ルフくん
「ん? キールくんサイズの子だね。毛量が多めの狼っぽいキールくん? あれ? どこかで似たのを見たような……」
「わー新しい子?」
「ルフ!」
ドヤっと腕を組んで鳴いてますが犬しか見えませんな。
お義父さんの反応も微妙ですぞ。
「どうですかな?」
「この子、人の言葉は?」
「喋れるようにはなっていないな。魔物だ」
「ふーん」
「フル!」
スタスタっとお義父さんの元に来て、キュルンと目を輝かせたかと思うと小首を傾げてからお腹を見せて転がりますぞ。
「撫でろって事かな?」
お義父さんが手慣れた様子で作った生き物のお腹を撫でますぞ。
「ルフルフルー」
「あはは、ご機嫌だね」
「ルッフ」
撫でられた生き物がお義父さんが手を離すと起き上がって、ハッハッハと舌を出してペロペロとお義父さんのお手てを舐めますぞ。
俺もお手てを舐めたいですぞ。
「うーん。素直に犬だね。昔のヴォルフみたいだ」
「言いえて妙だな。喋り始めてちょっと寂しいと思っていただろう」
「まあ、そこはノーコメントとするよ」
「どうとでも言うがいい。在りし日のヴォルフとでも思ってやるがいい」
「私たちも撫でさせてくれる?」
「ルッフー!」
良いよ! っとばかりに生き物は撫でさせてくれるようですぞ。
「それで、この子の紹介というか作って何を?」
「ははは、まあ余興という物だ。こいつを投入することで色々とな」
「ラフミちゃん。元康くんとガエリオンちゃんを巻き込んでいたずらに命は作っちゃダメと思うよ?」
「私はそこまで腐っていないぞ? これはある種救いだ。まあ私のオリジナルの一体と仕組みは限りなく近い」
「何ともわかり辛いけど」
「あはは、可愛いー」
「あらあら」
と、お姉さんのお姉さんも撫でようとした際に、サッと生き物が起き上がって距離を取りますぞ。
「あら? お姉さんはダメなのかしら?」
「ルッフルフ。ルフー!」
手を前に出してから首を横に振りましたがその後、謎のファイティングポーズを取っております。
「ダメじゃないけど一試合したら良いって言ってるなの」
「お姉さんが撫でるのに戦わないといけないの?」
「こいつ、戦うが好きなの。特に猛者にはワクワク止まらないらしいなの」
「あらー……結構武闘派なのね」
「フル!」
おら、来い。と、格闘家が手招きするように指を立ててお姉さんのお姉さんに喧嘩を売ってますぞ。
「えー……サディナ姉さん戦うの? こんなかわいいのに?」
「と、ラフタリアちゃんが言ってるのでお姉さんは今は戦わない事にするわね」
うふっと思わせぶりにお姉さんのお姉さんは遠慮しましたぞ。
「ルッフルフ!」
オラ戦いたい! と作った生き物が手招きしてましたぞ。
「愛嬌は良いみたいだね」
「ルフー!」
「変わった鳴き方するね」
「そこはワンでもヴォフでも良いと思ったけど鳴かせたらこんな鳴き声になってるなの」
「ふーん……まあいいや。キールくん達も村をよく留守にするようになっちゃったし、良いんじゃないの?」
それでこの子、なんて名前?
そうお義父さんが尋ねましたぞ。
「名前は……ルハ――」
「ルッフー!」
シーっと作った生き物が親指を立ててウィンクしましたぞ。
「ダメなの? 先祖というかこういう所が同じ枠なの? よくわからねえ法則した性格なの」
と言った感じにライバルが生き物を見てますぞ。
「ナオフミ様、こっちの作業……ヴォフ?」
「ルッフゥウウ」
ピョンと生き物がお義父さんに向かってジャンプして抱っこして貰い、姿を見せたヴォルフにここぞとばかりにチラっとしながら撫でるのを要求してますぞ。
「はいはい。愛嬌良いね君」
「ルフゥ……フフ」
「ヴォ、ヴォフウウ!」
ヴォルフが毛を逆立てて頬を引きつらせますぞ。
「だ、誰? ヴォフ」
「ああ、なんか元康くん達が作った生き物らしいよ」
「そうだ。最近、アゾット達が村を留守にして寂しいだろうと似たような存在をな」
「別に寂しくはないけど……」
「ついでにアゾットへの刺客にだ」
「色々と兼ねてるなー」
「ヴォフ!」
ヴォルフが負けじと撫でて欲しいと頭を下げてすり寄りますぞ。
「ルフ! ルフルフ」
近づくヴォルフにお義父さんから離れたかと思うとこれ以上近づくなら勝負だぜ! と小さな体で構えますぞ。
