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女体化転生から始まる異世界新(神)生活〜TSした元男子大学生、第二の人生はチート能力【創造者】を手にして神の元で働く傍らでいつの間にか『神』扱いされる〜  作者: 霞杏檎
2章 地位確立編

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29 過去の事件

 

 リベアムールとの戦いが終わって、俺は意識を失ったままだった。そこから時間が経ち、気がつくと俺はベッドの上で横たわっていた。目を開けるとリベアムールと目が合った。


「ケルトよ、目覚めたか。安心しろ、ここは妾の城の医療室だ。お主は妾との決闘を終えてから意識を失ってここに運ばれてきたのだ。お前の仲間はお前の身を心配して別室にいる。大丈夫、傷は妾の力で手当てしてやったからもう少し寝ていても構わんぞ」


 俺は起きてすぐ軽い頭痛に襲われたが少し経つと痛みは徐々に引いていった。辺りを見渡すと白く清潔なベッドが部屋いっぱいに並んでおり、医療係である綺麗なメイドさん達がせっせと仕事をしているのが目に見えた。どうやら本当に医療室のようだ。さすがはここの神様の城だ。まるで個人病院でもできるくらいの怪我人を扱うことができるくらい設備が整っているな。

 そんなことを考えていると近くにいたショートヘアーで小柄なメイドがこちらに気がつき、小走りで近づいてきた。


「あ! ケルト様お目覚めになられましたか! 良かったです! リベアムールが心配してあなたの意識が戻るまでつきっきりだったんですよ~! 怪我の治療も入念に行ってたみたいですし、ケルト様が寝てる間もしっかり手を握って……」


「おい! アン! そ……そんな話などするではない! 仕事だ! 仕事に……戻れ!」


 俺はリベアムールの顔を見ると少し頬を赤らめているように見えた。神様もこう言う人間らしい顔ができるんだな。それに、リベアムールも俺が意識を失っている間に色々と神様直々に看病してくれたんだな。なんやかんや戦ってるときは気が付かなかったけど、優しいところあるよねこの神様。


「は~い! 失礼します! それではケルト様お大事にです♪」


 元気の良いメイドは鼻歌を歌いながら俺たちの元へと離れていった。


「コホンッ! す……済まないなケルト、神である私がはしたないところを見せてしまったようだ」


「いえいえ、リベアムール様もかわいらしい顔もするのですね」


 俺がクスクスと笑うとリベアムールの顔がまた少し赤らめた。


「なっ!?……妾だってそれぐらいのことはできる!」


 そう言うと彼女は顔を背けてしまった。さっきまで決闘をしていた人と同一人物であるようにはまるで見えなかった。この短時間で性格が変わったのか?


「と……ところでケルト、お主との決闘とても満足する物であった。見事な戦いぶりであったぞ。妾には及ばなかったがお前には驚かされたところが多かった。私が驚いたのはあの方と戦った時以来であるぞ」


 リベアムールは軽い笑みを浮かべて俺の手を握っていた。リベアムールの手は暖かかった。その手を見ていると彼女はそれに気づくと咄嗟に手を離した。


「す……済まんな! 私としたことが、神の威厳を持たなければならぬのにこんなにもお主があの方と同じ趣がある物だから……」


 まただ……彼女は俺と誰かを重ねてみているのだろうか?


「リベアムール様、前々から思っていたのですが……あの方って誰のことをおっしゃっているんです?」


 そう俺が問いかけると彼女の顔は落ち着き、真剣な表情を浮かべた。


「うむ……そうだな、何から話せば良いのか……まず言えることは彼女も妾達と同じこの世界の神の仲間だったのだ。言うなれば『元』第7の神だった」


「『元』? 今の第7の神はエスデスって言う邪神ではなかったのですか?」


「ああ、今は第7の神としてエスデスが仕切っている。しかし、エスデスが生まれる前までは良神としてこの世界の平和を一緒に担ってきたのだよ。でも、あるとき事件は起こった」


 リベムールは立ち上がると、近くの窓を開け、遠くの風景を眺め始めた。


「その事件というのが第8の神『邪神オクトレオ=カーサス』の誕生だった。オクトレオはこの世界で生まれた邪神の中でも最強と名の高いほどの実力の持ち主だった。今のエスデスよりも遙かに超えた力を持っていた。この大陸が唯一終わりの危機を迎えた時代だと言われ、このローハンドの地方全域が絶望であふれかえっていたのだ。私を含めた6人の神々とあの方と共にオクトレオを葬るために戦ったのだが……」


