第十八話 フェリアール
今回は文章短め、オマケにセリフが殆どありません。
――山岳地帯ギガントス 太古の砦跡 巨人族の里――
イオリは奥義の発見以来、鍛冶師修行の傍ら鍛冶の神ヴェデルの奥義書を閲覧しては其処に記された知識や技術を貪欲に貪り吸収していった。
奥義書は太古の砦跡の奥義書保管室で閲覧できる。 奥義が記された刻印珠紋は巨人族に取っては小さすぎるので保管室に設置してるある魔道具で閲覧している。
この魔道具は巨人族やそれより小型の他種族でも閲覧出来る様に工夫されているが、この魔道具事態が奥義書の保管庫にもなっていて、取り出せるのは里長だけである。
千年以上前に一度、奥義書が盗まれてからは保管室や奥義書閲覧用魔道具のセキュリティを常にアップグレードして来たお陰でそれ以降、盗難の被害には遭っていない。
イオリは師であるクレオに鍛冶以外に魔道具に付いても学んでいた。 その為、刻印珠紋を利用した工作機械をクレオに手伝ってもらいながら次々と自作しまくっている。
ただ、問題は制作した道具類の置き場所である。 イオリは巨人の里では居候のようなものなので自由に使える工房のような建物が持てない。 なので、現在は仕方なく太古の砦跡の倉庫の一角を使わせてもらっている。
イオリとしては工作機械が大きいので嵩張って場所を取るわ、持ち運びに不便だわでいずれ鍛冶の神ヴェデルの神器、ヴェデルの鎚の様な魔道具を作る事を目標にしている。
だが、イオリにはもう一つ目標にしている事がある。 それはフェリアールと言う乗り物の製作である。
フェリアールは本体である搭乗する胴体部分にユニット単位で取り付け、組み換えが可能で陸や空、水中を潜る事が可能な乗り物だ。 中には人型のユニットの設計図もあっり、物によっては一々組み換えるのではなく変形する事で様々な環境に対応する事も可能であるとヴェデルの奥義書には記されてあった。
イオリは鍛冶修行や魔導工作機製作の合間に倉庫内にフェリアールが残されてないか探索してみた。 が、これが中々見つからない。
本来、保管場所を示す案内図があったのだが時を経るごとに巨人族が物をあちこち移動させたり持ちだしたりしてしまったので、その役目を果たさなくなっていた。
試しに無属性珠紋の探索術を使ってみたが効果が無い。 其処で珠紋術に詳しい黒モヤに相談してみると、
『それなら無属性珠紋術『失せ物探し』の術が有効よ。 これは探しものの知識が曖昧でも大まかな場所を知らせてくれるの。 欠点としては該当しそうな物を全て知らせるから必ず其処に探してる物がある訳ではない処ね』
と、教えてくれた。
早速、試してみると反応が沢山出た。 しかし、今までのようにただ闇雲に探さずに済む分楽であった。
幾つかの反応がある場所を探してみるとあった! 全ての反応がある場所を手当たり次第探してみると奥義書に載っていたフェリアールの量産型の本体やユニット、武装を探し当てる事に成功した。
しかし、一つ大きな問題があった。 それはフェリアールが太古の昔に作られていた為に経年劣化が激しい事だ。
だが、其処で活躍するのが今までイオリとクレオが制作してきた魔導工作機械だ。
魔導工作機械で錆を元の金属に戻し、ひび割れを塞ぎ、摩耗など消耗している部分を同素材を継ぎ足す事で完全修復に成功した。
成功したはいいが、益々嵩張り置き場所の確保に苦労する。
其処で今度はクレオに相談してみる事にした。
「ん? 物の置き場所に困ってる? それなら異次元バックの技術を利用した異次元倉庫でも作りゃあいいいだろう……あっそうか!? それ作んの太古の砦跡の設備機能を修理復元しなきゃあいけないんだった!!」
かくしてイオリは太古の設備機能の復活に挑むのであった。
ロボット登場の布石は敷いたぜ!