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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
3章 酒場救済編

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43 影の悪夢

 初手、ユシリズが走り出すと片手に炎を溜めてバズールに近づいていく。


「クソみてぇな奴には熱いのお見舞いしてやるよ! 喰らえ『大発火』!!」


 ユシリズの拳がバズールを捕らえ、正面で爆発が起こる。これは顔面にクリーンヒットしたはずだ。


「どうだ……」


 煙が収まってくると、ユシリズの目の前にいたはずのバズールがどこにも見えなかった。


「クックック……そんな単調な攻撃当たると思ったか?」


「ユシリズ!! 後ろや!!」


「は?」


 ダンの声に気づいたときは遅かった。ユシリズの背後にバズールが現れ、さらにユシリズが振り向く前に地面から黒い縄が現れ、そのままユシリズに巻き付く。ユシリズは避けることができずに拘束され、地面に倒れる。


「な……何だよこれ!? は、離せよ!!」


 ユシリズはその場で藻掻くがその黒い縄は切れる様子を見せない。


「俺も行くか!! ぬっ!!」


 ガクトが黒く固まった右足で横蹴りを当てようとバズールに近づいたとき、まるで車がスリップしたかのように何かに足を取られて滑り転がる。ガクトは頭をぶつける前に頭を黒く硬化したためダメージがなかったことが不幸中の幸いだった。


「おいおい、なんだなんだ? 攻撃しかけといて転ぶとかださいなぁ~~」


<<発動:時間遅延>>


 バズールの空間が少し歪み、バズール自身の動きが蟻よりも遅くなる。


「ケルト!! 行け!!」


 俺は風に乗りすぐにバズールの懐に入る。そしてそのまま右手突き出し技を放つ。


「『獰猛な大気』!!」


 衝撃波の初期微動がバズールに当たるとそのまま爆発音とともに付近の大気が破裂する。洞窟内で埃が舞い散る。


「……さすが神様の認めるスペシャリスト、連携は取れてる。動きも良い……だが!」


 突然埃の中から黒い縄が伸び、ケルトを縛り付ける。


「嘘だろ!? 俺は確かに時間を遅くしたはず! 避ける時間なんてあったか!?」


 ユウビスは焦る。そして、その焦りから隙を突かれて足に縄が現れ、それに絡みつかれる。


「俺の能力にそんな力ではたやすく対処できてしまう。この程度か」


 バズールの声が聞こえる。しかし、俺が縛り付けられたまま、地面に倒れかけたそのときだった。俺の姿は段々ぼやけ、煙のように消えていく。


「そんな能力じゃ私も対処しちゃうよ」


<<発動:残像>>


 俺は捕まる寸前に能力を使い、バズールの攻撃を回避して背後に回り込んだ。


「なるほど……お前は使いこなしているのかその力」


「最近慣れてきたの。少し上手になったかもね」


 俺は腕をぐるぐると回して余裕のそぶりを見せる。

<<解析終了>>


 影で解析をしていたダンのアナライズが完了したらしく、ダンから情報を受信する。


<<解析結果を表示します>>

 Name:バズール


 SEX:男


 スペシャルスペック:【影操者シャドウラン


 <所有スキル>

 基本ベーシックスキル:【影支配】


 (スペシャルスペック限定)特殊ユニークスキル:【暗視】


 耐性レジスト:【基本属性耐性(光、闇を除く)】


 常時パッシブスキル:【体術:極】【言語:汎用魔族語】【言語:ローハンド語】


 魔法スペル:【魔物召喚術:劣】



 おいおい、嘘だろ。何だこの状況下でずるいスキルの数々は……こいつは影を操ることができるのか。てことは、あの土から出てきたあの縄っぽいもの、あれも……影。そして、攻撃の回避は影に溶け込む形であると予想する。なんとなく分かってきたぞ。だけど、この魔物召喚術というやつが気になる。まさか……


