ブレザーミリィ
「お仕置き完了! 天下のメルロマルクの裁きを待ちさない!」
「愛と勇気と正義の勝利です」
女王とフレオンちゃんが勝利口上をしていますぞ。
ですがすぐに女王が周囲を見渡しますぞ。
で、フィロリアル仮面何某とやらと見つめ合っていました。
「よくやったなブレザーミリィ、いつでも私は見守っている。さらばだ!」
サッと、光と共に……転送スキルっぽいのでフィロリアル仮面の姿が消えましたぞ!
「……まだ国内の悪は多い。この場に留まって等いられません。行きましょう」
「はい! 愛と勇気のブレザーフレオン、ブレザーミリィと共にバッシャーマシンで悪を討つー」
バサァっと女王がフレオンちゃんの背に乗り素早く飛び立っていき……目を凝らすと結構離れた所に素早く着地して走って戻ってきますぞ。
衣装がいつもの恰好ですな。
「何やら悲鳴が聞こえましたが……これは――」
「あ、はい」
女王が転がっている山賊たちの追い打ちの氷の魔法で動けない様に捕縛してから村人たちの様子を見に行きますぞ。
「遅れました。私はこの国、メルロマルクの女王です。この者達はあなた達に仇を成す賊と見受けられます。連行しようと思いますがよろしいでしょうか?」
「え……ああ、女王、様! 何卒お願い申し上げます」
身分の違いを感じさせずに提案する女王に村人は空気を飲んだのか深々と頭を下げてお願いしてましたぞ。
ぞろぞろと従者をしているらしき騎士たちが山賊たちを捕縛して行きました。
それを俺たちは遠くで気づかれない様に見てましたが……お義父さんはもう現場を見てませんな。
どうしたのでしょうかな?
「……帰ろうか」
ポツリとお義父さんがそう呟きました。
「帰るのですな! わかりました!」
「帰るなの」
ハっと何やらライバルが脱力したようなため息をしてましたな。
よくわからないショーを女王が燕尾服の奴としているようでしたぞ。
フィロリアル様の仮面で戦うのは俺ですぞ!
「ああ……色々とわかった。家出の理由も」
ワニ男とウサギ男もトボトボと歩いて戻って来ましたぞ。
あれが婚約者の家出の理由なようですぞ。
「まあ、ここはメルロマルク。ボクたちが出しゃばる必要はないですね」
「そうだねー……あそこに乱入すると怪人枠になっちゃいそうだから目的が異なるね」
と、お義父さんはワニ男たちと話しながら家路へと付いたのですぞ。
何やらお義父さん達はわかったらしいですぞ。
こうして俺たちは婚約者が宿泊する屋敷の前に来たのですぞ。
で、エクレアに何やら事情を説明してからどうしたものかと庭で話となりました。
「女王たちがそのような事を……」
エクレアも言葉を選んでいるようでしたぞ。
「まあ、そのうちこの町でも嫌って程見ることになるかもしれないね」
「ううむ……私は国の騎士である故に女王たちの治安活動に異議を言う立場ではないが……そんなにも見るに堪えないものなのか?」
「うーん……人によっては平気かもしれないけど、メルティちゃんは耐えがたかったというのが本音かなぁ。で? そろそろ出てきて欲しいんだけど? ラフミちゃん?」
「ふふふ……呼んだな?」
「呼ばなくても出て来いなの」
ガサっとラフミが顔を出しましたぞ。
錬も渋々来ましたぞ。
「見て来たみたいな」
「ああ、まあね……で? やっぱりラフミちゃんが犯人な訳?」
「犯人とは心外だな。この国の治安維持を私とアゾットだけに一任させ続けるのはどうかと思って色々とした結果だ」
「モノは言い様だと思うけど……確かに国の治安低下は凄まじいのも事実だね」
よくもまあここまで盗賊山賊強盗が増えるものだとお義父さんは嘆いております。
「それでアレは一体どうしてああなったの?」
「どうだ? 新しいヒーローにして新たなメルフィロのような存在は」
「メルフィロってののモチーフ的に新しいというよりご先祖様と言うかお祖母ちゃんクラスの年代に差がある気がするのだけどなぁ……」
ブレザーって所が確信犯だよね。とお義父さんが続けますぞ。