 リベアムールは窓辺で顔をうつむき、暗い表情を浮かべる。


「負けたんですか?」


「あのときは私も神になってから間もないときだったからな。あの頃はまだ考え方も戦い方も甘い物があった。そんな私だった故に私は戦いの序盤で戦線離脱をやむを得なくした。そして周りにいた仲間の神々達もオクトレオの力に為す術がないまま敗北していったのだ。私も含め6人の神達は諦めかけていたんだ。でも、あの方だけは違った。1人でオクトレオに立ち向かい続けたんだ。例え、打ち落とされようと精神魔法をかけられても彼女だけは良神の誇りとしてこの世界、そして私たちのために戦ってくれたの……でも……」


 彼女のうつむいた顔から一粒の涙がこぼれた。


「あの方は最後……オクトレオと共に…………光に消えてしまったの……」


 彼女の視線はまっすぐ窓の外に向かっていた。その視線は気持ちの表れであるかのように俺は感じた。話を初めて聞いた俺でも心が痛くなるような話だった。彼女はそっと涙を拭うと俺の方を見直した。


「それから彼女はこの世界の英雄として時代と共に名を刻んだのだ。それ以来、私は彼女のことをあの方と言わせてもらっている。彼女のおかげで今があるのだ。だから私は良神としての誇りを持って、民のためにあの方の分までこの世界を守ろうと思った。そのきっかけすらも生み出したのだ。その神の名は『創造神 ケルティデア=シグムンド』、神にも民にも優しくすべてを包み込み、無駄に情熱的な神だったよ」




システムが反応しだした。




<<アーカイブを獲得>>


<<以下の通りです>>

『過去の事件 第8の神『邪神オクトレオ=カーサス』の誕生』

『創造神 ケルティデア=シグムンド』



 そう言うと、リベアムールは俺の近くに座り、その暖かな手で俺の顔を撫でた。


「うむ……お主はあの方にそっくりな顔つきをしておる。まるであの方が大分若返ってよみがえったようだ」


 彼女のその顔はどこか懐かしそうにものを見る顔をして少しうれしそうだった。


 今までクールに見えたその青い瞳が今俺の目の前で輝いているように見える。だが、至近距離でこんなハリウッド女優のような美貌の女性をいつまでも見ているとこっちも照れくさくなってくる。それにその胸……


 俺は少し顔を背けた。


「どうしたのだケルト? 顔が赤いぞ?」


「いや……その……リベアムール様私に構い過ぎてお仕事の方は良いのですか?」


「むぅ……もうそんな時間か……仕方ない行くか……」


 リベアムールは少し口を尖らせるとその重い腰を上げた。良かった……これでまた少し俺も休んでいられる……


 しかし、リベアムールはチラチラとこちらを伺ってくる様子だった。


「……どうしたんですか?」


「お主……寂しくはないか?」


「い……いえ、大丈夫ですけど……」


「そ……そうか……あのな……妾がお前に対してこんな親しく話していた事はお前の仲間達含め、妾の側近達には内緒にしてはもらえぬか?」


 彼女は顔を俺とは反対側を向いて両手の人差し指を合わせてでツンツンしていた。


「は……はあ、分かりました」


「本当か! 妾、お主のことが気に入ったぞ! これからゆっくり休んでくれたまへ!


 あれ? もしかして、好かれちゃってる?


 リベアムールが歩き出そうとしたとき、何かを思い出したかのように俺の近くに来た。


「体が良くなったら大事な話がある。仲間と共に妾の元に来てくれ。じゃあまた後でな」


 そう言うとリベアムールは俺の顔に急接近し、そのまま頬にキスをした。そしてそのまま優雅に医療室を出ていった。一方で取り残された俺は顔が沸騰したままベッドで硬直したままだった。そこへリベアムールと入れ違いで入ってきたメイドが近づいてくる。


「さぁケルト様、ご飯の用意なんですけど……ん?ケルト様?大丈夫ですか?凄く顔が赤いですけど」


「はっ!? あ!? えと……何でも無いです!?」


 俺は自分の赤面した顔を隠すようにベッドの毛布にくるまった。


 もう色々訳わかんないよぉ……


 メイドに呼びかけられるが俺はそれを無視してそのまま再び目を閉じたのだった。


『ふむ……リベアムールったら、私の見ない間に成長したようね……この子の事も気に入ったみたいだし……』



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― 新着の感想 ―
[良い点] まぁ勝ってしまうよりも期待させるほどの実力を見せて負けた流れは物語的に良かったのかも [気になる点] 意識が戻った時点で完全回復を自分にかけたら すぐ回復という訳にはいかなかったのでしょう…
2020/02/07 17:53 ジェームス
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