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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
4章 黄燐ノ竜編

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61 マダンへと向かう道

『ケルト……ケルト聞こえていますか?』


 まただ……また前と同じ女性の声だ。時々出てきては俺に何か言葉を残していく声だけの存在……大丈夫、毎回聞こえてるよ。けど、体はいつものように動くことができないまた心の中でそう思った。


『お久しぶりですね、大分貴方もその仲間も力の使い方に慣れてきました。ですが、この世界の神に比べると貴方の力の使い方は非力です。貴方のその優しい性格は誇って良いものです。しかし、生きていくには時に大胆さも必要になってくることでしょう。そのことを忘れないでください。いつでも貴方たちのことを見守っていますよ』


 何処の誰だか知らないけど、アドバイスありがとう。あんたのその綺麗な声で何度か苦難を乗り超えられてるから素直に受け止めておくよ。でもあんたが現れると俺、寝坊助になっちゃうから……


『あらあら、それはごめんなさいね』


 うんうん……ん? え!? 会話できるの!? 待って!! 聞きたい事が……


 そう思ったその時、体が誰かに揺さぶられ、声を掛けられているような気がした。


「……ト……ケ…ト……ケルト……起きて……起きて起きて」


「んん……ん?……」


 目をゆっくり開けると目線の先には綺麗な紫色の髪色……アミュラだった。俺はゆっくりと起き上がり、目を擦りながら寝ぼけ眼でアミュラの方を向く。


「おはよ、アミュラ。今日はアミュラが起こしてくれたのか。ありがと」


「うん、ケルトが一番起きるの遅いから起こしたの」


 俺は辺りを見回す。そこは荒れた土地のど真ん中で寝ていた。ユシリズとユウビスは2人でストレッチをしており、アマとダンは馬に乗せている荷物の整理をしていた。経緯としてはガクトが囮になって俺たちを逃してくれて、ガラクリオットを馬で出た後、道端で野宿したんだっけ。ガクトが居ない俺たちは元気がないわけではなかったがどこか空気が重い感じがした。俺は立ち上がり、ユウビス達の方へと向かった。


「おはよ、2人とも」


「お、起きたかケルト。珍しく俺よりも寝てたな」


「あはは、変な夢見ちゃってね」


「おはようケルト、俺たちはこれからどうするんだ?」


「とりあえず、私たちには時間が無いわ。アミュラのお友達を早く見つけに行くためにこれから事件があったマダンに向かおうって思うの」


「え? なんで? 近くに確か村があるんだろ? だったらそこに話を聞きに行くのが良いんじゃないか?」


 どうやらユウビスは俺の行動の意図を理解できていないようだ。確かに村の話を聞くことはとても有力な情報があるかも知れない。しかし、今の俺たちにはリスクがあった。


「今、私たちみたいなよそ者が村に向かってアミュラについての話を深く詮索すると怪しまれるでしょ? それに、お尋ね者扱いのアミュラを連れてそんなリスクある行動はできないよ」


「そうか……確かに……」


「それに……ガクトが私たちにチャンスを作ってくれたんだからそれを無駄にしないようにしなきゃね」


 俺が『ガクト』と言う単語を出した途端、アミュラの表情が少し暗くなる。その瞳は段々と潤みが増していく。

 それに気がつき、俺はしまったと思った。急いで励まそうとしたとき、真っ先に動いたのはユシリズだった。

 ユシリズはアミュラの近くに駆け寄ると、笑顔でアミュラの柔らかい頬を涙をせき止めるように持ち上げる。


「大丈夫だ!! あいつは1人の方が強い時が多いし、あいつは負けない。だって俺たちは強いからな。だから、アミュラは泣いてる場合じゃないんだ……俺たちも、ガクトも力が出せるように俺たちの事、応援しててくれるか?」


 ユシリズの言葉を聞き、一瞬下を向こうとしたアミュラの顔をユシリズは逃さない。頬を離さずに顔を上げげさせ、ユシリズはずっと笑顔でアミュラの事を見る。


「うん! 私、頑張る。みんなのこと応援する!」


 アミュラはユシリズの言葉を信じてくれたみたいだ。両腕を小さく胸の前でぎゅっとアミュラが気張った仕草を見せる。ユシリズも俺の方を見て、笑顔で親指を立てる。

 ユシリズもこちらの世界にやってきてから中々子供との接し方が上手くなってる気がする。それを安心させる力を経験から学んだのかも。何はともあれ、これでアミュラの不安も緩和はされたことだろう。


