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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
2章 地位確立編

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28 覚醒

 リベアムールが咄嗟に後ろを振り返るがケルトの姿はもう無い。


「こっちです」


 また背後から声が聞こえ後ろを振り返るも姿がない。リベアムールは辺りすべてを見回してもケルトの姿が見えない。それは傍観席で見ていた仲間達も同じだった。


「ケルトがいないぞ!? どこ行ったんだ?」


 ユシリズは驚き、闘技場一面を身を乗り出して見ていた。


「いや、いないんじゃない……早すぎて俺たちの目が追いつかないんだ」


 ユシリズがガクトの方を見ると顔から汗が流れていた。見ている方も驚いているのだ。ましてや、こんなことを友達が行っているのだからなおさらだ。突然静かにこの戦いを見ていたダンが指をさして言った。


「ケルトちゃんはあそこやで!」


 ダンが刺したのはリベアムールの左隣の位置だった。その瞬間俺はリベアムールの左側に回り込み剣を振り上げた。リベアムールはそれを咄嗟に気が付くと残像を作り、回避した。しかし、俺はそれに続くように超人的なスピードでリベアムールの正面に姿を現した。


「妾のスピードに適応しているだと?」


 俺はその音速を超えたスピードに乗って、ティターニアで一閃した。俺はそのまま神を捕らえたと思ったがその刃は何かによって遮られ、頬に少し刃がかすっただけだった。俺はその場から離れて相手の手元を見る。灰色の蛇皮で覆われた丈夫そうな長い鞭のような物がリベアムールの手にあった。


「これは妾の神器『バジリスク』だ。 複数の頭部を持つ伝説の大蛇ハイドラの鱗で覆われた装甲鞭だ。これを使ったのは何年ぶりだろうか……まさかこれを使わせるとはなかなかやるではないか。それに……妾に傷を付けられたのはあの人とお主で二人目だ」


 俺は苦笑いをするしかなかった。俺が謎の声によって目覚め、システムを見たときには俺も驚いたのだから。




 ~~数分前~~




<<起動>>


<<一部の能力が改変されました>>


(変更前)

 スキル:能力作成アビリティクリエイト

 あらゆる基本スキル、スペル、耐性、汎用スキルを生み出すことができる。

(条件解放→強い思いを本気で抱かなくてはならない。またその思いの強さによって作られるスキルはランダムである。作成した基本スキルの応用スキルは自分で習得しなくてはならない)

 ↓

(変更後)

 スキル:能力作成アビリティクリエイト

 あらゆる基本スキル、スペル、耐性、汎用スキルを生み出すことができる。

(条件解放→欲しい能力をただ思うだけで作ることができる。その欲しいスキルの名称が分かるのなら特定して作ることが可能。作成した基本スキルの応用スキルは作成時点ですべて使用することができる。)




「なんだこれ……」




 ~~現在~~


 と言ったように能力が自在に作れるようになってしまったのだ。変更前の発動条件を見たら納得だった。俺が能力を使えなかったのは条件が厳しすぎたからだったのだ。でも、今になってはただ思うだけって……これは自分でも思うが凶悪な能力だ。俺が攻撃を食らいそうになったとき俺はただこう願っただけだ。



『神と同じ速度で動きたい』




 とだけ……


 俺は改めてシステムを開く。




<<能力作成の能力によってすべての基本スキルの応用スキルが使用可能になりました>>


<<使用した応用スキルの履歴は以下の通りです>>


<応用スキル名:残像>


 基本スキル:風支配


 効果:風に乗り、瞬発的な超スピードを生み出し、自分の残像を作り出す。

 そのスピードは超短距離なら適応される。


<応用スキル名:神速>


 基本スキル:風支配


 効果:風に乗り、長距離に対応したスピードを生み出し、超人的な空間移動を可能にした。そのスピードは神をも翻弄する。




 俺はシステムを一瞥し、そのままリベアムールの方へ視線を運んだ。俺と目が合うとリベアムールは鼻で笑った。


「ケルトよ、まさかここまで長期戦になるとは妾も想定外であった。どうだろう、次の一撃で決着を付けようではないか?」


 俺はその言葉を聞くと持っていたティターニアをリベアムールに向けた。


「そうですね、私もそろそろ飽きてきたところでした。そろそろ終わりにしましょう!」


「うむ……」


 リベアムールが手に持ったバジリスクを強く振ると、鞭は先まで張り、蛇皮からノコギリ状に鱗が変化した。


「この神器は鞭と剣の2つの形状があるのよ。驚いた?」


「もう何見ても驚けないと思います……」


「そう……じゃあ妾と戦うのも最後になると思うが、何か最後に言いたいことはあるか?」


 言いたいこと……俺は最初、神と戦うことが不安と恐れしかなかった。死にかけもした……しかし、それらがあったからこそ、俺は自信がついた。ここまで来たなら思うことはただ1つだけだ。


「そうですね……リベアムール様と戦ったことで色々と学ぶことができました。感謝します。 でも、私はあなたに勝ちたい! 神であろうと何であろうとこれは勝負なんだ! 私は最後まで戦い抜く!!」


 それを聞くとリベアムールの口が少し緩んだ気がした。


「あの方と言っていることがそっくりだ……ふっ、分かった……妾も全力で行かせてもらう! 行くぞケルト!!」


 リベアムールは俺の正面に向かって飛び出してきた。俺もそれに合わせて正面に向かって飛び出す。至近まで互いに近づいた時、お互い剣を振るうその瞬間にリベアムールの姿が消えた。俺は咄嗟に後ろから気配を感じた。その攻撃はもう読めていた。後ろから迫り来る攻撃をギリギリまで引き寄せ、俺も残像を使って後ろに回り込んだ。


「これで終わりだ!!」


 俺は勝利を確信し、俺の刃が神を捕らえた……と思っていた。リベアムールに刃が触れるとその姿は影となって消えた。


「残像!?」


 そう思った刹那後ろからただならぬ気迫を感じた。


「詰めが甘いぞ」


 リベアムールはそのまま手刀で俺の背中を殴打した。


「ぐぅっ……」


 そのとき、世界がまるでゆっくり動いているかのようだった。俺の背中に激痛と重い衝撃を感じ、体が無意識に倒れていく。このゆっくり見える現象はどこかで経験している気がする。そうだ、この世界に来る前のあの大災害以来だ。


 こういうときは決まって俺に危険が迫るときだ。ここまで来たのに……あ、だめだ……落ちる。倒れていく途中にリベアムールの方を見る。そこには満足そうに笑みを浮かべ、長い黒髪の毛が風でなびいているのが絵になっていた。そして俺はその場に倒れ、完全に気を失った。


「勝負あったな」


 闘技場は結果が見えた途端また静寂へと包まれた。いや違う、意識のない俺には闘技場の様子なんて聞こえてこなかっただけだ。


 こうして、ケルトとリベアムールの決闘は神の勝利。そして、ケルトの敗北で幕を閉じたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 序盤としてはこの程度緒の決着が良いのかもですね [気になる点] こういう主人公にありがちですが、 『神と同じ速度で動きたい』という半端な願いではなく、 相手よりも何倍もとか、ゴールド聖闘士…
2020/02/07 17:36 ジェームス
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