「ねぇ……1つ聞いて良いかしら」


「なんだ?」


「最近この地方でいるはずのない魔物が生まれたり、過剰発生したりしてるけど。これあなたの仕業でしょ?」


 俺がそう訪ねると、男は横を向き、鼻で笑った。


「いや、知らねぇなぁ~~」


 いや、間違いなくこいつの仕業である確率が高いのは分かっている。これについて問いかけてもらちがあきそうにはない。


「そう、しょうが無いわね……なら」


 俺は足に風を纏わせ、そのままバズールに音速の速さで近づき、剣を抜きながら切りつける。その速さにバズールは咄嗟に両腕で防御するがそのまま壁へ吹き飛ばされ、壁にめり込む。


「なら、思い出させてあげるまでよ」


 ボロボロに崩れた壁からバズールが出てくると、少しふらついた足取りで出てくる。これは少し効いたのだろう。


「なかなかやるなぁ。俺はどうやらお前らを甘く見てたらしいな。でもこれで分かった。これで、お前らを本気で殺しに行けるよ」


 そう言うとバズールの体がゆっくりと黒く染まっていくと同時にバズールの影がこの空間全体に広がっていく。その影はこの場にいる全ての物を包むとそこは石でできた洞窟の様子ではなく360度闇が広がる空間となった。


「な……なによこれ」


 辺りを見回すとバズールの姿が見えない。俺は何か嫌な予感がした。俺がみんなの拘束を解こうとしたそのときだった。


「うわああああぁぁぁぁ!!!!」


 すると後ろからユウビスの叫び声が聞こえた。俺はすぐに後ろ振り返る。


 闇から作られた大きな手がユウビスの体をつかんでいたのだ。そしてその手はそのままユウビスを地面へとたたきつける。たたきつけられたユウビスはその衝撃で気絶してしまった


「ユウビス!!!!」


 俺が駆け寄ろうとしたとき、何かに掴まれた気がした。下を向くと、闇から無数の黒い手が俺の足をつかんでいたのだ。俺はそのまま足を取られて転倒する。


「くそっ!! 離せっ!!!」


 俺はティターニアでその手を切り裂く。しかし、闇から生み出されるその手は無限に生み出され切りが無い。そしてこうしているいる間にも仲間達も影の猛威に苦しめられつつあった。

 ユシリズを束縛している黒縄が地面の闇へと一体化しそのまま地の下へと引きずり込んで行く。ガクトの足下のぬかるんだ闇からも手が生え、体を闇へと誘おうとしている。


「わあ!! やめるんや!! 離せい!!」


 ダンも影に捕まり、絶体絶命の状況であることは声の様子から判断できた。


 幸いにも手が空いていた俺は匍匐前進をしてでも近寄ろうとした。が、その判断は間違いだった。腕を前に突いた瞬間、闇からまた手が生み出されると俺の腕をつかむ。そして、俺は体の身動きを取ることができなくなった。


 すると、姿の見えないバズールの声がこの闇全体に響きわたる。


「確か……ケルトとか言ったな。なかなかやる奴とは思っていたが所詮はこの程度か……まぁ無理もない。相手はこのバズール様だからなぁ! 力の差は歴然ってものよ。大体は分かった。もうお前らには用はない。そのまま俺の闇の中に沈んで寝るが良い。神の代行人さん♪」


 俺の体も次第にゆっくりと沈んで行くのが分かる。声を出そうとするが闇が俺の口を塞ぐ。


 ……そんな……とうとうここまでか……ごめんなさい、ラミーさん……俺、敵取れなかった……守るって約束も……果たせなかった……


 俺はそっと目を閉じた。


 そのときだった。


 突然、この空間の中心から突然、まばゆい閃光が出現する。その光は10秒もの間光を放ち続けると。この闇全体を照らし、その光で闇が消えてゆく。半分まで闇に埋まっていた体も光によって消滅し、気がつくと風景は前の石の洞窟に戻っていた。影と一体化していたはずのバズールが慌てた表情で立っている。


「なぜだ!? 誰だ!? 一体何をしたんだ!?」


「私よ」


 全員声の方向を見る。


 その視線の先にいた人物は、ラミーさんだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 緊迫感や主人公なのに終わりそうな雰囲気はOK [気になる点] やはり主人公は危機感をもって 熟練の能力者が敵として現れる事を常に想定する気持ちが足りない気がする。物語を面白くするには、その…
2020/02/08 00:13 ジェームス
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