「おーーい!! 準備できたんやったらそろそろいこかーー! もしかしたら追っ手が来るかも知れへんから早めに出発しとこや!!」


 馬の面倒を見ていたグループの方からダンの声が聞こえてきた。


「そうだねーー!! そろそろ行こうか!! アミュラ達も支度し……」


 支度して早く出ようと言いかけたとき、近くの岩場から何かの気配を感じた。

 俺は即座にそちらを見る。気配のあった近くの岩は2メートル程の大きな巨岩でありぱっと見は何も変なところはない。


「ケルト? どうしたの?」


「ユウビス、静かに……」


 俺は耳を澄ませ、岩場から聞こえてきた音に集中する。音はどうやら岩場近くだけ……それ以外のところからは聞こえてこない。ドドドドっと言う音がまるで少しずつ近づいてくるかのような音が聞こえてくるのだ。おかしい、岩はそこにあるのにこの物音はどんどん近づいてくる。……違う! 岩から出てるんじゃない!! 岩の下から音が聞こえている。そしてその音も次第に大きくなっていき、俺たちがいる周囲の地面が揺れ出す。


「なんだ!? 地震!?」


「はわわッ!!」


 ユシリズとユウビスは揺れに耐えようと咄嗟にその場でしゃがみ込む。ここに居る全員がこの異変を察した。


 俺がこの場から離れようとした瞬間、目の前の岩が破裂し、下から何かが突き上げて、地中から出てきた。それは巨大な百足のような生物だった。体長は大体50メートル程の巨大な百足、顔からは無数の牙が見えており、シュレッダーのように刃をこすり合わせ、俺たちを威嚇してくる。


「シャアアアアアアァァァァァーーーー!!」


「情報送っといたで!!」


≪情報を受け取りました、詳細は以下の通りです≫


≪生物を認識しました、以下の通りです≫


 Name:ジャイアント=センチピード


 危険度:B


 攻撃力:A 防御力:A 敏捷性:D 知性:C

 魔法攻撃力:E 魔法防御力:E 魔法回復力:E


 基本スキル:【身体変異:虫】

 応用スキル:【身体硬化】【巨大化】

 常時スキル:【潜る】【噛み付く】


 耐性:火に弱い


 ダンの仕事が早く、すぐさま情報が全員に送られる。よし、ここはユシリズに任せて私はアミュラと離れよう。そう思いアミュラに近づこうとしたとき、魔物が俺の身体をその長い胴体で絡みつき、俺の身体を拘束した。そしてそのまま身体を締め付け、俺は縛り付けられたのだ。


「くうぅ……」


「ケ、ケルト!!!!」


 アミュラが焦った表情で俺に言葉を投げる。


「わ、私は大丈夫!! ユシリズ!! 私ごとこの虫を燃やしなさい!!!!」


「え!? でも、お前も燃えるだろ!!」


「大丈夫!! 檻の中で手錠を燃やしてもらうときに能力で炎の耐性もったから!!」


「あ、そうだったな。じゃあやるわ」


 そう言うと、ユシリズは叫びながら、体内に炎を溜め始めた。


「はぁああああああああああ!!!!!!」


 ユシリズの周囲のオーラが赤くなっていき、あふれ出た体内の炎が手にあふれ出てくる。


「行くぞ!!!! 一瞬で終わらせてやる!!」


「お願い!! そろそろキツいから!!」


「喰らえゲジゲジ野郎!!!!」


≪発動:【炎龍】≫


 ユシリズが地面に向かって拳を振るうとその衝撃によって火柱が立つ。その火柱は段々と姿を変え、龍の形になると魔物を丸々と飲み込むとそのまま火だるまになった。燃え上がりながら魔物は苦しい悲鳴を上げながら倒れ、黒い炭となってしまった。


「ふう……終わった終わった」


「ケルトちゃんは!?」


 アミュラが辺り見回すと、魔物の炭を掻き分けながら出てくるケルトの姿があった。


「もう、さすがの火力だね……ケホッケホッ」


「ケルトォーーーー!!」


 アミュラは半泣きになりながら駆け足でケルトの元に近づこうとする。


「アミュラちゃん、無事で良かったわ」


「ふえっ!? ケ、ケルト!!」


 アミュラは俺の姿を見るなり、頬を赤くして両手で目を隠した。


「アミュラ、どうしたの?」


「ケ……ケルト……その……服が……」


「へ?」


 俺は目線を落とし、身体を見る。なんと、ユシリズの炎によって服がほぼほぼ焼かれ、綺麗な白い肌がお披露目されていたのだ。幸いにも胸がちっぱいだったのでギリギリ隠れてたけど、何か複雑な気分。


「ケルト大丈夫かーー」


 後に続いてユウビスがやってくる。後ろからプルプルと震えながら耳まで真っ赤にしているアミュラを見た後、俺の方を見る。


「うわっと!? ごめん!!」


 ユシリズも顔を赤くして顔を背ける。えっと……この場合のリアクションって……


「い……いやん……ユウビスのエッチ……♡」


 ちょっと色っぽい声で両手で胸を隠しながら女の子座りでユウビスに半泣き上目遣いで目を向けてみた。声をかけられたユシリズはそれを見てしまい、ユシリズも照れながら後ろを向いてしまった。


「ば……馬鹿もの!!!!!」


 あれ? からかうつもりで言ったつもりだったんだけど、みんなの反応見たら何か私も恥ずかしくなってきたんだけど……


 俺も顔を赤くしながら少しの間この場を3人は動くことができなかった。



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