「ガウ!」
我を忘れたとばかりにヴォルフが威嚇しつつ脇を通ろうとするとその顔面に拳を叩き込んでましたぞ。
まあ作ったばかりなのでLvは高くないはずなのですが、良い感じに拳が入りましたぞ。
「キャインキャイン! く……なんか痛い」
「コラコラ」
「ルフゥーン……」
お目目をキラキラさせて媚びをお義父さんに見せてますぞ。
「ダメだよ。そんな目したって悪い事だから」
「ルフー」
お義父さんのお叱りもどこ吹く風とばかりに目をキラキラさせてますぞ。
「何か図太い子だな」
そんなやり取りをしつつヴォルフが作った生き物の匂いを嗅いだ後、ラフ種を作った後のお姉さんみたいな目で俺たちを睨みますぞ。
「変なもの作ってる」
「まあ……そこは否定しないよ」
「ルフ」
「そんで、この子なんて名前な訳?」
「ルフゥ」
「ルフって鳴くからルフちゃん?」
「ルッフウウウウ!」
違う違う! と手を広げて横に振ってましたぞ。
「嫌みたい?」
「ルッフ」
で、お義父さんを指さしますぞ。
「俺? いや、俺に名付けて欲しいの?」
「ルフゥ」
チラ、チラッとヴォルフを作った生き物は視線を送ってますぞ。
「あ、なんか見た事あると思ったらヴォルフの実家にあるご先祖の写真に似た子が居るんだ」
「ヴゥウウウ……」
ヴォルフと作った生き物がにらみ合い、いや作った生き物が余裕のある態度で見下げてましたぞ。
「ルフゥ」
「うーん……この子、性別とかある?」
「雄ですぞ」
ラフミとライバルが雄として作れと言ったので指示通りの性別にしましたぞ。
「じゃあルフくん?」
「ルフ」
嫌っと首を振ってますぞ。
「ええ、ダメなの?」
お義父さんも拒否されて困ってますぞ。
「ヴ、ルフ、ルフルフ」
「あー……ヴォルフって名前みたいのが良いみたいなの」
「ルフ」
ライバルがヴォルフを可哀そうな目で見て言いましたぞ。魔物枠らしいので言葉が分かるのでしょうな。
「じゃあウルフ? そのまま狼になっちゃうよ? ヴォルフと被っちゃうし……まあルフって所で被っちゃってるけど」
「るーふ……」
うーん……と、腕を組んでますな。
「まあレシピ的にはルフで良いと思うなの」
「チッ……ルッフ」
「受け入れたみたいなの」
「じゃあこれから君はルフくんという事で」
「ルッフー!」
「ヴウウウ」
ヴォルフが唸り続けてますぞ。
「ルフルフー」
そしてルフくんとやらはそのまま尻尾を振ってましたぞ。
「ルッフ! ルフ!」
お義父さんの手を握って何やら指さしてますぞ。
「えっと、何処か行きたいの?」
「ルゥウウウ!」
「狩りに行って強くなりたいって言ってるなの」
「えーっと、別に良いけどさ。俺が連れて行くと良いの?」
「ヴァウ! ダメ! ナオフミ様、この後用事ある!」
ヴォルフが間に入って注意しましたぞ。
「まあちょっと用事あるけどね」
「ルフ」
じゃあ良いやとルフくんとやらはお義父さんから手を離した後にラフミの方を向いて鳴きますぞ。
「良いだろう。私が連れて行ってやろうではないか」
「変な事を教えちゃダメだよ?」
「変な事とはなんだ? ん? 言ってみるが良い。私がこいつに何を教えるというのかな?」
「いやわからないけどね。ラフミちゃんって普段ろくでもない事をするし」
「は! 信用が無いとはな。遠慮なく遊んで良いと思って良いのかな?」
「そう思うなら普段の行いを考えようよ……」
お義父さんがため息をしてラフミに言い返しますぞ。
「知らんな。まあこいつは色々とやって貰うが下手に教えても覚えんぞ。やりたいことをするタイプだ」
「同じじゃん。方向性違いそうだけど」
「ルフー! ルフフ!」
じゃあ行くぜ! と、ルフくんとやらはラフミの背中を一回叩いた後にそのままどこかへ走って行きましたぞ。
「ではこいつを連れて色々と出かけてくるとしよう。アゾット達にも紹介しないとな」
「ヴウウ……戦いになる予感。それと……なんか誰かを思い出す。ヴォフ……」
「まあ、なんか話を聞いて誰かに似せて作ったっぽいもんな」
「この前、ラフミとガエリオンが俺になんか聞いて来て、近くをうろうろとしてた。あの時になんか嫌な予感した」
この件に関してあの材料が何なのかよくわかりませんでしたが、ヴォルフを玩具にするためにも作ったようですぞ。