「まあ異世界だし、魔法少女ってのは当たり前に居る訳だけど……美少女戦士のレンジャー扱いだからやっぱり原点回帰とするべきなのかな? うーん」
どうやらジャンル的な物では婚約者とフィーロたんがやっている事のあるメルフィロよりも古い代物を真新しい扱いで暴れていたとの事ですな。
「古い作品をリメイクとかあるけど、それにしたって色々ときつい気がする。女王様って結構若いらしいけどそれでもきつい扱いだと思う」
「歳考えろって言うのは否定しない」
錬が顔を反らしながら呟きましたぞ。
「わかっていたなら止めるべきでは?」
「俺が見た時は既に暴れている現場だった。あの輪に混ざれと?」
「……」
ウサギ男とワニ男が錬の言葉に何も言わずに顔を反らしました。
どうやら入れない雰囲気があるようですぞ。
「しかも夫婦仲睦まじく見つめ合っている所だぞ? アレに、混ざって、やめろと? 理由は? 言い返されたら何も言えないんだが? 尚文、出来るのか?」
「……」
お義父さんも顔を反らしました。
「わかったけどさ、最初に辞めさせないとダメだったパターンだろうとは思うけどさ……」
「似たようなループがあった事はあるから経緯はなんとなく想像できない訳じゃないけど、どうしてああなったなの?」
「ふ……背中を押したがそこまで深くは関わっておらんぞ?」
ニヤリとラフミが笑った後に経緯を説明しましたぞ。
とはいえ、フィロリアルクロスとなったクズの様に赤豚が犯人として死んだと思い込んだループと同じく、虎娘たちや婚約者と城で穏やかな生活をしていたクズが悩んでいるのをフレオンちゃんが見抜いて声を掛けに行ったのが始まりだったようですぞ。
「ビシっと私には感じられますよー! あなたのこのまま何もせずにはいられない心の迷いが! ですから一緒にヒーローをやりましょう!」
何度目かになるフレオンちゃんのクズへの勧誘だったようですぞ。
丁度、婚約者や虎娘が居ない所に声を掛けたみたいですな。
ちなみにクロちゃんは別のラフミと遊んでいてこの場には居なかったそうですぞ。
「申し訳ないがワシの所為でこの国に多大な損害を与えてしまったのでな……まさかこの国の闇があんなにも膨れ上がり、勇者たちに裁きを下されるほどになってしまった。これもすべてワシの憎しみが原因じゃ」
三勇教が起こした亜人獣人憎しの方針に同調していたクズが、三勇教の起こしたおぞましい虐待の映像を間に当たりにして樹が行った断罪に対しての責任を感じてしまっていたとかなんとからしいのですぞ。
何でもクズの偉業によってメルロマルクにとって亜人獣人とは倒せる悪であると言う考えに染まり切ってしまい、クズを旗頭にいずれ世界を統一、盾の勇者を筆頭に亜人獣人は根絶されるとの流れが果たされると思ってしまったと導き出されてしまったとか。
ただ、クズも虎娘との出会いを理由に考えを改め……ではなくそこまでの憎しみでは無かったのだと自覚していたとからしいのですぞ。
憎くはあるけれど拷問現場を見て踏みとどまれる良心は残されていたとか。
この良心無き国にしてしまった責任が自身にあるとクズは思ってしまったのが煮え切らない原因になったんだとかですぞ。
「ワシに資格は……」
今回は、そこには女王が居たようですぞ。
「えー……フレオンさん。貴方が私の夫に相談に来ているのは知っていますが、どうかお引き取りを……」
言葉を選びつつ女王はフレオンちゃんに帰って貰う様に提案している所で錬に化けた錬がフレオンちゃんの隣に立って不敵に笑って提案したらしいのですぞ。
「ふ……ここで燻っている居て、少しでも世界が良い方向になるのか? 終末の波を勇者たちにすべて任せているとして、この世紀末<アポカリプス>な現状が良い方向になると? いくら俺の支持があると言ってもこれだけの状況を解決するのは限度がある」
「仰ることはわかりますが……」
「では女王、このままで良いと?」
「そう言う訳では……」
影武者をしているラフミの言葉に女王も続く言葉を言いだせずに居たのですな。




