ループ毎の趣味
「骨董品はこの世界の基準だと割とよくわからないよね」
「確か、婚約者や女王辺りが三勇教の教皇が見せたあの武器も骨董品と仰っていた気がしますぞ」
「ああ、確かにあれは骨董品だね。自慢の骨董品」
ふふっとお義父さんが笑ってましたぞ。
「余裕で対処してましたね」
「ああ、結構強力な武器……と、思われていたが勇者の前では大したことのない武器だったな」
「むしろカルミラ島などで見つかった品々が売れば相当な代物でしたよね」
「ヴォフ、趣味にするには勇者たちと一緒だと満足し辛い」
何て感じに御金のかかる趣味の話を続けていきますぞ。
「そう言えばさ、他のループの俺とか他の人とかで印象に残る趣味とか無いの? 元康くんはフィロリアル関係なんだろうけどね」
「もちろんですぞ」
フィロリアル様たちを育てるのは元より、ユキちゃんが望む少しでも早い競走羽を産み出したいという願いなんかを叶えるためのお相手探しや次世代の選定なんか奥がとても深いのですぞ。
「最初の世界のお義父さんの趣味はアクセサリー作りと調合、それと魔物を飼う事だった気がしますな」
ラフミの大本であるラフ種達をお義父さんはお世話してましたぞ。
「ああ……それは聞いた気がするね。ガエリオンちゃんやラフミちゃんもそれっぽい事を言ってたよ」
このループのお義父さんはラフミにはあまり興味は無いですな。
「他のループだとどうだった? ラフ種というかラフタリアちゃん関連以外でさ」
言われて思い出してみますぞ。
再度ループして最初のお義父さんは既にお姉さんと仲が良くなったお義父さんでしたな。
ラフ種はおりませんでしたが……ラフ種以外の趣味を続けていたような感じでしたな。
なのでそこまで差は無いですぞ。
次のお義父さん……う、ライバルにその身を捧げてしまったお義父さんが何を趣味にしていましたかな?
ぼんやりとは浮かぶのですが……さすがにライバルを常時愛でてはいなかったはずなのですぞ。
ですが、くうう……ライバルとイチャイチャしていると思った俺はあんまり見なくなってしまったのは事実なのですぞ。
俺は時々、会いに行って色々と話して……好き勝手世界を旅していたのですぞ。ライバルの所為ですぞ!
ただ、少なくともパンダの事は気に入っていて着飾っていた気がしますぞ。
ですがそれ以上は思い出せません。
「く……俺はどうしてあのお義父さんをもっとしっかりと見て上げていられなかったのでしょうかな!? もっと知っておきたかったですぞ」
「何なの? そのどこぞの長命なキャラクターが仲間の葬式で後悔したみたいな台詞。確かに元康くんは随分とループしているみたいだけどさ」
後悔なんて無数にしても前に進むつもりですがそれでも悔やまないとは言ってないのですぞ。
「ヴォフ、槍の勇者から学ぶ後悔をしないように生きていく心」
「させませんよ」
「間違いなくやって良い事と悪いことがある」
ヴォルフ共が呻く俺に対してやかましいのですぞ。
「これもすべてライバルの所為なのですぞぉおおおおおん!」
「ガエリオンちゃんの咎という事なんだろうけど、元康くんは生きてる限りは絶対に忘れないのかね」
絶対忘れませんぞぉおおお!
