表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
4章 黄燐ノ竜編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/130

72 決着

 ファンロンとファフネリオンが戦っている村の中心へと全力疾走で向かっていた。村に近づくにつれて体で感じられるほどのエネルギーの波が感じられる。


 大きな力のぶつかり合い……何か嫌な予感を感じた俺はさらに速度を加速させる。俺の後ろは砂ぼこりが舞い散り、一陣の風のごとく村を掻き切っていく。


 そして、ものの数分で村中央に到着した時にはまさにファンロンとファフネリオンがぶつかり合っている最中らしく、ファンロンが押されているところだった。

 前に見た時よりもファフネリオンの様子が豹変していると同時に技の威力が何やら上昇していることに驚く。

 そして今、目の前でファンロンが技で押し負けている様子を目撃した。


「この状況がアミュラの言ってたことか? ファフネリオンの体があんなにボロボロなのに炎の威力が弱まってない……」


 黒龍たる黒鱗が剥がされ、身体もボロボロな様子からファフネリオンはファンロンによる攻撃によって満身創痍であるのは外見から見て取れる。


 しかし、何だ? あの目は?


 白目はすべて赤に覆われて、黒目も狂っているかのように焦点が定まっていないのだ。そして一番不思議なのは皮膚の色だ。身体のすべてがやみに覆いつくされていると言わんばかりに黒かった外見はまるで地面から溶岩があふれ出てきているかのようにまだらに赤い液体が流れ出ているのだ。


 まさにグロテスクだ。


 それでも、なお、攻撃をやめようとはしないその姿は痛々しく思わず言葉が漏れてしまう。


「酷い……酷いよ……」


 あいつは仲間の大切な村を壊滅させようとした敵のはずだ。敵のはずであるのに、俺はどこかあいつの受けている痛みを共感し、それを心が受け止めている。


 俺には何故だか分からないがファフネリオンに哀れみの念を抱いた。あれはまともじゃない。たとえ龍でもあのダメージの負い方は立ち上がることで精いっぱいのはず。


 もしあれが暴走状態ならあれは自我を失っている。言わば、自分の意志で動いていないことになる。それでも、痛みを負ったまま戦うなんて拷問と一緒だ。


 そう考えた俺は今すぐにでもファフネリオンを止めなくては思った。楽にさせよう。でなくては、可哀そうだ。


「ファンロン!! 大丈夫!?」


 俺は近寄り、大声でファンロンに声をかける。


「その声はケルトか!? ぬしに……ぐっ!? 謝らなくてはならぬ……奴を仕留め切れなかった!! 今では力で押されている……情けない……!!」


「大丈夫!! あいつ、きっと暴走して自分を見失ってるんだわ。もう戦える身体ではないのに……ファンロン!! お願いがあるの!!」


「くっ……うっ……な、なんだ!?」


「私があいつの弱点を突く。だから、少しでもあいつの力が弱まったら……」


 その時、優しく言葉が吐き出される。


「完膚なきまでに消し去ってやりなさい」


 その言葉を放た時だけ俺は無意識にも冷静で落ち着いていた。 


 そして、ファンロンは一瞬、ケルトの周りが少しだけ空間が遅く、スローモーションとなり、舞い散る埃が一つきらきらと輝いているように見えた。


 数秒の時間が数分とも言える長い時間を経験しているような感覚に陥る。だからだろうか、ファンロンはすぐに理解する。言葉の意味も、ケルトの事も。


「……了解だ。我は誇り高き守護竜!! 頼むぞ、若き……!!」


 最後の言葉が何を言っていたのかこの場の騒音と次の行動を考えていたせいで俺の耳には入ってこなかった。


 しかし、ファンロンなら必ずやってくれると信じている。

 だから俺は自分ができることをやるだけだ。


 早速、次の一手を考える。ファンロンとファフネリオンの技の鍔迫り合いの様子を見るとファンロンの風が炎に押されて、かき消されてゆく。ファンロンの元に届くのは持って2分くらいか……


 あいつの弱点は……むき出しになった部分を狙うのは分かっている。竜が攻撃を食らって一番もだえる急所は……


「目か……」


 赤い結膜に浮かぶ、縦横無尽に駆け回る黒い目。そこを貫けば奴が暴走状態でも反応は見せるはずだ!


