? と言う話だ。


 当初は、高魔力同士での打ち合いだから、お互いにダメージを与える事ができるのだと思ったのだが、そもそも俺のコレ、魔力じゃねぇし。

 ……魔力なんかじゃ……無いんだ……よ。


 で、なくて。魔族は魔族で、半霊体みたいなもんな訳だ。

 要は物質じゃなくてエネルギー同士だから干渉できるって話なんだと思う。

 なら、()()であるファティマが魔族に干渉できるのはどうしてか? それは、プラーナを始めとしたエネルギーによる攻撃ができるからだと思ったのだ。


 プラーナは、生命体に宿るエネルギーであり、そもそもただの物、物質体では使う事など出来ない。

 これは俺の勝手な推測だが、生命体とは、霊魂や精神体と言った物を持つ者の事では無いだろうか? ぶっちゃけ、検証するには情報は足りないし、そんな物を態々研究する気にもならんが。

 まぁ、かみ砕いて説明すれば、ファティマが自由意思を持ってるのは魂があるからで、だから生命体の持つエネルギーも使えるんだって、事だと思う。


 聖武器が意思を持(インテリジェ)つ武器(ンスウェポン)なのはそう言う事なんだろう。

 なら、俺の身体能力向上を使って強化出来るんじゃないかと思った訳だ。


 ファティマが灼熱色に染め上げられて行く。


『【感動】サー、私がサーの色に染められて行きます!! サー!!!!』

「……俺のプラーナの色、な」


 これでも昔は赤銅のゴブリンライダーと呼ばれてた男だぞ? 俺は。

 魔力装甲のスリットの赤光も激しく明滅し、ドクンッドクンッと、脈打つ様に迸る。


「消滅しろ!! クソ虫いいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 ガープが叫ぶ。

 こちらに放たれた白く輝く炎の玉に対し、俺はファテマを横に構える。


「お前がな」


 俺は、そう呟き、ファティマを()()()()()()()()

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