後に、結構覚えてたけど忘れるのはあるのにこの件は何があっても忘れないね。と槍の精霊に言われるのですぞ。
「まあいいや、じゃあ次は?」
「次? ヒィ……思い出せませんぞ」
次のお義父さんに関しては……お姉さんが既に居ましたのであまり変わらないのですが恐ろしいフィーロたんがガガガ――。
意識的にカットなのですぞ。
そこから思い出せるお義父さんへと繋げると……フレオンちゃんと再会したループでのお義父さんでしょう。
「たぶん、なんかあった感じだったね。ガエリオンちゃん達の話だと」
「つ、次のお義父さんは行商が趣味でしたぞ」
言ってしまいましたが、まあ大丈夫だと思いますぞ。
「まあ楽しそうではあるよね。商品仕入れて売り歩く……エンジョイ生活だった感じかな?」
「正確には村の復興を手伝っていたのですが、ダークヒーロー路線の錬とフレオンちゃんとヒーロー活動に夢中の樹の騒動の息抜きにやっていた感じでしたな」
「あまり今と変わらないような……いや、暴れ具合が違うのでしょうかね」
「二人も居たら疲れるって事じゃないか? 一人であれだろ?」
ウサギ男とワニ男が俺の話から推測をしておりましたぞ。
まあ、婚約者も一緒だったくらいですからな。
クズも一緒に暴れてましたぞ。とは思いましたが今回はお義父さんの平和になった後の趣味に関してでしたな。
「その次のお義父さんはお姉さんのお姉さんと一緒に海に潜りに行くのが趣味でしたな。どうも海の中が綺麗だからだったようですぞ」
「ダイビングが趣味かー」
「ペックル姿にもなって一緒に泳ぎに行くのが印象的でしたな」
思えばお義父さんもいろんな趣味で違いが出ていたのですな。
「おい。それ大丈夫だったのか?」
「人が少ないなら問題が無かったのかもしれない」
「サディナさんにペックル姿でね……それはなんか怖い様な気もするけど、信頼しているって事かな?」
「ヴォフ」
「次は?」
「今のお義父さんですぞ?」
「ああ、そんな感じかー……となると俺もなんか違う趣味とかしてみるのも良いけどどうしたら良いかなー」
悩むねーとお義父さんは仰っておりましたぞ。
「趣味と仕事を一緒にしちゃダメだろうからなー。まあ、良いや」
「既に十分多芸ですものね」
「料理は趣味じゃ無いのか」
「え? 料理? まあ、趣味と言えば趣味ではあるけどね。錬が遊んでるみたいだし、俺までやったら睨まれそうじゃない?」
「だろうな」
錬の料理はお義父さん達の模造ですぞ。
本物が乗り込んで来たら勝負になりませんからな。
「一緒に遊んでも良いけど、なんか錬は一緒に作るのは嫌がるんだよね」
「そりゃああの中に入っていけるなんてラーサズサくらいなもんだろ」
「ああん? 気にしてたら生きていけないねー」
パンダが料理を食べながらフォークっぽい食器で指さして来ましたぞ。
「割り切れないんですよ。貴方ほど」
「ま、アタイも料理勝負は嫌いさね。特に親の経歴が関わって来るところでの勝負なんて本気で御免だね」
「ラーサさんのお義父さんは気にしないと思うけどねー」
「そう言うんじゃないさね。ったく、何時までそんな話してるさね?」
「まあ趣味に関する話だけどさ、トリマーとかは?」
お義父さんが明るい顔で俺に聞きますぞ。
「どのループでもみんなの毛並みをお義父さんは世話してましたぞ」
「そこは安定の標準搭載でしょうね」
「ああむしろ違うパターンがあるのか知りたい」
「ヴォフ」
奴隷共が揃って頷いて述べた所でお義父さんが呆れたような目を向けました。
「あのね。俺を何だと思ってる訳?」
「え? 毛並みを弄るの好きなのでは?」
「毛並みというか肌というかその辺り」
「好きというより気になるだけなんだけど……」
「ヴォッフ」
おかげさまでツヤツヤであると奴隷共は自らの毛並みを見せますぞ。
「盾の勇者の特徴では?」
「かもしれないな」
「はいはい。わかったよ。やめ辞め、この話題を変えようか」
お義父さんが強引に話題を変えたのですぞ。
おそらく図星なのでしょうな。
フフ、俺もウサウニーでは毛並みで負けませんぞ。
なんて感じに夜は更けていきましたぞ。
夕食会は賑わいを見せ、無事お開きになりましたな。