 俺はその時、黒龍の目が射的の的のように見えた。このアイデアから俺はまた技を思いついた。


 俺はおもむろに弓を構えるポーズを取る。そして、手元に集中する。ここに弓を具現化させたいと。

 すると、両手が光だす。手から生み出された光は塊となり、形が変形するとまばゆく輝き続ける光の弓が作り出された。


≪【光支配】の能力により以下のスキルを取得しました≫

 スキル名:【シャインイメージ】


 種別:応用(スペリオル)スキル


 効果:光を用いて、使用者がイメージした物を物体化することができる。



 弓ができた……あとは……


 弓を引き、黒龍の目に向けて狙いを定める。しかし、弓に触れたことなど人生で1回もなかった俺は手が震えたり構えが崩れたりしてしまいうまく使いこなせない。


 俺は自分がで弓を使えないことを自覚していた。だからこそ思う。うまく弓を使いたいと。


≪【能力制作】の能力により以下のスキルを生成・取得しました≫

 スキル名:【射撃術:極】


 種別:一般(ノーマル)スキル


 効果:弓、銃など射撃武器の扱いに長けるようになる。

 極効果によりプロレベルの能力で扱うことができる。


 スキル名:【自動追尾】


 種別:特殊(ユニーク)スキル


 効果:射撃攻撃による攻撃が狙った部位に自動で追尾するようになる。


 スキル名:【絶対必中】


 種別:EXスキル


 効果:射撃攻撃による攻撃が必ず命中する。


 あれ? 何かめっちゃいっぱい付いてきた!?

 でも、これで奴の目に向けて矢を放つことができる!


「食らえぇ!!!!」


 俺は弓を引いた手を離すと光の矢が真っ直ぐ飛んでいく、そして風の抵抗などもろともせずにそのまま目の中へと吸い込まれるようにファフネリオンの黒目を貫いた。


 グワァアアアアアアアアア!!!!!


 目が潰れたファフネリオンは悶え、大きな鳴き声を上げた。

 この時、ファフネリオンは大きな隙を見せる。


「ファンロン!! 今よ!!」


 俺が声をかけたと同時にファンロンは俺の言葉に気づくと同時に、ファンロンの頭の中に突然声が響いてくる。


(グルグル……グルグルにどうか御加護を……)


「……神子の声か?」


 その時、ファンロンの身体中に電撃が走ったかのような感覚が起こる。それと同時に力が漲ってくるかのようだ。

 全身に流れる竜の血がアミュラの声に共鳴し、活性化していく。


≪発動:ショックb¥#*t≫

≪更新中≫

≪【神子の加護】の効果によりスキルが更新されました≫

≪発動:ハヌマーンの雄叫び≫


 覚醒したファンロンの周りには電流を纏い、黄金の鱗が輝き、毛が逆立つ。



 ファンロンは隙を見せたファフネリオンに向けて甲高い一鳴きをすると以前とは計り知れない威力の風圧が電流を纏い、黒龍に向かっていく。



 もはや鍔迫り合いにはならず炎の全てをかき消し、一直線で向かうその風はファフネリオンの全てを飲み込み、黒龍の身体は風に掻き切られる。



 そして、身体はその風の中に消えて無くなった。


 そしてファンロンの姿も光は消え、元に戻る。


「……終わったのか……」


「……うん、終わったね。ねえ、ファンロン」


「?」


「お疲れ様!!」


「……容易いものよ」


 俺は右手をファンロンの鼻先に触り、ハイタッチの代わりをする。

 こうして、俺たちは村を襲う厄災を見事討ち払ったのだ。

 だが、まだ俺たちにはやるべき事があった。



 まだ、ここの神が残っているのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